見ないフリ

一時的な対応策にしかならない現実逃避をずっとするブログ

ゆれる人魚

2018-03-05 | 本と漫画と映画とテレビ
知らなければよかったことだった。けれど知らないまま年老いて死んでいたらと思うと、ぞっとすることでもあった。恋とは。
―角田光代『曽根崎心中』より




『ゆれる人魚』(2016年、ポーランド)
監督:アグニェシュカ・スモチンスカ
脚本:ロベルト・ボレスト
出演:マルタ・マズレク、ミハリーナ・オルシャンスカ 他

1980年代のポーランド・ワルシャワを舞台にした、人間を捕食して生きる人魚姉妹の成長物語。

YouTubeで見かけた予告のかわいらしさに釣られて映画館へ。
ポーランド映画初体験。
これはいい。すんごいおもしろかった。

ただ、予告の「姉」と「妹」の表記が逆ー!
長寿の双子・金さん銀さんに慣れ親しんできた日本人としては、
ゴールデンが姉でシルバーが妹と思い込む気持ちも分かるけれど、
この表記間違いのおかげで、序盤ちょっと混乱した。
(「北沢? 沢北じゃねーか…どあほう!!」という気持ち)


映画の雰囲気は
ソフィア・コッポラの乙女感+東欧の気色悪さ。

ただただ勝手なイメージだけれど、
ポーランド周辺諸国の芸術は不気味。

チェコの映画監督ヤン・シュヴァンクマイエル作品とか
オーストリアの映画監督ミヒャエル・ハネケ作品とか
ハンガリーの怖い歌『暗い日曜日』とか
ポーランドの画家ズジスワフ・ベクシンスキーの絵画とか。

なんなんだろう。たまたま?


でも全体的には、アンデルセンの『人魚姫』とギリシャ神話のセイレーンをベースにポップな作りで、とても見やすい。ミュージカルというか長編ミュージックビデオ。のどごしさわやか。

音楽がとってもいいので、
ラ・ラ・ランドなノリや美人警察官の存在意義、
悪魔の微妙さ&ムチャな展開もぜんぜん気にならない!
マット・デイモン似の姉・シルバーが美人扱いされててもぜんぜんオッケー!

なんだかんだで、最後は泣いちゃうっていう。