「降りま～す」

その時、私は加古川線の2両目に乗っていました。


加古川線はワンマンカーです。

しかも無人駅がたくさんあります。


とある駅に到着しました。
しばらくして、そろそろ発車するかしらと思った頃に、「降りま～す」という若い女性の声。

駅員のいない駅では後ろの車両の扉は開きません。

降りようと思っていた扉が開かない！ということにやっと気がついたのでしょう。

しかし、「降りま～す」と言っても、2両目の真ん中辺りから1両目の運転手さんに聞こえるはずもなく…。

「降りる方は一番前の扉から…」と何度も車内アナウンスが流れているのですが、この手の電車には乗り慣れていないのでしょう。

その女性は急いで1両目に移動を開始しましたが、数秒後無惨にも電車は動き始めてしまいました。

高校生たちから同情の小さな声が漏れました。

次の駅で降りたのでしょうが、目的地までどうやって行くかしら…と気になりながら私は電車に揺られていました。



何事も慣れていないことは大変だということです。