「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

大東亞戦争勃発の朝 コタバル上陸作戦

2006-12-08 07:45:19 | Weblog
大東亜戦争が始まった昭和16年12月8日朝のことを覚えている。当時国
民学校(小学校)5年だった僕は早朝ラジオの臨時ニュースで対英米宣戦布
告の大詔が煥発されたのを知った。続いてハワイ空襲、グアム、ダバオ、シン
ガポール、香港空襲、マレー上陸などなど。僕は登校前、隣の空地でたき火に
あたりながら大人たちが”大変なことになった”と緊張して語りあっているのを
聞いていた。

大東亜戦争(12月12日政府命名)はハワイ真珠湾攻撃で始まった印象だ
が、時間的経過でゆくと8日午前2時15分、マレー半島東海岸コタバル上
陸作戦で火蓋が切られている。当時の第18軍の記録は「8日0215上陸
に成功す。敵の抵抗は激しく熾烈な銃声をきく」とある。この敵前上陸で320
人の尊い命を失っている。昭和19年文部省国定国語教科書(巻6)は、この
敵前上陸を「コタバル上陸作戦」の題目で小国民に教えた。

今年は大東亜戦争開始65年に当たるが、真珠湾攻撃は日本人の強烈な記
憶にあり、伝えられている。しかし「コタバル上陸作戦}についてどれだけの日
本人が知っているだろうカー。教科書の「コタバル上陸作戦」の記述は戦後進
駐軍の命令で墨によって塗りつぶされ、敵前上陸からシンガポールまでの空
前絶後の日本軍の快進撃(文部省国定国語教科書(巻8)「マライを進む」)と
ともに歴史の表舞台から消え去ろうとしている。