岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

山は「実」の季節だ

2008-09-29 05:33:58 | Weblog
(今日の写真はクスノキ科クロモジ属の小低木「オオバクロモジ( 大葉黒文字 )」の実である。まだ完熟していない。完熟期には「真っ黒」な実になる。)

 仲間に「クロモジ」があるが、これは主に、東北(岩手県)から九州北部の太平洋側に生育している。オオバクロモジは東北から中部地方の日本海側に自生している。ククロモジの名の由来は、樹皮の「黒い模様が文字のように見える」ことによる。
 高さが3~5mになる「雌雄異株」の落葉低木で、山地の雑木林などに生える。春、5月頃、まだ残雪のある時季に花をつけるので、結構目立つ存在である。
 葉と同時に小枝の節に散らばるように花序を出して、淡黄緑色の花を、雄花序、雌花序として多数つける。ただし、クロモジと比べると、花色の黄色が淡く、房となって垂れ下がって咲く花の数は少ない。葉の長さは10㎝前後である。
 材は香りがいいので、高級な爪楊枝とする。クロモジは岩手県の太平洋側~九州北部に分布し、オオバクロモジより全体に小型で葉の長さは5~10㎝だといわれている。
 ところで、このオオバクロモジの花に似ているものがある。それは同じクスノキ科の木で落葉小高木の「アブラチャン(油瀝青)」である。ただし、属は「シロモジ」である。
 こちらも「雌雄異株」ではあるが、幹は細く株立状であり、樹皮は灰褐色だ。葉は互生して、卵形だが紙のような質感をしている。全緑であり、下面は帯白色である。本州、四国、九州に分布している。オオバクロモジと同じように、クスノキ科の樹木特有の香気を含んでいる。
 株立状の樹風と早春の黄色い花を鑑賞するために庭木とされることも多い。別名として「ムラダチ」と呼ばれるように「叢状」になるのである。土地はあまり選ばないが、向陽地を好む傾向があるそうだ。

 花はオオバクロモジより少し早いくらいの残雪が所々にある頃に、葉に先だって咲き出す。咲き方もオオバクロモジに似ていて散形花序であり、花は小形で黄色である。果実は10月ごろに成熟し、径が1.3~1.5cmの球形で黄褐色、固い殻になっているのだ。
 オオバクロモジの実は「球形」だが、柔らかく簡単につぶれる「液果」のようであるが、アブラチャンの実は固い「堅果」なのである。

 私は長いこと花には興味を持っていたが「果実」はあまり目がいかなかった。そして、愚かにも、無謀にも「似ている花は似ている実をつける」ものだろうと「独り合点」をしていたのである。
 その「独り合点」に厳しい刃を突き刺してくれたのが「オオバクロモジ」の実とアブラチャンの実なのであった。花はそっくりなほど似ているのに「実」は似ても似つかぬ「液果」と「堅果」、この不思議に私はそれ以来とりこになってしまった。そこで、出来るだけ、「実」も写真で記録するように心がけるようになった。


 さて、「花と実」に関心のある方々に「自然観察会」の案内をしよう。

          ◎ 「この実の花は…どんな花」 ◎
           ・岩木山「草木の実」観察会・

        「実を見ながら、その実をつけた花を思いましょう」

 ・期  日:10月19日(日曜日)

 ・観察時間: 10:00~14:00

 ・観察場所: 宮様道路下部から高照神社南側(歩行距離3km)

 ・集合場所: 百沢駐車場

 ・集合時間: 9:50

(主催は青森県自然観察指導員連絡会で、講師は私です。
 問い合わせは青森県自然観察指導員連絡会の竹浪純さん「電話:87-3174(夜間のみ) 携帯:080-5229-6076(常時)」にして下さい。)