村尾陸男著「ティー・フォー・トゥー物語」(中央アート出版刊)を読みました。永らく積読状態にあったのですが、読み始めると面白くて最後まで読みとおしました。「Tea for Two」という唄の成り立ち、演奏の変遷、そして作者のヴィンセント・ユーマンスやアメリカ・ポピュラーの歴史にも触れています。その中で挙げらていたアニタ・オデイの「Tea for Two」を聴いてみます。
ANITA O'DAY (アニタ・オデイ)
at MITER KELLY'S (Verve 1958年録音)
アニタ・オデイは、ヴォーカルといってもジャズをその前につけて、ジャズ・ヴォーカルという言葉がふさわしい歌手です。歌全体の構成やアドリブに創意工夫がみられるからです。そのことは、「ティー・フォー・トゥー物語」でも出てきます。もっとも、そのようなことを離れて、このアルバムはライブ・ハウスでお客さんを前にして楽しさと親密さが感じられるものです。
録音は、シカゴのライブハウス「Mister. Kelly's」におけるものです。サラ・ヴォーンやオードリー・モリスがここでライブ盤を作っている当時の有名クラブです。メンバーは、オデイ(vo)のほか、ジョー・マスターズ(p)、ラリー・ウッズ(b)、ジョン・プール(ds)です。プールのドラムスの小技が冴えています。
「Tea for Two」(二人でお茶を)は、もとは「ノー・ノー・ナネット」というミュージカル中の曲です。アニタは急速調であっというまに歌い終わります。スキャットを交えたたいへんスリリングなものです。その他にこのアルバムに収録されている曲は、「But Not for Me」、「Have You Met Miss Jones?」、「Star Eyes」、「The Song is You」などで、全12曲です。
スイングしながら奔放に歌いまくりますが、バラードでは歌詞をより大事にしてじっくりと歌います。「It Never Entered My Mind」と「Loneliness is a Well」がバラードの代表です。「The Song is Ended」は、はじめスローででて、アップテンポ、ミディアムとテンポを変化させています。アニタ・オデイならではです。
ホームページに「ティー・フォー・トゥー物語」の紹介と読後感を記しました。時間があればご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう