「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

おこがましい高校歴史用語を”精選”する会議

2018-04-02 06:05:12 | 2012・1・1
高校歴史教科書用語を”精選”する民間団体「高大連携歴史教育研究会」(会長 油井大三郎東大名誉教授)が”精選”基準に沿って坂本竜馬や武田信玄といった有名な歴史上の人物は削除し,一方、歴史上疑義のある「従軍慰安婦」とか「南京大虐殺」は”精選”したという。この民間団体が、文科省の教科書検定にどの程度影響があるのか寡聞にして知らないが、自分たちの歴史観にたって教科書用語に口出しするのはおこがましい。

僕ら戦前の昭和1ケタ生まれは、国定の皇国史観の歴史教育を受けて育った。年号も皇紀で、仏教伝来はイチニイチニ(1212年)と我が国へ伝来してきたと教わった。。一部が万事そうで、そのお陰で今の教科書からは多分消えてしまった「武内宿禰」「楠正成」「高山彦九郎」といった人物の名前を70余年たった今でもしっかり覚えている。一方、戦後生まれの油井会長とは違って、「従軍」という言葉がつくのは「従軍看護婦」とか「従軍記者」に限られ「従軍慰安婦」なんか存在しなかったことを身をもってしっている。

皇紀、皇国史観で教育を受けたために”雀百まで”の例えではないが、僕らの世代の中にはいまだに足利尊氏を逆臣、悪者と思っている者がいる。逆に尊氏が生きた時代14世紀の世界はどうだったということになると、さっぱり解からない。歴史上の人物を教科書の上で”精選”するのは難しい。いわんや特定の歴史観にたって、史実をまげて”精選”するのは歴史の冒涜でおこがましい。




人口減少と国家百年の計

2018-04-01 06:49:10 | 2012・1・1
17年後先の2045年には日本の9割の市区町村の人口が減少し、同時にその人口の65歳以上の高齢者が増加、秋田県では県人口の50・1%、つまり二人に一人がお年寄りになるという。これは厚労省の社会保障人口問題研究所が2017年度の国勢調査に基づく推計だが、このままで日本の将来は大丈夫なのだろうか。その時代には、この世にいない老人だが心配だ。

田中角栄元総理が列島改造論を唱えたのは、半世紀近く前の1972年(昭和47年)だが、角栄さんは、その時、今のような超高齢化時代を予測していたであろうか。この年、有吉佐和子の小説「恍惚の人」がベストセラーの一位となり、今でいう認知症のはしりとして話題になったが、人口がこのように減少し、老人の医療介護、年金などの社会保障が国の重大事になるとは角栄さんは予測しなかったに違いない。人口減少は地方だけでなく、東京、大阪、名古屋、横浜などの大都市にも直撃し、現在の社会保障制度さえ維持できない事態にもなりかねないという。

安倍内閣が進めている「地方創生」政策は成果が出ているのであろうか。東京に住んでいる僕にはよく判らないが、テレビの画面をみるかぎり、地方都市の商店街は相変わらずはシャッターが閉じたままだし、減反による休耕田の荒れた姿が痛ましい。田中角栄総理の”列島改造改造時代には、将来に向かって高度成長という夢があったが、どうも人口減少ではマイナスイメージだ。しかし、そこはそこ、国家百年、千年の計をたてて、人口減少の時代に備えて頂きたい。