有田芳生の『酔醒漫録』

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桜田淳子の芸能界復帰はない

2007-01-23 08:25:20 | 人物

 1月22日(月)桜田淳子さんが「婦人公論」で「独占告白」したため、ネットでも「芸能界復帰か」といったニュースが流れている。駅のキオスクで買って地下鉄で読む。肩書きは「女優」とある。山口百恵さんがもしどこかのマスコミで手記を発表したとしても「歌手」とは言わない。桜田さんにこの肩書きを使うのは、編集部が勝手に使ったのでなければ、そこにご本人の芸能界復帰への意思が入っているのだろう。「それでも自分に素直に生きる」と題したのは編集部だ。最初のリード文から事実誤認がある。「結婚を機に芸能界を遠ざかった」と書いているが、そうではない。社会問題化している統一教会による霊感商法を肯定したから芸能界にいられなくなったのだ。桜田さんは日常の家庭生活を語る流れのなかで信仰についても語っている。昨年11月に集英社からエッセイを出したことに関連して、編集部はこんな文章を挟んでいる。「桜田さんが、統一教会の信者で、合同結婚式で挙式したのは周知の事実。その後、教団に対して霊感商法に関する訴訟なども起こり、有名人である彼女が、そこにひと言も触れないのは、不自然だというわけだ」。ここでも再び基本的誤りがある。桜田さんが合同結婚式に参加したあとに霊感商法が裁判で争われたのではない。桜田さんはすでに社会問題化し、裁判にもなっていた霊感商法に対してマスコミの前で「喜んでいる人もいる」と肯定したのだった。桜田さんはこんどのインタビューのなかで「隠したつもりはないです」「今の私は、(批判を)甘受したいと思います」と語っている。

060613010_1_1 060613011_1  そのうえで「芸能界の仕事も、私の波動の変化をキャッチして、一緒にやろうという人が集まってくださるのかもしれないし、私も必要とされることでスイッチが入って、何か行動を起すかもしれない」という。この表明が芸能界復帰というニュースとなった。1992年の合同結婚式から14年が過ぎた。子育ても一段落した桜田さんがもういちど女優として活躍したいという気持ちは痛いほどわかる。桜田さんを育てたある芸能関係者などはいつも「淳子は惜しい」とつぶやいている。わたしにも何度か打診があった。そのたびに答えてきた。芸能界復帰はありえない。かつてほど表面化していないとはいえ、いまでも社会問題となっている(静岡での被害が大きい)霊感商法を肯定したからには、曖昧なままで芸能界に戻ることはできない。もしそのような動きが明らかになったときには、被害者や弁護士たちは猛烈な抗議を寄せることになる。霊感商法が違法であることは最高裁でも認定されている。この高いハードルはいくらエッセイ集を出版しインタビューを受けても超えることはできない。わたしはいつか円熟した演技を見せる桜田淳子の姿をどこかの舞台で見たいと思っている。しかし、統一教会の文鮮明教祖の前で歌うような桜田さんなど見たいとも思わない。日本人信者に送金命令を出し続けている文鮮明教祖がいるからこそ霊感商法は終らないからだ。神保町で降りて東京堂書店。大道寺将司句集『鴉の目』(現代企画室)を買い、東京大学出版会の「UP」をもらう。高岡書店では弘兼憲史さんの『常務 島耕作』(講談社)を手に入れた。