あるBOX(改)

ボクシング、70年代ロック、ヲタ系、日々の出来事などをウダウダと・・・

書籍「浪速のロッキーを<捨てた>男」(2)

2015年06月03日 | ボクシング
個人的に本のタイトルは客寄せに過ぎないというか、
タレントとして知名度高い存在を前面に出しただけ
・・・というか。

それは故・津田会長が人気ボクサー赤井の存在と
キャラクターをもってしてスポンサーを獲得し、
TV局との繋がりを深めていった方法論にも似ている。



実際のところは
「稀代のプロモーター・津田博明の人生」の
副題通り、出生からボクシングジムでの練習生時代・
トレーナー時期を経て愛寿ジムを興し、世界戦を開催する
プロモーターに至るまでが記されている。

勿論ジムの隆盛に赤井の存在は不可欠だし、赤井が
リング禍に倒れた時点で事実上の終章となっている。

「終章」の項もあるが、まさにエピローグ。
年月を経て、病に倒れた晩年の津田会長に筆者が
インタビューした記憶、亡くなった後の日々が短く
描かれている。



もちろん、故人の人生を綴る難しさもある。
推測や思い込みも入り込むし(そもそも生前行なった
インタビューさえ本人が事実や本心を語ったかどうか
分からない)。

それでも、
周辺人物へ聞き込み・当時の記録の洗い直しなど、
気の遠くなるような労力には敬服するしかない。

登場する人物も
森岡栄治、神林会長、勝間和雄、西村貴晴、川手康正、
ロード満、津田ジム選手でも杉本光一・伊良皆尚幸・
仲里義竜・・・などなど

自分が熱心にボクシングを見ていた時代の名前ばかりで
それだけでページを捲る手に力が入った。



津田氏がジムを興すにあたり、本命は赤井以外にいたが、
その素質ある若者からはプロ入りを断われていた・・・など
それまで知らなかったエピソードも興味深い。

それだけでも
「この本を買ってよかった」と思わせてくれました。