「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

           ”BC級戦犯”の人権

2007-07-17 05:07:48 | Weblog
ご尊父を”戦犯”で刑死された遺族から手紙を頂いた。手紙の趣旨は遺族
会が海外の慰霊地参拝旅行用に配った地図から、なぜか”戦犯”の方々の
埋葬地が削除されている。意識的とは思いたくないが、遺族にとっては、ま
だ”戦犯”に対する偏見、蔑視があるのかと思い、ショックだという内容だ。

最近読んだ大手出版社の「BC級戦争裁判」の表紙裏には「(BC級裁判)と
はアジア太平洋戦争における残虐行為の命令者、実行者5,700人が裁かれ
た裁判」と定義づけしている。果たして全員そうなのであるかー。戦争を知ら
ない世代が戦争について書くな、とは言わないが、書く場合は事実に基づいた
事を書いてもらいたい。

例えば、オランダBC級法廷の行われたホーランジア(現ジャヤプーラ)は旧蘭
領にもかかわらず著者はパプアニューギニアと誤記し、二等兵の戦犯刑死者
は全法廷を通じていなかったと、自分の予見で誤記している。また、戦犯者の
うち将校には、あたかも人権がないかのような自分の解釈で実名を書いている。
将校だけではなく「きけわだつみの声」の上等兵の方も実名で書いている。実名
で書くなら、彼が本で書いている無罪の主張も併記すべきである。

戦争中釜石の捕虜収容所長だった方は、捕虜のためにクリスマスを祝ったり、海
水浴をさせたりしていた人だったが、連合軍の艦砲射撃で捕虜を死なせたとの
理由で戦後"戦犯”として逮捕されている。著者は戦犯の記述は"複合的”に書く
べきだ、と書いているが、まさにその通りなのだが。