先週、袴姿で街を行く二人連の女学生を見かけました。短大か大学の卒業式に出席したのでしょう。うちの娘も卒業ですが、早いものだと感慨深いものがあります。大学では室内楽クラブに所属して、ヴィオラとピアノを弾いていました。社会に出ても演奏の機会が持てるような生活をしてほしいと願っています。ピアノではショパン、ドビュッシーなども弾いていますが、好きなのはバッハ、ブラームスら古典派の作品のようです。モダン・ジャズの古典を聴いてみます。
MILES DAVIS (マイルス・デイビス)
'ROUND ABOUT MIDNIGHT (COLUMBIA 1955~56年録音)
古典とは、古い時代に作られ、長い年月にわたる鑑賞を経て、現在もなお高い評価を得ている作品の意味です。モダンジャズの古典というと、パーカーやパウエルとともに、マイルス、ロリンズ、コルトレーンらの作品が挙がります。このアルバムは、コロンビア・レーベルの第1作で記念碑的な意味も持ち合わせています。
メンバーは、マイルス(tp)、コルトレーン(ts)、レッド・ガーランド(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)です。曲は「'Round Midnight」、「Ah-Leu-Cha」、「All of You」、「Bye Bye Blackbird」、「Tadd's Delight」、「Dear Old Stockholm」とジャズ・スタンダードが6曲。
マイルスのプレイは抒情的です。ミュートも使っていますが、あまり刺激的ではないので、ミュートがどうも好きになれないという方はこの作品あたりからなら入りやすいのではないでしょうか。また、編曲が工夫されています。バップ的なソロのリレーではなく、例えば「Round Midnight」のリフによる間奏、「All of You」における各人のソロの出だしを伴奏なしで揃えたことなどはよく指摘されるところです。
久しぶりに聴きましたが、「Round Midnight」のリフ・インタールードの「ジャ・ジャ・ジャーン~」やそれに続くコルトレーンのソロ、「Ah-Lue-Cha」のテーマ処理、「By By Blackbird」におけるマイルスの簡潔な表現など、聴きどころが多くて僕の集中力は全く途切れませんでした。
本作品は、年月が経過していることもあり、このごろではあまり聴かれていないかもしれません。あらためて聴いてみると内容をほとんど覚えていて、自分自身で驚いています。ジャズに夢中になった頃聴いたためと、それだけ印象的な中身だったからなのでしょう。