徒然なるまままに

TB歓迎(事前承認にしましたので公開遅れるかもしれませんがご容赦を)。展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

北斎展(前半) @東京国立博物館 その1

2005-11-06 | 美術
北斎展(前半) @東京国立博物館 その1

文化の日に「北斎展」に行ってきました。

経験上、文化の日は美術館は混むので避けたかったのですが、今週末は雨という天気予報なので、9:30の開館を目指していきましたが、ちょっと出遅れました。案の定、平成館の第1室は混雑でほとんど動けません。というわけで、第2室後半から鑑賞を始めました。流石北斎展ということで外人の姿も数多く見かけました。

展覧会の構成は、北斎の70年に及ぶ長い画業人生をその時々で用いた画号によって6つの時期に分け、
第1期 「春朗(しゅんろう)期」 20歳〜
第2期 「宗理(そうり)期」 36歳頃〜
第3期 「葛飾北斎期」 46歳頃〜
第4期 「戴斗(たいと)期」 51歳頃〜
第5期 「為一(いいつ)期」 61歳頃〜
第6期 「画狂老人卍(がきょうろうじんまんじ)期」 75歳頃〜
と分けられています。

今回の北斎展は500点という触込みでしたが、主に前半(10月25日-11月13日)と後半(11月15日-12月4日)で展示替えがあり、前半の約300点が展示されていました。

日経新聞の「美の美」の3回の連載によれば、見所は、1つは、ギメ美術館の「冨嶽三十六景 凱風快晴」の初刷の色合い。2つ目は、動体視力。3つ目は、肉筆画です。

また、詳細な見所は日経新聞のHPにもあります。

第1期 「春朗(しゅんろう)期」 20歳〜 (1779頃〜)
  • 12 浅草金龍山観世音境内之図 横大判 ベルリン東洋美術館
    数点遠近法で描かれている作品が並ぶ
  • 49 風流無くてなゝくせ (遠眼鏡) 大判 山口県立萩美術館・浦上記念館
    美人大首図。勝川春章の弟子となり勝川派の絵師としての北斎。こんな浮世絵もあったのですね。発色が状態が素晴らしい作品。

    1773年(安永2年)に平賀源内が洋書の挿絵を小田野直武に見せたことにより遠近法は始まった。
    1783年頃に司馬江漢が銅版画作成に成功。

    第2期 「宗理(そうり)期」 36歳頃〜 (1794頃〜)
  • 64 亀井戸開帳 横大判 ベルギー王立美術歴史博物館
  • 65 蟻通明神 横大判 ベルギー王立美術歴史博物館
    茶、緑、赤の発色の状態が素晴らしい。
  • 75-83 銅板近江八景 アムステルダム国立美術館
  • 84-92 阿蘭陀画鏡 江戸八景 ボストン美術館
    北斎が西洋絵画に影響を与える前に、北斎自身が、西洋絵画の遠近法、銅版画の細密な技法の影響を受けていた作品。非常に印象深い。
    前者は、銅板ではなく板ぼかしの手法による。波や坂がうねりをもって描かれている。後者は、黒を基調とした画面が印象的。
  • 116 (金沢八景) 横九つ切 ボストン美術館
  • 117 (江の島遠望) 横九つ切判摺物 ボストン美術館
  • 118 (鎌倉の里) 横九つ切判摺物 ボストン美術館
    西洋風の影のつけ方をした作品。今でもお土産になりそうな風景画。
  • 107 (桜花に富士図) 横長判摺 アムステルダム国立美術館
    お花見の構図だが、ピンクがいい。
  • 134 分福茶釜図 90.7×27.0 個人蔵
    墨絵。筆動きが鮮やか。
  • 136 夜鷹図 99.7×28.0 細見美術館
    肉筆画、柳がいい。
  • 145 三美人図164.5× エドアルド・キオッソーネ記念ジェノヴァ
    秀逸な肉筆画、女性を描く曲線の美しさ。3人の構図もすばらしい。もちろん着物もあでやか。キオッソーネの眼力に敬服。
  • 147人を待つ美人図 38.6×48.6 個人蔵
    「くつろぐ芸妓」。男性はこういう女性の姿に弱いです。
  • 156 日月龍図 各103.1×17.5 光記念館
    日月龍の三幅。近代の日本画を見るよう。モダン。
  • 151 井手の玉川図 101.0× 千葉市美術館Chiba City Museum
  • 152 萩の玉川図122.8× 板橋区立美術館Itabashi Art
    <L>153 千鳥の玉川図123.0× 墨田区Sumida City
    長閑な玉川の流れ、橋を描く。
  • 157 大仏詣図 118.2× 葛飾北斎美術館
    縦長の紙面に、大仏殿の一部を帯で配置、画面下部に小さく描かれた参拝者の仰ぎ見る姿がいい。大胆な構図に感服。

  • 160 重要文化財 二美人図にびじんずTwo Beauties 110.6× MOA美術館は、6週目のみ展示(11月29日から12月4日)

    第3期 「葛飾北斎期」 46歳頃〜 (1805年頃〜)
  • 196 円窓の美人図 シンシナティ美術館
    トンド形式の構図はいい。
  • 198 七夕図 95.8×28.0 晴明会館
    団琢磨旧蔵。面は美しく、着物の描線がいい。
  • 201 酔余美人図 26.5×32.3 氏家浮世絵コレクション(鎌倉国宝館内)
  • 203 縁台の三美人図 18.7×47.0 太田記念美術館
    華やかで美しい扇。
  • 208 江口の君図 26.4×21.5 個人蔵
    普賢菩薩が江口の君の姿になった様を描く。構図が面白い。キリスト教絵画を思い出させる。
  • 212 重要文化財 潮干狩図 25.1× 大阪市立美術館(11月6日まで展示)
    西洋と東洋の融合した不思議な魅力の肉筆画。透視図法。遠くの山はぼかしてある。近景の浜辺は、煌びやかに散らしてある。

    第4期 「戴斗(たいと)期」 絵手本の時代 51歳頃〜

  • 225 『北斎写真画譜』 絵手本 折本一帖 25.6×16.7 フリーア美術館、アーサー・M.サックラー美術図書館
    大判のあやめ(?)の画譜。色彩も美しい。
  • 241 鎮西八郎為朝図 59.3×81.9 大英博物館
    構図はもちろん、島民の動きが秀逸。肉筆画。
  • 244 羅漢図 100.0×41.5 東京国立博物館
    墨絵。煙の線いい。
  • 248 雪中傘持ち美人図 99.5×34.7 個人蔵
    少し顔が豊満になった美人図。

    第5期 「為一(いいつ)期」 錦絵の時代 61歳頃〜(1820年頃〜)
  • 278-307 冨嶽三十六景
    一列にならべてみると、青がかった風景から、萌黄色、黄緑色の濃い風景まで、冨士の様子を捉えている。礫川雪ノ旦(こいしかわゆきのあした)の雪景色の淡い藍と白の風景から甲州犬目峠の明るい風景までが並ぶ。メトロポリタン美術館所蔵の作品の発色の良さが際立つ。(甲州三坂水面はちょっと色合いがピン来なかったが)。神奈川沖浪裏は、いつもみても構図は素晴らしいし、そして色合いも藍が強く荒涼としたさまだった。呼び物のギメ美術館所蔵の凱風快晴。ケルン美術館と比較しても、線の切れ味、グラデーションのつけ方といい、これが北斎が初刷りでつけた色合いというのも納得。凱風(初夏に吹くおだやかな南風)快晴の題に相応しい風景。山下白雨は前半はホノルル美術館の所蔵品だが、後半はこれも見所のシカゴ美術館所蔵品。
  • 308-313 諸国瀧廻リ
    308 和州吉野義経馬洗滝 (東京国立博物館)や311相州大山(東京国立博物館)など水の飛翔の表現が細やか。それにしても、刷り色の数の制限があり、たまたま、青と黄を用いることになったのだろうが、水の青と地の黄色の色のコントラストが目に鮮やか。
  • 317-326 千絵の海
    細く白い波による穏やかな海の表現が見事。
  • 352 (雉子と蛇) 団扇絵 東京国立博物館
  • 356 (群鶏) 団扇絵 東京国立博物館
    重要美術品の2点。判じ物のような構図は、後年の小布施の岩松院の八方睨みの大鳳凰図を髣髴とさせる。
  • 355 (狆) 団扇絵 太田記念美術館長瀬コレクション
    狆の毛の表現が西洋画のようです。
  • 357-366 西村屋版横大版花鳥シリーズ
  • 367-376 西村屋版中版花鳥シリーズ
    このシリーズあたりから、定型の5色刷りとかではなく、対象物のそのものの色の再現を図っているようだ。動体視力が発揮されている。
    361 檜扇 ベルリン東洋美術館 は発色がいいです。
    369 鵙 翠雀 虎耳草 蛇苺 もず るり ゆきのした へびいちご, 371 翡翠 鳶尾艸 瞿麦かわせみ しゃが なでしこ, 372 鵤 白粉花 いかる おしろいのはな は、真に迫る動体視力が発揮されています。
  • 379 (游亀)長大判 東京国立博物館 は水を表現しようとした作品
  • 432 鍾馗図102.2× 熊本県立美術館
    素晴らしい 鍾馗図。カッコイイ。墨絵。
  • 433 軍鶏図134.0×46.4 MOA美術館
  • 434 巖頭の鵜図 41.3×71.3 林原美術館
  • 435 朝顔に鵜図36.5×55.8 大英博物館
    写生の粋を超えた鬼気迫る肉筆画

    第6期 「画狂老人卍(がきょうろうじんまんじ)期」 75歳頃〜
    この展覧会のこのパートには本当に感動しました。ここだけでも十分という展覧会でした。その2で書きたいと思います。

    参考:ギメ美術館について
    HPによれば、パリの6, PLACE D'IENA 16区に在り、下記の通り、Emile Guimet氏のコレクションをベースとしているようです。

    The Musee Guimet was the brain-child of Emile Guimet (1836-1918), a Lyons industrialist who devised the grand project of opening a museum devoted to the religions of Ancient Egypt, Classical Antiquity, and Asia. Guimet visited Egypt and Greece before traveling around the world in 1876, stopping off in Japan, China and India. In the course of his travels he acquired extensive collections of objects which he put on display in a museum opened in Lyon in 1879. These collections were subsequently transferred to a new museum which he had built in Paris and which was inaugurated ten years later, in 1889. During Emile Guimet's own lifetime, the museum, while maintaining a section devoted to the religions of Ancient Egypt, increasingly focused on Asian civilizations.

    こちらのHPにも日本語でEmile Guimet氏について書かれていました。


  • キーワード
    国立博物館 ギメ美術館 太田記念美術館 ボストン美術館 歴史博物館 重要文化財 大英博物館 アムステルダム国立美術館 冨嶽三十六景 画狂老人卍
    コメント (3) |  トラックバック (1) |  この記事についてブログを書く
    Messenger この記事をはてなブックマークに追加 mixiチェック シェア
    « レオナルド・ダ・... | トップ | 北斎展(前半) ... »

    3 コメント

    コメント日が  古い順  |   新しい順
    北斎展の迫力 (とら)
    2005-11-07 19:11:10
    詳細なレポート拝読しました。私も北斎の迫力に感動して、長い文章をHPに書いてしまいました。これでは後期に集中しているシカゴ美術館の所蔵品は必見ですね。
    こんにちは (ak96)
    2005-11-07 23:43:08
    とらさま

    コメントありがとうございます。HP拝見しました。北斎展すごかったですよね。ちょっと混んでいて疲れてしまいましたが。その2も書きました。またご覧ください。
    奥が深いです。 (アイレ)
    2005-12-04 01:29:58
    こんばんは

    拙ブログでも北斎展の感想をまとめましたが記事を一つにまとめることができませんでしたので「1」を代表させてTBさせていただきました。

    今回、北斎の画業をなんとか掴もうと東博の会場で、そして図録と格闘しましたがとても困難な作業となりました。その膨大な作品とそのどれもが素晴らしいものだっただけに、できれば全ての作品に対してコメントをつけたいくらいでした。

    実は2日にも観覧してきましたが、見れば見るほど新たな発見があり北斎の世界は奥が非常に深いと思い知りました。

    コメントを投稿

    ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

    コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。
    ※文字化け等の原因になりますので、顔文字の利用はお控えください。
    下記数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。この数字を読み取っていただくことで自動化されたプログラムによる投稿でないことを確認させていただいております。
    数字4桁

    トラックバック

    この記事のトラックバック  Ping-URL
    ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。
    北斎展−1 (青色通信)
    北斎展 11月13日 東京国立博物館(〜12月4日)    噂には出展数が凄い、その内容が凄い、さらに観客数が凄いとか色々耳に入ってした国立東京博物館で行われている葛飾北斎(1760-1849)の展覧会。最初のうちはそんな噂に恐れをなしていましたが、13日の.

    あわせて読む