昨年の11月27日に、札幌のジャズクラブ「day by day」で、酒場詩人と言われる吉田類さんに遭遇しました(その記事へのリンク)。飾らない雰囲気で、改めてファンになり、この正月にも著書を読みました。
(吉田類さんのプロフィール)
吉田 類(よしだ・るい)さんは、高知県出身のイラストレーター、エッセイスト、俳人で、酒場や旅をテーマに執筆活動を行い、BS-TBSの「吉田類の酒場放浪記」(2003年9月放送開始)に出演している方です。この番組は、人気があって、僕の回りにも番組と吉田さんのファンが何人かいます。
(あらすじ)
雑誌『中央公論』の2018年1月号から2020年3月号まで連載されたエッセイをまとめた本です。日常の行動記が主で、酒場の場面はもちろん多いのですが、旅行や登山、個展の話など多岐に渡る内容で、著者の放浪ぶりが様々な角度から楽しめます。
(感 想)
著者は体格もよくて丈夫そうですが、体力保持で登山に出かけているのも親近感が湧きます。「酎ハイのアテは高尾の春霞」では高尾山が登場、「酒瓶はご来迎に乗って」では、北アルプス七倉岳の船窪小屋の4泊5日が描かれています。自然の描写も巧みです。
酩酊状態の中で、現実と幻覚の世界が行き来する場面には最初驚きました。例えば、「雨月に立ち飲む」では、俳優の故大滝秀治さんとの会話が出てきますが、情感が溢れるなど著者の面目躍如で、酒場詩人の真骨頂かもしれません。
巻末の小泉信一さんによる吉田さんの生い立ちや吉田論は、ファンには必読。文中に登場する俳句の中で気に入った三編を掲げます。
暫らくは吹雪破れて加賀の月
忘れ路の諏訪のそらへと花水木
立ち飲みてビルの峽の雨月かな
帯裏にある吉田類さんの紹介など
(参考 目次)
(札幌で遭遇した吉田類さん)
(参考) 吉田類さん (@karashi61) / Twitter
吉田類の酒場放浪記|BS-TBS /BS-TBS 4K 【全国無料BS放送】
(お正月に長野市の自宅で本書を読んでいるところです。)
本書を読む間に、ジャズ批評2022年1月号もパラパラと見ました。
缶ビールですが、泡が出てなかなか美味しいビールです。