当初、見送るつもりだったカルロス・クライバーのベートーヴェン・ボックス。盤友の煽りに乗せられて、ついつい注文してしまった。
躊躇した理由は、既に「4番」はアナログ化されていること。「田園」の音源がカセットテープとのことで音質に期待がもてないこと。その二点であったが、突如沸き起こった「7番」を聴きたい誘惑に抗うことは出来なかったのである。
そして、「7番」を聴き終えた今、無駄な抵抗はするものではないことを、興奮とともに改めて感じ入っているところ。
まさに天才の業。
狂気と紙一重の一期一会の芸術が、アナログ化によってズシリと重たいものとして心にの襲いかかってくる。
音質も、これまでに知るオルフェオとは一線を画す。
「4番」など初出盤と較べると、中域から低域の情報が増えているだけでなく、奥行きの深さや空間の大きさが感じられるなど、全体に立体感が増していているのが嬉しい。
「6番」は、元がカセットテープ音源とのことで、かつてCDで聴いたときは全く感心できなかったが、今回は期待を遙かに上回った。古い海賊盤CDを聴くことを思えば、それよりは条件が良いので、これもありだろう。
「4番」「7番」のセットに、ボーナス盤が付いたと考えれば、これほどのお宝はないとも言える。
ベートーヴェン:
● 交響曲第4番変ロ長調 op.60(録音時期:1982年5月3日)
LP1 A面:第1楽章、第2楽章/B面:第3楽章、第4楽章
● 交響曲第6番ヘ長調 op.68『田園』(録音時期:1983年11月7日)
LP2 A面:第1楽章、第2楽章/B面:第3楽章、第4楽章、第5楽章
● 交響曲第7番イ長調 Op.92(録音:1982年5月3日)
LP3 A面:第1楽章、第2楽章/B面:第3楽章、第4楽章
バイエルン国立管弦楽団
録音場所:ミュンヘン、国立劇場(第4番、第7番) 国立歌劇場(第6番)
録音方式:ステレオ(ライヴ)
3 LP
プレス工場:P + O Compact Disc(ディープホルツ、ドイツ)
180グラム重量盤