11日(水)に長野県安曇野市豊科のいさつ歯科医院において行われた、ジーン・ディノヴィ・コンサートに行ってきました。会場は、歯科医院の診療室なのですが、いたるところにレコードジャケットが飾られ、天井にはスピーカーがあって、ジャズを聴くための環境が整えられていました。院長の伊佐津和郎さんはヴァイブを弾き、今回の公演ではディノヴィさんと共演されました。観客は、30人ほどで、ピアノも近く、アット・ホームな雰囲気のうちにコンサートが始まりました。
マシュマロレコードの上不三雄さんによるジーン・ディノヴィの紹介のあと、本人が登場。86歳とは思えぬ若々しい足取りでピアノへ。「ニューヨークに因む曲を弾きます。」という一言のあと、ピアノを弾き始め、メドレーで様々な曲を演奏してくれました。真ん中あたりで、「Autumn In New York」(ニューヨークの秋)が、下降フレーズで奏でられ始めると、ニューヨークの夜にタイムスリップしたような気持ちになりました。
曲目をメモしたわけではないので、不確かで全部でもありませんが、プレイされた曲を記します。
・ナンシー・ウィルソンらが歌ったディノヴィの自作で最も有名な「Have a Heart」
・ディノヴィの自作で、アルバムタイトルで録音をしている「Flower of The Night」
・「グレイト・スタンダード」と言ってから演奏を始めた「Stardust」
・レイ・ブライアントの演奏でも有名な「Golden Earrings」
・伊佐津(vib)さんとデュエットした「My One and Only Love」や「The Things We Did Last Summer」(過ぎし夏の想い出)。
・左手でスタッカート気味にアクセントを入れた「Speak Low」
・休憩後の最初の曲で、上不さんによる逸話の紹介のあとに演奏された、スロー・テンポの「Tea For Two」(二人でお茶を)
・映画音楽の「Charade」(シャレード)
・ディノヴィ流にアレンジされた「Red Dragon Fly」(赤とんぼ)
・最後にアンコールで演奏された「So In Love」
ペギー・リー、ナンシー・ウィルソン、リナ・ホーン、カーメン・マクレエらの伴奏も手がけただけに、レパートリーが広くてびっくりしました。しかも、それらの曲のヴァースもしっかり演奏していました。ペダルを上手く使っているからだろうと思いますが、響きの多様性とサウンドの美しさは特筆ものです。リズム面では、4ビートにしっかりと乗るところもあるのですが、ノン・ビートで演奏される部分も多く、ビートなしでも趣向が凝らされて退屈することがありませんでした。抽斗の多さと、編曲をしっかりとしてあるせいだろうと思いました。
瑞々しい音と細部まで丁寧に弾かれた曲に満足で、ベストを挙げるとすると、「So In Love」でしょうか。この冬に発売される予定の「Gene DiNovi Plays Rodgers And Hart」(マシュマロレコード 2013年9月録音)が、会場で先行販売されていたので購入し、ディノヴィさんにサインをしてもらいました。その時にテキトーな英語で「Flower Of The Nightは好きな曲で、演奏もよかったです」と話しかけました。でも、伝わったかどうかわかりません(笑)。楽しかったコンサートでした。
【ジーン・ディノヴィ・ホームページ】
ホームページ:ジーン・ディノヴィ・ホームページ
【挨拶中のジーン・ディノヴィ】
【サインしてもらったGene DiNovi Plays Rogers And Hart】