安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

トミー・フラナガン CONFIRMATION

2014-06-11 07:24:49 | ピアノ・トリオ

梅雨のこの時期は、車で遠出をするのもたいへんなので、この前の日曜日は、安曇野市の家の近くにプラプラと出かけてきました。穂高有明の日帰り温泉に入り、ジャンセン美術館で絵をみた後、喫茶店「書翰集」で珈琲を飲んできました。ジャンセンの絵は、女性像など人物画が有名ですが、僕が好んでいるのは青を基調とした風景画です。大きなサイズのものが展示されていて、なかなか迫力があり、時間の経つのを忘れて見入りました。じっと聴き入ってしまうアルバム。

TOMMY FLANAGAN (トミー・フラナガン)
CONFIRMATION (enja 1977,78年録音)

   Confirmationtommyflanagan

トミー・フラナガン(p)は、エンヤ・レーベルにいくつも作品を残していますが、これは第1作の「Eclypso」に続く第2作目。収録曲中4曲が「Eclypso」(1977年2月4日録音)と同じセッションからで、あとの2曲は「Ballads and Blue」(78年11月15日録音)と同じセッションからです。二つのセッションから寄せ集めたイメージになりそうですが、内容は全く遜色ないように思います。

メンバーは、トリオで演奏した4曲が、トミー・フラナガン(p)、ジョージ・ムラーツ(b)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)。デュオの2曲が、フラナガンとムラーツです。僕の持っている紙ジャケットCD(TKCW32186)の解説で、工藤由美さんという方が、すべてトリオにより演奏されている旨を書いていますが、2曲はデュオなので、その解説は誤りです。

曲は、エルヴィン入りのピアノ・トリオでやったものが、パーシー・フェイス作「Maybe September」、チャーリー・パーカー作「Confirmation」、トム・マッキントッシュ作「Cup Bearers」、サド・ジョーンズ作「50-21」の4曲。フラナガンとムラーツのデュオで、モーガン・ルイス作「How Hight The Moon」とリチャード・ロジャース作曲「It Never Entered My Mind」の2曲。「Confirmation」と「Cup Bearers」は、アルバム「Eclypso」収録のものとは別テイク。

選曲、テンポ、タイミングの良さ、そして、フラナガン(p)のソロが冴えているのはもちろん、ちょっとしたフレーズもメロディアスで、聴くたびにいいと思うアルバムです。アップテンポで演奏されることが多い「How High The Moon」は、バラード扱いで、フラナガン(p)とムラーツ(b)による演奏は、繊細で美しく、「It Never Entered My Mind」では、ムラーツが旋律を弾く部分がありますが、そこにからむフラナガンが見事です。エルヴィン・ジョーンズ(ds)も、「Confirmation」などでブラシによる絶妙なプレイを披露。

【安曇野ジャンセン美術館】

所在地:長野県安曇野市穂高有明4018-6
電話:0263-83-6584
ホームページ:安曇野ジャンセン美術館ホームページ

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美術館の敷地入り口。

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美術館の建物。真ん中が玄関になっています。

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内部の撮影は禁止です。チラシに使われた絵。「ゴンドラ」

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同じくチラシに使われた絵。「街の風景」


デイブ・ブルーベック ANGEL EYES

2014-06-08 09:21:10 | ピアノ

信濃毎日新聞(通称「信毎」、48万部発行)は、長野県内で最もポピュラーな新聞です。政治・経済・社会面が主ですが、先々週の5月26日(月)の朝刊に、“真空管に魅せられて 県内オーディオファンこだわり追求”という記事が載りました。信毎にも粋な記者とデスクがいるものだと、嬉しくなりました。僕は、真空管までは関心はありませんが、ごくまたに、カートリッジの交換などをしてサウンドの変化を楽しむこともあります。カートリッジを換えて、レコードを聴いてみました。

DAVE BRUBECK  (デイブ・ブルーベック)
ANGEL EYES (COLUMBIA 1962~65年録音)

   Angeleyesdavebrubeckoriginallp

普段使っているカートリッジは、デンオンDL103ですが、オーディオ・テクニカのAT150E/Gという往年のもので音を出してみました。友人から借りたものですが、僕もかつて同じものを使っていたことがあります。AT150E/Gは、VM型(MM型)ということもあるのか、音に力があり、低音も結構拾ってくれているようです。ポール・デズモンドのアルト・サックスの音色の透明感もよくでているように感じました。

有名アルバムですが、一応データを記載します。メンバーは、デイブ・ブルーベック(p)、ポール・デズモンド(as)、ユージン・ライト(b)、ジョー・モレロ(ds)。ブルーベックのピアノもありますが、なんといってもデズモンドのアルト・サックスの演奏に興味を惹かれます。

マット・デニス曲集です。「Let's Get Away From It All」、「Violets For Your Furs」(コートにすみれを)、「Angel Eyes」、「Will You Still Be Mine?」、「Everything Happens To Me」、「Little Man With A Candy Cigar」、「The Night We Called It A Day」の7曲。「Little Man With A Candy Cigar」だけは、あまりなじみがないかもしれませが、あとはいまやスタンダートといってもいいものばかりです。

どうしたらあんな音色が出るのだろうと聴くたびに思わずにいられない、ポール・デズモンド(as)が、デニスの作ったメロディを奏でてくれるだけで満足です。ゆったりとスイングして、ソフトに、かろやかにアドリブも行っています。どれもいいのですが、「Violets For Your Furs」、「Angel Eyes」、「The Night We Called It A Day」といったバラードがとりわけ訴えかけてきます。ジャケットも、内容も、ともにビューティフルなアルバム。今夜は、オリジナル・レコードで聴きました。

【2014年5月27日付信濃毎日新聞朝刊の記事】

“真空管に魅せられて”と題して、長野県内のオーディオファンを県下各地で取材してまとめてありました。なかなかの労作だと思います。紙面の4分の1くらいを掲げました。クリックして、元の大きさに拡大すれば読めると思います。

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上段の写真は、真空管ラジオを修理する青木さんという方です。肩越しに撮っています。下段は、小布施町のジャズ喫茶「BUD」です。

【オーディオ・テクニカ AT150E/G使用中】

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ローリー・アレン PARADISE

2014-06-04 22:53:57 | ヴォーカル(L~R)

信州(長野県)には海がありません。もちろん港もありませんが、北隣りの新潟県上越市にある直江津港について、その振興に昔から協力してきているとのことです。同港は、物流拠点の位置づけが大きいのですが、佐渡汽船の客船(フェリー)のターミナルがあって、人や車の乗降も行われています。先日、その直江津港に寄る機会があったので、ターミナルの屋上から写真を撮りました。港の写真を撮る機会は、滅多にないので、いろいろな方角に向けてシャッターを押しました。西海岸で録音されたヴォーカルアルバム。

LAURIE ALLYN (ローリー・アレン)
PARADISE (MODE 1957年録音)

   Paradiselaurieallyn

モード・レーベルは、短期間の活動であったものの、ウェスト・コースト・ジャズのよいところを録音していて、記憶に残るレーベルです。ヴォーカル作品も、ルーシー・アン・ポーク、ドリス・ドリュー、ジョイ・ブライアンの3枚があります。そこに、同レーベルの倒産によって陽の目をみなかった作品が2004年に米国で復刻されました。それが、ローリー・アレンのParadiseですが、2007年に日本でも発売されて話題となり、その際、僕もCDを購入しました。

ローリー・アレンが、シカゴのクラブで歌っているときに、モード・レーベルのオーナーのレッド・クライドが聴きに来て気に入り録音に至ったもので、録音場所はロスアンジェルスです。編曲は、マーティー・ぺイチが行い、大型コンボやストリングスを使っていて、倒産寸前の会社とは思えぬ豪華なセッションです。伴奏メンバーは、ドン・ファガーキスト(tp)、ピート・カンドリ(tp)、アル・ヴィオラ(g)、メル・ルイス(ds)ら西海岸の一流メンバーが揃っています。

曲は、大部分がスタンダードです。「All I Need is You」、「You Go To My Head」、「Paradise」、「Surry With The Fringe On Top」(飾りのついた四輪馬車)、「Easy Living」、「You Are So Bad For Me」、「The More I See You」、「I'll Never Be The Same」、「So In Love」、「That's What A Woman Is For」、「Where Are You」、「Take Me In Your Arms」の12曲。珍しいのは、「You Are So Bad For Me」で、彼女が親しかった、フラン・ランデスマン(作詞)、トミー・ウルフ(作曲)によるもの。

アレンの甘さの感じられる声の質、声を張り上げない穏やかな歌い方は、女性ヴォーカルの一つの理想といってもいいかもしれません。彼女の感情移入された儚げな歌は、ことにバラードで本領発揮されていて、「You Go To My Head」、「Paradise」、「Take Me In Your Arms」といったストリングス伴奏のものが心に残ります。「Paradise」の出だしは、アル・ヴィオラのギター伴奏だけで歌っていて、密やかな感じがよく、「Take Me In Your Arms」は、別れの歌なので、波止場のシチュエーションに似合いそうです。

【直江津港の光景 2014年5月】    

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ターミナル屋上から北の方向。船が停泊していて港らしい光景です。

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手前左側はフェリー乗り場でしょうか。

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上の写真の拡大版。中部電力の火力発電所があります。

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港の西側です。穏やかな天気でした。

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佐渡汽船のターミナル。この屋上から上記の写真を撮りました。


ジーン・ディノヴィ FLOWER OF THE NIGHT

2014-06-01 22:46:37 | ピアノ・トリオ

長野市の自宅の狭い庭に「こでまり」を植えてありますが、2年間の単身赴任中に放っておいたら、かなり大きく成長しました。白い花が可憐でいいのですが、咲き終わったら剪定しようと考えています。その花を見るのにちょうどいい位置に、自分の部屋で使っていた木製のベンチ(ただ厚い板を組み合わせただけですが)も置いてみました。庭を少し片付けたので、花壇にも花を植えようと思っています。タイトルにFlower(「月下美人」)が入っています。

GENE DINOVI (ジーン・ディノヴィ)
FLOWER OF THE NIGHT (Marshmallow 2004年録音)

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カナダ在住のピアニスト、ジーン・ディノヴィさんのソロ・ピアノ・コンサートが、6月8日から14日まで4公演行われます。マシュマロレコードが日本に呼ぶものですが、流麗なタッチや優雅なフレーズを目の前で聴くまたとない機会なので、多くの聴衆が集まればいいなと思っています。僕は、11日(水)の長野県安曇野市いさつ歯科医院での公演に行きます。もしかしたら、いさつさんのヴィブラフォンとの共演があるかもしれません。

このアルバムのメンバーは、ジーン・ディノヴィ(p)、二ール・スウェインソン(b)、ジョー・ラバーベラ(ds)。2004年に来日した際のメンバーによる横浜での録音です。スイングからバップまで幅広い音楽性を備えたディノヴィに相応しい、ベースとドラムスが揃いました。スウェインソンとラバーべラのプレイにも注目してみます。

自作とスタンダードがバランスよく収録されています。ディノヴィの自作が4曲で、「Akarenga Blues」、「Flower Of The Night」、「Miki」、「Veronica」、あとはスタンダードが6曲で、「Canadian Sunset」(カナダの夕陽)、「Day In Day Out」、「It's You Or No One」、「Once Upon A Time」、「Trolly Song」、「Two For The Road」で、全10曲。

トリオの3人のコラボレーションもよく、細部まで心配りがされた上質なディノヴィ(p)の演奏が聴けます。「Akarenga Blues」は、彼の自作で、一般によく使われるフレーズも取り入れた、いかにもブルースらしい見事な演奏。バラードの「Once Upon A Time」では、テーマを弾くピアノに、ベースが弓弾きで絡み幻想的で、ディノヴィが高音まで弾いていくアルペジオも美しい。テンポの早い「Trolly Song」では、スウェインソン(b)のベースに乗ってディノヴィが快適にスイングし、別の一面をみせてくれます。

【ジーン・ディノヴィ日本公演のお知らせ】

2014年6月8日(日)Open:14:30 Start:15;00
埼玉県県民活動総合センター 小ホール 

6月10日(火)横浜ちぐさ
  19:00開演
6月11日(水)長野県安曇野市いさつ歯科医院
  19:00開演
6月14日(土)横浜市磯子区民文化センター 杉田劇場小ホール
  Open:14:30 Start:15;00

マシュマロレコード:マシュマロレコードホームページ

6月11日(水)の安曇野市公演の問い合わせ先:090-8871-5419

【長野市の自宅のこでまり】

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