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映画、読書などのメモ

ミケランジェロの暗号

2020-06-19 | chinema(欧米系映画)

 


★ミケランジェロの暗号
原題:Mein bester Feind
監督:ウォルフガング・ムルンバーガー
キャスト:モーリッツ・ブライブトロイ、ゲオルク・フリードリヒ、ウルズラ・シュトラウス、他
2010/オーストリア

 

《ミケランジェロの暗号》ときけば心騒ぐ。
《ダヴィンチコード》みたいな、仕掛けがあるのか。
《これは面白そうだ》と思い観た一作。

400年前、バチカンから盗まれたとされる《ミケランジェロのデッサン》は出てくるが、
いっこうに《タイトルの暗号》にかかわる話としては進行しない。
それどころか、たんなる小道具扱い、
《ミケランジェロの名は客引きパンダの役割》と途中で気がつき、
《邦題のインチキ》にまたもしてやられたと思った。


が、映画そのものはなかなかの快作。
第2次大戦時のナチとユダヤ人の話としては、
かなりコミカル。
ラストの爽快感のような感覚は、この手の映画としては珍しい。
ヴィクトル・カウフマン役にモーリッツ・ブライブトロイ。
何処か観たよと思っていたら
「ソウル・キッチン(SOUL KITCHEN)/2009」に出ていました。
コメディタッチが似合うはず。


ウイーンを舞台にお話は展開する。
オーストリアはナチの勢いに飲み込まれてゆくが、
何分、ベルリンからはかなり遠い。
その距離感がこのお話の緊迫度を緩め、
ちょっと間抜けなお話。
状況の変化によって、二人の男の立場は攻守ころころ変わる。
その可笑しさを描いているが、
達観した歴史観みたいなものまでも感じさせてくれた。


この映画でも、
スイスは逃亡先というか、亡命先というか、
いわゆる《駆け込み寺》の役割を果たしている。
スイスは早くから、神聖ローマ帝国から独立を果たし、
1815年のウイーン会議に、《永世中立》の立場を認めさせている。
そして現在もEUに加盟せず。不思議な国である。
しかもヨーロッパの中央に位置し、多くの国と国境を接する。
防衛体制もしっかり敷いいている。
こちら日本からみると不思議だ。
羨望の想い。