岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

地域のつながりには自然的な要素が重要 / 質問に答えます(ハンググライダーなど)「3」

2008-08-20 05:19:02 | Weblog
(今日の写真は近景に月見草、遠景に岩木山である。夏から初秋の風情だ。岩木山の山麓部に注目して欲しい。小高い山々が続いているだろう。
これは「岩木山生成の第1ステージ」といわれる「古岩木山(中新世時代の海底火山)の名残だ。
 現在、岩木山を取り巻くように山麓部に高舘山、高地山、愛宕様の山などが並んでいるが、これらを「古岩木山のカルデラ壁・外輪山」だとする説もある。このカルデラ壁の外側に岩木川が流れ、その流域に古来から人が住み着いて「村落」を形成してきたのである。それらが目屋地区であり、相馬地区であり、旧岩木町の如来瀬、兼平、賀田などである。)

  ■地域のつながりには自然的な要素が重要…

 数年前に、市町村の合併の時に、西目屋村、相馬村、岩木町が「1つ」にまとまろうとしたのは、このような「地形や地質、岩木山の成り立ち」という「歴史性」を踏まえた側面もあったのである。
 「地域」のつながりや「交流」は「地形」などの自然的な要素を抜きにしては考えられないことである。ところが、「政治的」な合併は弘前市が岩木町や相馬村を「吸収」するという形をとった。つまりは「大きなものにまかれろ」であったのである。
 村民や町民の大半は「合併」したくなかったし、「対等合併」というスローガンは「お題目」であり、絵に描いた餅であることを知っていた。「地域や地区」にはそれなりの生活パターンや文化があった。
 弘前市との合併で、それらが「旧弘前化」していくことを恐れたのである。
 ところが、町や村の理事者側、つまり、町長や村長、それに町議会議員、村議会議員たちは、「村民や町民」の声に耳を貸さずに、弘前市に吸収「合併」されることに賛成をしたのである。「合併」後は「町長、村長」は失職するが、「議員」たちは全員「市会議員」になれるからである。自動的に「市会議員」になると「報酬」が「かなり」上がるのだ。
 だが、その中でたった1人だけ、骨のある奴がいた。それは相馬村の議会議員、Aさんであった。
 Aさんの主張は『西目屋村、岩木町、相馬村」で対等合併する』というものだった。それが無様で、主体性のない「吸収合併」である。Aさんは自分の「スジ」をとおすために棚ぼた式に「市会議員」になれる「村会議員」の身分を辞したのである。旧町村議会の議員たちが自分たちの「町や村」を高額な議員報酬と引き替えに「売り渡した」のである。
 現在、その中の「生き残り議員」たちは当時の報酬の2倍や3分の2倍に近い「報酬」を得ているのだ。
 件のAさんは、その後「市会議員選挙」に出て、当選し現在は「率直な意見」を持って議会活動をしている。) 

 ■ 質問に答えます(ハンググライダーなど)「3」

 「道路」を敷設するということ自体がまず、「自然への攪乱」である。岩山でもない限り、目に見える第一の「攪乱」は樹木の伐採である。
 低山や里山の場合は短くて済むだろうから、その面積は「少ない」と考えられるが、亜高山帯や高山帯の場合は遠距離になり、しかも「蛇行」的なカーブが多くなるので、その面積は莫大な広さになる。

 第二の「攪乱」は、進入・進行に対して「地形を含めた」邪魔になるものの「除去」である。つまり、伐採後の「地面・地表」の改変である。地表を剥ぎ起こし、ブルトーザーで急な斜面を掘り起こし崩して、自動車の通れる「斜度」の確保をする。これは地形の変造にもなる。

 第三の「攪乱」は、第一や第二の「攪乱」に伴う「動物や植物」への影響である。樹木の林は、長い年月をかけて「今」ある「林相」を形成している。有名な白神山地の「ブナ林」には10.000年という歴史がある。岩木山の「ブナ林」も、数千年という歴史である。
 数年前まで、岳地区から「雪上車」でスキーヤーを運び上げて、岳スキー場(自然地形そのままのスキー場)のAコース、Bコースの「滑降」を楽しめるということを「商売」としてやっていたことがある。ただし、採算がとれずに15年間でその企業は撤退をした。しかし、最近「営業許可」を受けない不法な「雪上車」が客を運んでいる。
 この「雪上車」通行ルートの変貌は著しい。この「変貌」こそ、「自然の破壊」の結果である。沢山あるのだが、その主なものだけを挙げてみる。
 動物としては蝶類の激減だ。一例として「ミドリシジミ」がまったく見られなくなったことである。さらに、他の蝶類の発生時期に「変化」が生じていることである。
 植物では千島笹「根曲り竹」の猛烈な繁茂であり、樹木の「タムシバ」が林を形成するほどに生育するようになったことである。
 また、そのルート沿いのスカイラインターミナルに近い亜高山帯では、千島笹「根曲り竹」だけが異常に生育して、併行している登山道を覆い尽くす状態になっている。

 高山帯では、植物の生育が遅いので、一旦、道路がつけられてしまうと、植生の「回復」は難しい。

 「滑走斜面」へのアクセス道路として既存の道路を利用したとしても、「滑走斜面」への通路などは当然「新規」に開鑿しなければいけないだろう。そこにも、「自然破壊」は生ずるのである。

 第四の「攪乱」は、そこに人が侵入することでの影響である。
(明日に続く。)