そもそも、H歯科の斉藤院長とは、15年を越すお付き合いだ。はじめて伺ったとき(当時は小田原市に開業されていた)、わたしの歯をしげしげと眺めたあと、「椅子から降りて、目をつぶって真っ直ぐ歩いてみて」
と言う。そこで、言われた通りに歩いてみると、2メートルと行かぬうちにかなり左に蛇行していた。
次に、再び診察台にてある細工を施してから「もう一回歩いてみて」という。すると、目を閉じながら何メートル歩いても真っ直ぐ歩けるのだ。これには我ながら驚いた。
その魔法の細工とは、ついひと月ばかり前に近所の歯科医で被せたばかりの銀歯を外しただけ。つまり、被せた銀歯そのもの、或いは取り付け方が適切でなく、それが真っ直ぐ歩けないほどに身体を歪ませていたのである。このとき、歯の噛み合わせの良し悪しが、如何に人間の生活に影響を与えるかを身をもって体験した。
それ以来、信頼できる歯科医いうことで、家族ぐるみでお世話になっている。斉藤先生の秘術のお蔭で、2人の娘たちは、学校の歯科検診の度に貰ってくる治療勧告通知をすべて無視しつつ、ただの一度も虫歯を削ったり、詰め物をすることなく成人を迎えることができたし、その独特の調整法で歯並びもかなり改善(矯正とまではいかないが)された。
というわけで、歯医者にゆくだけで、途中で食事でもすれば半日掛かりなワケだが、その価値があると信じるからできることである。
本日の帰り道には、治療完了を確認するため、リッチなカレーの店アサノにて、カツカレーを食す。両方の奥歯で思う存分、カツや漬け物を噛める幸せを味わうことができた。しかも、運の良いことに、わたしのルーが本日のお昼の部、最後の一杯。
さあ、力を頂いたので、これから執筆とコーラス・レッスン、頑張るぞ。