自分史 物怖じしない国際人を育てるヒント集

近現代史に触れつつ自分の生涯を追体験的に語ることによって環境、体験、教育がいかに一個人の自己形成に影響したか跡付ける。

豚、その生と死/黒コンドル

2010-06-20 | 体験>知識

開拓民にとってブタは必須の食料である。
牧場地の一角を囲って何頭も豚を飼っていた。
色情期の雄豚の性欲は凄まじい。雌を求めて高い囲いを飛び越えることすらある。
ねじれたドリルのような細長いペニスが的を外れて雌の背中を精液を垂らしながら這う光景は壮観だ。
雄の去勢にも立ち会った。押さえつけて睾丸を切り取った後消毒薬を塗って傷口を縫いつける。睾丸は待ち構えている犬に与えられる。
去勢してない雄の肉は臭くて食べられない。
母豚の難産にも立ち会った。父が産道に手を突っ込んで仔を引き出そうとするが手が大きくてできない。
そこでわたしが同じことを試みるが指が仔の顎に引っかからなくて失敗した。諦めたことを今なお後悔している。
その間母豚は仔をあやすようにグー・・グー・・グ・・とやさしい声を出し続ける。
いつしかその声も絶え勝ちになり結局母豚は二度と立ち上がらなかった。
病死した豚は通常埋められるか放置されて黒コンドルの群れに食い尽くされる。
ある時たまたま牧草地に放置されていた大きな豚の死骸が動いたのには魂げた。
最近老母に聞いたらはぐれ牛だったとのことだった。
牛か馬のほうが図体が大きいだけ記憶のつじつまが合う。
ガスが溜まってパンパンに膨れ上がった死体にウルブ(黒コンドル)の群れが肛門から腐肉を食いながら入り込み、わたしが見た時にはほぼ食いつくしていて死体は皮だけに、しかも乾燥して固くなり太鼓のように空っぽに、なっていたのだった。



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