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A&K の NOTES

陽はまたのぼり、陽はまたしずむ。あちこち歩き回りながら、スケッチを楽しんでいます。

殿様の通信簿

2017-12-28 | 

本を読んだ。

★殿様の通信簿
著者:磯田道史
出版社:朝日新聞社

最近、よくお顔をテレビで拝見いたします。
人気なんですね。

本の帯には「平成の司馬遼太郎」の呼び声も高いと書いてあり
、司馬ファンとしては、これは一度読むより手はないでしょうと買ってしまった。
読んでみると、なるほど歯切れの良い文章リズムで、爽やかです。
司馬さんの書く物の中に、
「・・について書く」とか
「話がかわるが・・」
とかいった単刀直入の書き出しがよくあり、
ぐっと引きつけられるのですが、
磯田さんの文章にもそのような要素があります。

作家の磯田さんは年齢もまだお若いので、
今後どのような世界観を表現されるのか注目していきたいです。
最近、よくお顔をテレビで拝見いたします。
人気なんですね。

私には、「江戸時代、加賀100万石という大国が何故にたたきこわされずに残ったのか」という日本史上の疑問がずっとありました。この本には、さもその時代を見てきたように解説されています。お見事です。「武士の家計簿」も読んでみることにしました。

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ヘンな日本美術史

2017-12-22 | 

本を読んだ。

★ヘンな日本美術史
著者:山口晃
出版社: 祥伝社

●第1章 日本の古い絵ー絵と絵師の幸せな関係(鳥獣戯画、白描画、一遍聖絵(絹本)、伊勢物語絵巻、伝源頼朝像)
●第2章 こけつまろびつの画聖誕生ー雪舟の冒険(こけつまろびつ描いた雪舟/なぜ雪舟は邪道を選んだのかー「破墨山水図」ほか)
●第3章 絵の空間に入り込むー「洛中洛外図」(単なる地図ではない、不思議な絵/とっつきやすさの「舟木本」 ほか)
●第4章 日本のヘンな絵ーデッサンなんかクソくらえ(松姫物語絵巻、彦根屏風、岩佐又兵衛、円山応挙と伊藤若冲、光明本尊と六道絵-信仰パワーの凄さ)
●第5章 やがてかなしき明治画壇ー美術史なんかクソくらえ(「日本美術」の誕生、「一人オールジャパン」の巨人ー河鍋暁斎、写実と浮世絵との両立-月岡芳年、西洋画の破壊者-川村清雄)


僕は、山口さんの実作品を観たことはない。
何度も見る機会はおとずれていたが、どういうわけか観ていない。
ところが、テレビに出演した山口さんはどういうわけかよく見ている。
ひょうひょうとした語り口は、ある意味この本の魅力ともなっている。

そのうちに作品を観る機会はやってくるだろう。
楽しみに。

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堕落論

2017-12-16 | 

本を読んだ。

★堕落論 (新潮文庫)
著者:坂口安吾
出版社: 新潮社


久しぶりに坂口安吾を読んだ。
ほんとに好き勝手に思ったことをズバリズバリ痛快に書いている。
好き勝手と書いたが、彼自身は強い意志と明晰な分析力で、自分の思いを表明している。
大勢の反発を覚悟で書いていると思われる。
敗戦直後《半年後ではあるが》の時代の空気の中で書いているので、
堕落ではなく、ある意味上段の構えである。
《そこまで気張ることはないだろう》と気後れしてしまうが、
戦時中も命がけだが、戦後も命がけである。

《堕落論》と銘打っているが、今日的には《極めて健全》である。
《堕ちよ》のデカダンス言葉は、当時の人々にとって至極魅惑的言葉であり、意識が少し変わり始めた瞬間である。
21世紀の今読んでも、刺激的である。
ひょっとしたら、我々日本人の精神構造は、安吾の生きた時代とはあまり大きな変化がないのかもしれない。

人を発熱させるメッセージを発するのは、これアーチスト。
生きろ、生きろと喚いているようだ。

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西洋の伝統色

2017-12-14 | 

★西洋の伝統色
著者:西洋の色を愛でる会
出版社: 大和書房(2017/01/10)


西洋で長く親しまれてきた、美しき186色を紹介しています。
色の由来に触れて、186の物語。
今まで、何気なく、気の向くまま使ってきた
青、赤、オレンジ、ピンク、黄、緑、紫、茶、そして、黒、白。

手元において、気ままにページをめくる。

 

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疲れすぎて眠れぬ夜のために

2017-12-12 | 

本を読んだ。

★疲れすぎて眠れぬ夜のために (角川文庫)
著者:内田樹
出版社: 角川書店 (角川文庫)

この本は2回目です。

僕が特になるほどなぁと唸るのは
《女性嫌悪の国アメリカが生んだサクセスモデル》というところ
ここでの彼の話は非常に興味深い。
西部劇は鎮魂のための物語であり、
アメリカ文学は今なお《傷つけられた男の癒し》という大テーマに取り憑かれているという主張。
ものすごく納得しました。
彼の主張を読みながら
《そぉーか、ギャツビーの物語はまさに男の鎮魂の為の小説》だと納得。
興味ある方は、是非、どうぞ。

結構好き勝手にしゃべったものを本にしたという気楽さが滲み出ていますが、
息抜きにはちょうどいい。
余分な力みがすっと抜けます。

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《ヴォイド・シェイパ 》シリーズ

2017-11-19 | 

本を読んだ。

★《ヴォイド・シェイパ 》シリーズ
著者:森博嗣
出版社: 中央公論新社

1巻:ヴォイド・シェイパ The Void Shaper
2巻:ブラッド・スクーパ The Blood Scooper
3巻:スカル・ブレーカ The Skull Breaker:
4巻:フォグ・ハイダ The Fog Hider
5巻:マインド・クァンチャ The Mind Quencher

 

一言でいえば森博嗣の《剣と思索の旅物語》である。

主人公ゼンは、山から降りて人社会と交わり
それなりの知識と生きる知恵がついた。

はじめは、見るもの触るもの全てに新鮮な驚きがあったが、
しだいに人との共同作業から
ゼンなりの人生観、
そして、そこからたどり着く《剣の道》が語れれる。
全てが主人公ゼンの視線で描写される一直線な感覚。
RPGゲームの主人公と一緒に旅をする感覚でした。

生きるとは負け続けること、
死ぬとはもう負けぬこと。

まさしく禅問答。

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限りなく透明に近いブルー

2017-10-07 | 

本を読んだ。

★新装版 限りなく透明に近いブルー
著者:村上龍
出版社: 講談社:新装版 (2009/4/15)

1976年の村上龍の作品。
当時、衝撃的に扱われたので、単行本を買って読みました。
いまだ、僕の本棚に残っているところをみると、
やはり何処か気になっていたのかもしれない。
(僕は時々、本棚の大掃除をします。ほぼ処分します)

で、
今回読んだのは、本屋さんに新装版となって並んでいた文庫本です。
40年前に読んだ時の気分が少し残っているので
現在はどんな気分になるかなぁと。

エログロ、ドラッグ、繰り返される吐き気の光景。
登場人物たちが吐き気をくりかしている文章は読んでいて心地よくはありません。
しかも作者、村上龍はしつこく無機質に容赦なく描写する。
こっちだって吐きたくなるくらいです。
やっぱり今回も
全体のトーンは《限りなく無機質なグレー》を感じてしまいました。

70年代のひとつの青春物語。
大きな物語に夢を語れない青春群像。
それからの時代は、さらに刹那的に、そして限りなく欲望を求めてゆく時代。
そういう意味では、
70年代の記念碑的作品でしょうか。

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少し変わった子あります

2017-10-06 | 

本を読んだ。

★少し変わった子あります
著者:森 博嗣
出版社:文藝春秋

十三夜の月を眺めながら、
ほろ酔い気分で、本屋さんに入ると、
一冊のステキな本に出会いました。
森 博嗣さんの「少し変わった子あります」。
装画がきらりと光り、ぺらぺらめくると、たしかに少し変わった子の挿絵があります。
帯のキャッチコピーは「上品で美しい孤独をどうぞ」と書いてあります。
買うよりほかに手はありません。
本との出会いにはいろいろありますが、私の出会い方はたいていがこんな感じです。

 

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わたしを離さないで

2017-10-05 | 

本を読んだ。

★わたしを離さないで
著者:カズオ・イシグロ
訳者:土屋政雄
出版社: 早川書房 (2008/8/22)

2011年に公開(日本)されたイギリス映画《わたしを離さないで》の原作。
かなりの衝撃作として、
また注目の若手俳優の共演ということで、
観たかったのですが、
劇場での鑑賞はついに見逃してしまいました。
DVDは出ていますが、《カズオ・イシグロ》の本はまだ一冊も読んだこともなく、
それなら原作の方を先に読んでみようということにしました。

物語はさもありふれた日常だったかのように淡々と過去が語られています。
しかし、若者たちの日常は、読み進むに連れ《不気味感が増幅》してゆきます。
それでもなお、抑制を効かせ、一層《美しい青春物語》かのように記憶が語られます。

(映画のシーンより)


彼らは、《クローン人間》です。
《臓器提供者》として作られ、
大人になるまでの一定期間隔離された施設で何不自由なく育つことになります。
施設での他愛のない平和的な日常が淡々と語られ、
そして、その後、施設を出、
《提供期間》の絶望と希望も、抗議するでなく、またもや淡々と語られます。
その際立った抑制された文章がむしろ異様なくらいです。
そして異様な世界だからこそ、《人間本質》みたいなものをさらりと描いています。

作者カズオ・イシグロが書き込みたかったものは何でしょうか?
単に、《人間生命の倫理観》だけとは思えません。
過去の記憶が余りにも美しく描かれ、登場人物たちの《過去への記憶の浄化作用》は尋常ではないような気がします。
せめて《生きた過去》を《美しいものだった》と無理やり思いたいような行動。
それは《記憶の捏造》とも言えるような気がします。
《記憶の捏造》こそ、人間の本質そのもの。
彼の関心はそこでしょうか?

20年ほど前、《クローン羊》の誕生がイギリスで話題になりました。
クローン技術の哺乳類での成功は、我々人類にも適用できるということです。
SF世界では、戦闘要員や特殊工作員など、いろいろ物語が作られ、
最近では、テレビでも度々ドラマ化されます。
しかし、
《臓器提供》というまさに《生命の倫理観》に関わる物語はやはり心穏やかでは見れない世界です。

 

人生は考えているより短いが、、、、。

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横道世之介

2017-09-01 | 

突然の時かけだった。

 

 

★横道世之介 (文春文庫)
著者:吉田修一
出版社: 文藝春秋

 

《世之介》という名前、井原西鶴の《好色一代男》にも登場。
著者の吉田さん、
ただ単にウケ狙いで、
主人公の名前に《横道世之介》とつけたわけでもないでしょう。
確信犯的な意味付けが絶対何処かにあるはずだと想いながら読み続ける。

この《世之介》、
誠にいい男、スキだらけの好人物、
ふらふらしながらも何かを一つずつ拾い上げながら《小さな物語》を作り上げる、
懐かしいほどに好人物。

偶然の人との出会いそのものが青春。
九州から東京へ、
18歳の大学生の初々しい青春生活が語られ、
なるほどなるほどと自分の思い出と重なりつつ読み進む。
このままダラダラ進行か?と飽きた頃、
突然、時代が現代にワープ。
《えっ? これは時かけ物語?》

お話は突然に、《ある種の個別な物語性》を持ち始める。
そこらへんが、作者吉田さんの技。
ラストの結末は無理やりねじ込んだ感を持ったが、
《人にはそれぞれに人生がある》
とある種の達観した気持ちにもなる。

途中、さりげなくだが、
気に入った文章があったのでここに記録する。
作者吉田さんがヒロイン与謝野翔子に言わせる言葉。

大切に育てるということは「大切なもの」を与えてやるのではなく、「大切なもの」を失った時にどうやってそれを乗り越えるか、その強さを教えてやることなのではないかと思う。

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八月の六日間

2017-08-14 | 

本を読んだ。

★八月の六日間
著者:北村薫
出版社: KADOKAWA/角川書店

「なんか読む本はないかな?」と探していると、
本屋でたまたま眼に止めた本。
以前、新聞書評欄で好評だったのを思い出した。
ページをめくると、
かって若いころ(だれでも若いころはある)、
登ったコースの地図が載っている。
おつ、これは!

神々しい山のことが書いてあるかと思ったが
こそばゆいくらいのファンタジーな山の小説だった。
ちょっと危なっかしい山の小説だった。
作者の北村さんは、実際に山に上った体験を書いているわけではない。
というか、まったく上らずに、山のことを描いている。
作者の取材力は凄い。
読みながら自分も山の気分を味わった。

いろいろ小ネタを散りばめて飽きさせず、
ラストまで気持よく読ませてもらった。

《あずさ2号》問題のウンチクは面白かった。
男は別れた女に思いを残したりする。だが女は、思い出を美化などしない
それはそれとして取っておこうーなんて考えない。

しかし、この本の主人公は、その思い出に囚われ、
忘れるために仕事をし、
時間をリセットするために、
一人山に上る。

かって若いころ(だれでも若いころはある)、
上った山の道や、眺めた山の姿を思い出した。
蝶、常念、燕コースがなかなかの臨場感溢れる文章。

久しぶりに屋へ行くか。
足腰と精神を鍛えないと。

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一茶

2017-08-02 | 

本を読んだ。

★一茶
著者:藤沢周平
出版社:文藝春秋(文春文庫)
2009・4・1

リリー・フランキーを主演に、《一茶》の映画づくりが進んでいます。
公開前に、原作を読んでみました。
家族との愛憎や確執、世間への葛藤などを描き出した作品です。

一茶の句は素朴な印象を与えますが、

彼はなかなかしたたかに生き抜いた男のようです。
俳聖か、風狂か、世間師か 
彼の人生はあまりにも複雑です。

晩年になって娶った若妻(3人)とのすざまじい夜の過ごし方には呆れます。
あまりの凄さにお互いに命を縮めたらしい。
遺産相続に関する強引な手順には何処か腑に落ちない感覚が残る。

奇妙な印象を残す俳諧師の一生ですが、
彼の句は
《のどか》で
《ひょうひょう》としています。

 

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世界地図の下書き

2017-06-09 | 

本を読んだ。

★世界地図の下書き
著者:朝井リョウ
出版社:集英社 (2013/7/5)

朝井さんの繊細な視点に惹かれて、小説は三冊目。
今回の物語は理想郷にはまりすぎたきらいがする。
子どもを奇麗に描きすぎる。

児童養護施設の子どもたちを描いている。というより、この施設に関わる大人の人々の希望と願いを、子どもの姿に託して描いていると言い換えたほうがいい。

インタビューを読むと、
施設の職員への取材は周到にやっているが、子どもへの取材、観察は敢えてしていないようだ。朝井さんは、《無責任な関わりを避けたい》ということだったと書いている。そのことの意味は痛いくらいよく解る。

朝井さんは、子どもたちの現実を見つめたが故に、作家として《希望と願い》を描かざるを得なかった。そうせざるをえなかったということだと思う。子どもの心の深い闇に、不遠慮に入り込むことをためらった。だからちょっと奇麗になりすぎた。
童話のような世界ではある。中学生や高校生はどのような読み方をするのだろうか。

 

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何者

2017-06-08 | 

本を読んだ。

★何者
著者:朝井 リョウ
出版社: 新潮社

直木賞(2012年下半期)作品である。
平成生まれの作家が何で直木賞?
映画化されたが観ていない。

就職活動に集中する学生群像物語ではあるが、
青春の臭いのまったくしない、閉塞感漂う、ある種、不気味な世界である。
《これが現代就活学生の日常実態》
といえば、それまでの話で、
《で、それがどうした?》

就活スタイルは時代とともに大きく変わってきたが
(パソコン、携帯等の時代になり、いっきに変わった。
持ってないとあるいは知らないと、就活そのものができない)
ひとり一人の学生にとって、その悩みと苦労は変わらない。
(何十年前の僕らの頃も変わらない)
若者は、常にいつも何者かになろうと悪戦苦闘する。

登場するのは就職活動する男女数人のみ。
まるで半径1キロメートルの範囲の中で蠢いているような閉塞感を感じた。
同年代の若者が、互いを意識し監視しているようにさえ思う不気味な日常。
面と向かっては素直な言葉を言えず、ツィッターの世界で自分の想いをつぶやく。
互いにツィッターを覗きながら、身近な生身の人間を瀬踏みをする。
《これは密室劇か?》
とさへ感じた。

以前に、朝井さんの《桐島、部活やめるってよ》を読んだが、
ある状況を設定し、そこに蠢く高校生の姿を観察描写した作品だった。
《箱庭の世界を作り上げ、その中で生息する人間を観察する》
瑞々しい観察力に驚いた。

人生経験を積み重ねることによって少しずつ世界が広くなり、
登場人物に多様性が出てくると、
彼の観察眼力を生かしたさらに面白い物語が期待できそうだ。

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桐島、部活やめるってよ

2017-06-07 | 

本を読んだ。

★桐島、部活やめるってよ(集英社文庫)
著者:朝井 リョウ
出版社: 集英社 (2012/4/20)


映画《桐島、部活やめるってよ》は以前に観た。
僕はとても気に入ったけど、
まさか《第36回日本アカデミー最優秀作品賞》に輝くとは
当時は想像もしなかった。
《学生服の臭いがプンプンする作品》
だったが、果たして原作もそうだろうかと想い、
読んでみた。

朝井さん19歳時の作品。
《えッ!、19歳でこんだけ書けるの?》
《19歳だからこそ書ける同時代の高校生の揺らぎ》。

ちょっと人生経験を経て、
何処か見切ったような安全圏内に逃げ込んだようなオッサンにはなかなか掴みきれないような、同時代的感覚的文章。これからやってくる《未来に対する不安》というより《未来のひかり》を感じさせる明るい文章。現代の高校生を描いているのに、妙にノスタルジーを感じさせてくれる。

朝井さん、
13年に《何者》で第148回直木賞受賞。
《大学出たての若者が直木賞ですよ》
ある種の驚きと時代の風がなかなか掴みにくいという困惑。
彼の研ぎすまされた感覚は、今後何を汲み上げるのか、期待してみたいと思った。

 

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