あめふり猫のつん読書日記

本と、猫と、ときどき料理。日々の楽しみ、のほほん日記

エレクトラたちの純粋。

2010-10-20 00:51:42 | 本(エッセイ・ノンフィクション他)

ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘 ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘
価格:¥ 1,500(税込)
発売日:2010-02
9月で終了しましたが、朝ドラの『ゲゲゲの女房』はちょっとした話題になりましたね。

わが家でも毎朝観ておりました。

そして、それにのっかったわけでもないのですが、結局購入してしまったのがこの本。

水木しげる氏の次女水木悦子さん、赤塚不二夫氏の長女赤塚りえ子さん、そして手塚治虫氏の長女手塚るみ子さんの3人の対談をまとめ、3氏の短編作品を挿入した1冊。

もともとは、2008年7月かな、朝日新聞に載った同タイトルの座談会の記事が忘れがたく、もう一度読みたいな、と思って検索したのがきっかけでした。

へえー、こういう本が出てるんだー、と思っていたのですが、結局ネットの古本屋で買ってしまった。

読んでみると、娘たちが父親を語る企画だけに、赤裸々なエピソードや、ちょっと手厳しい意見もあったりするのですが、なにより印象に残ったのは、彼女たちの父親に対する一途な愛情でした。

本当に、3人が3人とも、父親とその作品を心から愛していて、たくさんの人に読んでもらいたい、読み継がれてほしい、と一途に願っている。その思いの深さには、あまり父親との関係がよくない私としては、少したじろぐほどでした。

これはただ自分の父親に対する愛情なのかな、それともいずれ劣らぬ天才3氏への才能に対する尊敬なのかな……と思いつつ、でも、微笑ましいというか、ちょっとじーんとする部分も。

娘さんたちの選んだ短編漫画も、ちょっと変わったテイストで興味深いです。

余談ですが、父親を深く愛する娘のことを、エレクトラ・コンプレックスというのはマイナスの表現なのでしょうが、エレクトラ、という響きが好きなので記事のタイトルに使ってしまいました。

エレクトラという娘は、琥珀色の瞳を持っていたそうです。そうして古代の人も、琥珀をこすり合わせると電気が発生することを知っていた。だからエレクトロニクスという言葉に、彼女の名前が使われていると。

こういうちょっとロマンテックぽいエピソードに弱いんです。

さらに余談。『ゲゲゲの女房』を観ているとき、日本画を描く友人と、よく言っていたのです。

認められなくとも、かき続けるのが大事だねって。

自分の作品を信じて努力する水木氏と夫人に、頭が下がり、また力づけられた半年間でした。

コメント
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