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あるBOX(改)

ボクシング、70年代ロック、ヲタ系、日々の出来事などをウダウダと・・・

ポール・ロジャース・ネタで引っ張る!フリー、バッドカンパニーのアルバム・レビュー(6)

2005年11月18日 | CD・書籍紹介(FREE)
ここらから「オススメ」というより、発表順にアルバムを並べてレビューして行きましょう。僭越な行為ではありますが。

【トンズ・オブ・ソブス+8 TONS OF SOBS】 UICY-2395 \1748(税抜) 
オリジナル:1969年作品

忘れじのへヴィ・ロック・バンド「フリー」のデビュー・アルバム。
上記の商品番号は、オリジナル・トラック10曲にボーナス・トラック8曲を加えてのレギュラー商品のもの。

ぶっちゃけ、当時はブルース・ロックのブームも下火っつ~か、「アート・ロック」に移行した時代だと思うのだが(あと「サイケデリック」「フラワー」路線)。

そんな時代に偉大な若年寄たち(10代のメンバーもあり)は、勢いに満ちたブルース・ロック・アルバムを作り上げたのでした。

売上も良くはなかったらしいが、フリーの魅力の片鱗とロックらしい初期衝動が詰まった瑞々しい好盤で。
私は大好きなアルバムです。



以下、曲目。
1.オーヴァー・ザ・グリーン・ヒルズ~パートI
2.ウォリー
3.ウォーク・イン・マイ・シャドウ
4.ワイルド・インディアン・ウーマン
5.ゴーイン・ダウン・スロウ
6.アイム・ア・ムーヴァー
7.ザ・ハンター
8.ムーンシャイン
9.スウィート・トゥース
10.オーヴァー・ザ・グリーン・ヒルズ~パートII
~ボーナストラック~
11.アイム・ア・ムーヴァー(BBCセッション)
12.ウェイティン・オン・ユー(BBCセッション)
13.ガイ・スティーヴンス・ブルース(ブルース・ジャム)
14.ムーンシャイン(オルタナティヴ・ヴォーカル)
15.スウィート・トゥース(アーリー・テイク&オルタナティヴ・リリックス)
16.ヴィジョンズ・オブ・ヘル(未発表マスター・ミックス)
17.ウーマン・バイ・ザ・シー(オルタナティヴ・ヴァージョン)
18.オーバー・ザ・グリーン・ヒルズ(BBCセッション)    

1曲目はアコギ弾き語り風の「オーヴァー・ザ・グリーン・ヒルズ~パートI」。
クリムゾンのセカンドで言えば「平和」に当たるオープニングの小品。

2曲目の「ウォリー」は、アップテンポでアグレッシヴなブルース・ロック・チューン。とにかくヴォーカルも演奏も勢いあるねぇ。

ギターのフィードバック音から始まる3曲目が、「ウォーク・イン・マイ・シャドウ」。リフも最高な、「これぞ、フリー!」ってな“ヘヴィ・ブルース・ロック”だが、ロジャース先生は「自分が前のバンドで作ってた曲で、そう言われるのは不思議だなぁ」と素っ気ない。

4曲目の「ワイルド・インディアン・ウーマン」は、ミディアム・テンポのブルース・ロック。
この辺、ピーター・バラカン氏の「フリーはハードロック・バンドと言われてるが、自分はブルース・ロックのバンドだと思う」って意見も分かる。

5曲目はブルース・カヴァーの「ゴーイン・ダウン・スロウ」。
ブルース・フォームに則ったフレーズとリズムが聴ける曲。
ピアノも、まんまブルース調。

ドラムの導入から始まる6曲目の「アイム・ア・ムーヴァー」は、ライヴよりテンポ速め。
サイモン・カークの手数も多い。

7曲目はアルバート・キングの曲「ザ・ハンター」。
ブルース・カヴァーなれど、前ノリのシャッフルにアレンジ、当時ライヴのオープニングに使われてたと聴いて納得の演奏。
コゾフのギターが楽しげに宙を舞っている。
このアルバムでのコゾフのプレイは、本当にイキイキとしているんだよなぁ。

8曲目の「ムーンシャイン」は、スローな曲調で。
抑揚効いたロジャースの歌唱は、20才そこそこの若者と思えない。

9曲目の「スウィート・トゥース」も、後年なら後ノリで演奏される曲調だが、ここは性急に叩くカークに若さを感じますな。
ギターソロのバックで聴かせるフレーザーのベース・フレーズには、将来性を感じさせる自在さの片鱗あり。

10曲目は「オーヴァー・ザ・グリーン・ヒルズ~パートII」。
1曲目と同じ展開に戻って終焉。
エンドレス効果あり・・・か?

とにかく、後年の「これぞ、フリー!!」っていう後ノリ感も無く、ベースも無難なフレーズ弾いてる「いかにも青い」ブルース・ロック・アルバムだが。

それだけに、当時のライヴの熱気をパッケージしたアルバムとも言え。
若い勢いで一気に作り上げた、後年のフリーのスタジオ盤に無い瑞々しさが眩しい。

なぜか、後年のアルバムより音質も良い事も特筆しときたい。

プロデューサーは、ガイ・スティーブンス。
アイランド・レーベルの社長クリス・ブラックウェルは、バンドがセルフ・プロデュースした後年のサウンド(「ファイアー&ウォーター」など)を聴いて「しまった、まだ早かったか!」と嘆いたという。

――だめだ、やっぱり結局「お奨めアルバム」のノリでレビューしてしまった(笑)。

ポール・ロジャース・ネタで引っ張る!フリー、バッドカンパニーのアルバム・レビュー(5)

2005年11月18日 | CD・書籍紹介(FREE)
FREE【ハートブレイカー+6 HEARTBREAKER】 UICY-2401 \1748(税抜)

*オリジナルは1973年作品これまたボーナストラック付きのお徳盤。
アンディ・フレイザー(b)が脱退し。そこにラビット(kb)、元ミッキー・カーチス&ザ・サムライの山内テツ(b)を加え、ポール・コゾフ(g)をゲスト扱いにして制作された、フリーのラスト・チャレンジ・アルバム。

クスリで状態悪くなったコゾフ抜きで来日、ロジャース先生がギター兼任で行ったステージの評判は悪く。
「やっぱフリーはオリジナル・メンバー」と言われながらのアルバム発売だけに、当時は風向きが悪かった一枚。

・・・とは言え、色々なミュージシャンにカヴァーされた一曲目は不滅で。
キーボード加入で、中低域が安定したため、全体に座り良い印象あり。

曲によっちゃロジャース先生がオリジナル・フリー空中分解時に組んでたバンドでリハ演ってたモノもあり。
その辺、権利がややこしくなるからとクレジットは競作扱いが大半だとか。

オリジナル・フリーが成し掛けた世界制覇の「夢よ、もう一度」とばかりに炸裂するヘヴィ・ロックが眩しい。

当然、ロジャース先生の歌唱も全曲素晴らしい。



――以下、収録曲。

1.ウィッシング・ウェル 
2.カム・トゥゲザー・イン・ザ・モーニング
3.トラヴェリン・イン・スタイル
4.ハートブレイカー
5.マディ・ウォーター
6.コモン・モータル・マン
7.イージー・オン・マイ・ソウル
8.セヴン・エンジェルス
~ボーナストラック~
9.ウィッシング・ウェル(USミックス)
10.レット・ミー・ショウ・ユー(シングルB面)
11.マディ・ウォーター(オルタナティヴ・ヴォーカル)
12.ハンド・ミー・ダウン/ターン・ミー・ラウンド(プロスペクティヴ・アルバム・トラック)
13.ハートブレイカー(リハーサル・ヴァージョン)
14.イージー・オン・マイ・ソウル(リハーサル・ヴァージョン)

2曲目の「カム・トゥゲザー・イン・ザ・モーニング」も壮絶曲で。
とにかく、P・コゾフの断末魔ギターが凄い。
やや遅目のミディアム曲、中間部のソロで泣き叫ぶようなビブラート効いたロングトーン連発。
個人的には「1st」や「Live!」でのイキの良いギター・ソロも好きだから、「コゾフと言えば泣きのギター!」と決めつけられるのに抵抗あるのだが。
クラプトンも驚いたという、こんな泣きのソロ聴かされちゃイメージも定着しちまうわなぁ・・・。

3曲目は、アコースティック風味の「トラヴェリン・イン・スタイル」。
後半のホンキートンク調のピアノも味があって良い。

4曲目がタイトルチューンの「ハートブレイカー」。
1曲目と対を成すような腰の据わったヘヴィ・ロック。
リフも見事、ロジャース先生も絶叫・・・の佳曲ですわ。

5曲目が自身のルーツを表明したような「マディ・ウォーター」。
そうそうロジャース先生が歌う「♪アイ・ワズ・ボーン・・・」の後には「マディ・ウォーター♪」もありましたよ。
「オレは泥水から生まれた」ですよ!地に足ついた楽曲、これまたGOOD。

6曲目がラビットのキーボードが光る「コモン・モータル・マン」。
やっぱり歌メロが良いです。

7曲目が、後にバドカンのライヴでも演奏されたアコースティック風の「イージー・オン・マイ・ソウル」。
「♪イ~ゼィ・・・」と合唱するのが当時のパターンだったようで。

8曲目は、オリジナル盤のラストを飾る「セヴン・エンジェルス」。
これまた1曲目や4曲目と相通じるヘヴィ・ロック。
フリーらしからぬ壮大な曲だが、ちょっと大仰で、お腹一杯・・・。

個人的には、かなり好きなアルバム。
フレイザーのウネウネ・ベースが無いのは寂しいが、テツの硬質なベースも屋台骨を支えるって意味じゃ本来の仕事してるし。

このメンツでのグループ続行もありだったろうが、コゾフもラリパッパが進行、専任ギターの不在などもあってか長続きせず。

結局、フリーはこれで完全に終わり。

テツはフェイセズへ、ロジャースとカークはバドカンへ、コゾフはソロへ、ラビットはセッションへ(The Whoのツアーにも参加)・・・。

コゾフ亡き後、ロジャース先生が「コゾフ抜きでのフリー再編は絶対にない」と明言している以上、これが正真正銘の「フリー、ラスト・アルバム」であり。

その名に恥じない力作であるのは間違いない・・・と感じるワケなのです。