「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

”脱原発”より”終いの家”

2014-01-28 05:44:46 | Weblog
”脱原発”を旗印にしている東京都知事選に立候補している細川護煕氏が”おばあさんの原宿”の巣鴨で街頭演説していた。76歳の候補だから同年齢の年寄りの票集めに巣鴨を選んだのかもしれないが、すこしご見当違いではかったのか。僕を含めてお年寄りには、正直いって先の話の”脱原発”よりも、今現実の”老いの家”をどうするかのほうが関心事だ。

都知事選の優先課題は何かーという世論調査(産経新聞)によると、第一位は高齢者福祉医療対策の22.4%であるのに対し、脱原発は8.4%にすぎない。都知事選の争点としては、なにか違和感がる。とくに東京生まれ、東京育ちの者にとってはそうである。

細川氏は自分の足で東京都内の公共交通機関を利用したことがあるのだろうかー。都営地下鉄のバリアー.フリ化率をご存知なのだろうかー。杖をついた老人には下りのエスカレーターがなければ、どうなのか多分お解かりないと思う。年寄りには無用の長物の歩道橋が、いまもって放置されたままになっている。

同年齢の昔の友人から転居の通知が届いた。”まだまだ活動できる身ではありますが、介護等の体制が整ったマンションで安心快適の生活を送ることにしました”と書いてあり、ご夫婦別々の部屋番号が書いてあった。昨日わが家でも、生活支援法による住宅改善事業で業者が見え、トイレの便器を高齢者用に取り換えてくれた。友人も僕も”終いの家”について考える年代になったのだ。でも、まだ僕らは恵まれている。都内には”終いの家”の当てのない老人が大勢いる。2020年の東京五輪でさえ見れるか、どうかわからない老人にとっては”脱原発”は、あまりにも”浮世離れ”している。