この本のサブタイトルは、“恋と本とごはんのABC”。
タイトル通り恋の話はすべて片思いのエピソードで、各章にはアルファベットを頭文字にしたテーマ(Aはアップルパイ、Xはそれこそクリスマスとか)があり、それをイメージした本や料理が紹介されています。
<新装版>片想いさん 価格:¥ 1,365(税込) 発売日:2006-02-07 |
本のセレクトは結構ツボですし、レシピも美味しそう!
わたしはB、バウルーの章を読んでバウルー(いわゆるホットサンドメーカー)が欲しくてたまらなくなりました。ベーコンとキャベツのシンプルバウルーがホント、美味しそうだったので。けっこう高価なので断念しましたけど。
でもこの本、厳密には“ひとり時間を楽しむ本”とは言えないのかも。
H、幸福、の章で『るきさん』という高野文子氏の漫画を紹介していて、ひとり暮らしを楽しみながらひょうひょうと生きてる主人公るきさんに憧れもあり、“物事は光りの当て方で、まったく違ってみえてくるものだと思う。わたしの「さえない生活」も、るき的側面から光りを当てれば、「のんきで楽しい生活」になる”と書いている。
でも、そのあと、“問題は、「るき的生活」に染まると、「一生ひとりでいい」と思ってしまいそうなところかな”と書いているように、決してひとりを良しとはしていないんですね。片想いがいつも胸にあるように、ほんとはふたりになることに強く憧れてる。
各章のエピソードも切ないのが多くて、身につまされることも多い一方、もっと楽しんだらいいのに、と思う部分もあります。
もっとも。こんなに片想いばかりしているひと、いるかしら。いや、いるだろうけど、センスもあり頭もよく、魅力的な人なのだから、誰かから想われることもあるはず。それがまったくないのは、“片想い”というコンセプトを際立たせるために意図的に書かないの…?とちょっと裏読みしてしまいます。
エッセイの形をとった小説なのでは……と疑いつつも、紹介されてる本とレシピを楽しみたくなる可愛らしい本です。
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