ついこの間、石原良純がタウンページの広告をしていた。年に一度、電話回線の数の分だけ、電話帳を届けてくれるおばちゃんがいた。それまでは、福井県全部の個人別電話帳と職業別電話帳の2冊が、いつの間にか職業別が黄色い表紙の「タウンページ」などと変わっていた。
どんなに便利かと期待したが、めちゃくちゃ面倒臭い電話帳で、あっという間に、私は「不要」の烙印を押して、配達された翌日には廃品回収に放り込んだ。事務所に3冊、家に1冊または2冊「タウンページ」が届いて、邪魔で仕方がなかった。
会社名ですぐに番号を調べることができない。先に、その企業の職業分類を知る必要があるのだ。無知な都会の住人が初めての企業を探すときはそれでイイかもしれないが、大半の地方都市に住む利口な我々は、企業名を知っていて、知りたいのは電話番号なのだ。その企業が、どんな職業別に分類されているか、なんてのは、早い話がどーでもイイ。1秒も早く、知りたいのは、電話番号。
石原良純を使って、CMまで流していたタウンページは、評判が悪かったに違いない。よければ、CMなど流す必要がない。出世街道を上り詰めて、トップに躍り出た当時の社長の肝煎で世の中に出てきた「企画」に違いないと推測する。名前など知らないけれど、社長の汚名を注ぐべく、CMなども流したのだろうが、CMで役に立たないものが役立つようになるわけがない。
その後、10年ほどもかけて、世の中は光回線だ、と巨大な資本投下をして、日本の隅々にまで超高速、大容量の光回線ネットワークが誕生し、今では、銅の回線で、毎月2、3千円も使用量を払えば十分な無知な農家や老人世帯までもだまくらかして、映画だ、動画だ、インターネットだ、などと光契約を結ばせて、何とか投下資本の回収に躍起だが、所詮は軽トラックですむ荷物運びをレクサスのSUVでやっているようなもので、そうこうするうちに、世の中は5G時代に突入してしまっている。
もはや、地上の光回線は、無用の長物になりつつあり、携帯電話の空中企業に、ここからここまでは、地上の光回線をご利用になっては、いかがでしょうか? と空(あき)回線貸付業に専念している。同じ「空」でも、肩や、空を飛び交う電波企業で、地上には中継基地。方や、地上の電柱から電柱を結ぶ、中身が空洞の光回線。
元電電公社の巨大企業NTTは、長い下り坂の中で、必死に生き残りを模索している。JAと似たようなものじゃない?
インターネットは建物付属の情報コンセントで利用しており、固定電話がなくなっても何の不自由もありません。
我が家は、まだまだ、地上回線を手放せません。