ラーメン食べるのは、そのド素人なのよ!?
素人に分からない味のラーメン作ってどうするの!?
―映画『タンポポ』より
最近、食欲がすごい。
夢の中でもなにかしら食べてる。
年末ゆえ、付き合い続きで…とかそんなんじゃなくて、
心の空洞を満たすために、必死に胃袋に詰め込んでいるという感じ。
止まらない食欲。
特に、ラーメンがやたらと食べたくなる。
しょっぱい油スープのなかに炭水化物をブチ込んだ麺料理。
ディス・イズ・ラーメン。
不健康を絵に描いたような料理が、なぜ、あんなにも魅惑的なのか…緩やかな自殺。
ラーメン三昧の食生活に危機感を覚え、
ラーメンを食す方から観る方向へとハンドルを切るのです。
止めてみせようホトトギス。
『タンポポ』
監督:伊丹十三
出演:山崎努、宮本信子、渡辺謙
タンクローリーの運転手が、
売れないラーメン屋を立て直す1985年公開の日本映画。
はー・・・。
結局、ますますラーメン食べたくなった。。。
最初の「ラーメンの食べ方指南」みたいな所からヤバイ。
“スープの表面にキラキラと浮かぶ無数の油の球、油に濡れて光るシナチク、
早くも黒々と湿り始めた海苔、浮きつ沈みつしている輪切りのネギたち、そして何よりも、これらの具の主役でありながらも、ひっそりと控えめにその身をひそめている3枚の焼き豚。”
ま、ラーメン食べる前にあれだけたっぷりと愛情表現してたら、
麺が伸びちゃうんだけどさ。
焼き豚に「あとでね・・・」つって声かける気持ちはすごく分かる。
ざっくりストーリーは、『スーパーの女』逆バージョン。
『スーパーの女』は宮本信子が津川雅彦(五郎)のスーパーを立て直す話だけど、
『タンポポ』は山崎努(ゴロー)が宮本信子のラーメン店を立て直す話。
そこに、西部劇と小ネタ集をトッピングして、リストの『前奏曲』で煮つめられているのです。
どうでもいいけど、
山崎努かっこいいね~。長生きしてね~。と思う。
ちょこちょこ差し込まれる小ネタ、食エピソードがとってもステキ。
ステキっていうか、キテレツ?変態?
伊丹十三は『ヨーロッパ退屈日記』っていう著書の中でも、
スパゲッティのアルデンテについて言及したり、
目玉焼きの食べ方を語ってたけれど、
食についてのこだわりや知識がすごくある人なんだねー。
そうじゃなきゃ、こんな変態映画作らないよねー。と思う。
美食家、伊丹サーティーン。
食通のイタい新米サラリーマンとか、ずるずるパスタとか、卵黄口移しとか、
食品をめっちゃ押す老婆とか、タンポポオムライスとか(ノッポさん!)、
首から人参をぶら下げた自然食で育てられてる子供とか。
なかでも、死の床にある母親がチャーハンを作る話がヤバイ。
母親ってそういう生物よねー。母偉大。と思って切なヤバイ。
その貧しい家の横を、リッチな電車が通るのもヤバイ。
ラーメンだけじゃなくて、
歯痛の男が電車の中で食べてた飲茶も、東北大教授が食べてた北京ダックも
力也考案のネギそばも、もりそばもおしるこも鴨南蛮も天ぷらそばも、
すべて美味しそうだった・・・ヨダレ。
イノシシの腸詰山芋も、かなり美味しそう。(そうね。わさび醤油なんか合うわね)
あれも食いたい これも食いたい。っていう映画。
お腹減ったよ~
食欲止まんないよ~
外付け胃袋が欲しいと思う。