たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

今井通子『続-私の北壁』より

2021年07月20日 12時20分32秒 | 本あれこれ
「アイガー北壁登攀後の私たち、J・E・C・C(ジャパン・エキスパート・クライマース・クラブ)、仲間の身辺にはいろいろなことが起こった。

 スキーで顎骨骨折したネギヤン、国内連絡員だった松ツァンは左肘骨折。そして私をはじめとして、多くのアイガー仲間が精神的にバランスを失った。

 現役のクライマーには、一つの登攀の成功・完了は次の目的への出発点ではあるまいか。

 しかし、二度と繰り返せないかもしれない最高のチームワークで登ったアイガーの思い出が、皆の心にあまりに強烈に焼きついてしまったためか、それ以上のものへの期待が考えられなくなったのか、それとも登攀後の感激の大きさに酔いしれ、酔いつぶれてしまったためなのか、なにしろ私たちはアイガー直登後、しばらく放心状態で遊びくるった。山の自然の中での生き方を知っている私たちとはいえ、山の中にいる期間が長すぎてか、複雑な人間社会での生き方には、うとくなったのかもしれない。私たちは心のよりどころさえ失ってしまったのだ。成功後の放心の渦から抜け出すためには、私は一時、おのれを殺して他を生かす死が最良の解決方法ではないかとさえ思いもした。

 アイガーで私たちと行動を共にしなかったとはいえ、ケンチャンもまたこの渦の中の一人だったl

 アルコールづけだった彼が、今真剣な目つきで仕事の話をするのを見て、よく立ちなおったものだと思う。私も今、ジョラスを登ろうとしているのだ。一年前には考えられないことだった。幾多の困難をのりこえ、よくここまで来られたものだと、つくづく思う。」

 30年ぶりぐらいに手持ちの本を読み返して一番心に残った記述。けわしい山を登攀する精神力と、複雑な現世を生き延びていく精神力とは別物ということか。それだけこの世を生きていくということは難しくて大変なことということか・・・。


踵から歩く

2021年07月20日 00時44分31秒 | 日記
 理学療法士による7回目のリハビリでした。整形外科へいく時、汗だくになりながら久しぶりにバス停3区間分を歩きました。1年前暮らし始めた頃は、足の裏からアスファルトと石畳の衝撃が骨にきて痛くてたまらなかったのが緩和されてきているのを感じました。今日は歩く時に踵からついて歩幅は狭くしながら歩くことを学びました。いつの頃からか、ずっと右の股関節をかばってドテッと足の甲からおろして歩くようになっていました。右の股関節の骨が正常にはまっていないのでそこから膝を経て足先にかけて走る筋肉がどうしても痛いです。減った骨が戻ることはないので負担をできるだけ少なくするために、ほんの少しだけ微妙に体を前に倒して踵から歩く。荷物を持ちながらこうして歩くことを意識し続ける必要があります。そうすれば骨を守るための筋肉をつけて維持しながら、リハビリに通うことでやっていける余地はあるようです。

 9月からの居場所をみつけなければアウトなので、また書類を出して面接を越えていかなければなりません。いかに体がねじれた状態でがんばってきたか。体幹を整えることで残念ながら訪問のある仕事はできそうにありませんがまたやっていけるはず、入り込むことができればまだある程度やれるはず。いちばん苦しいのは面接、その前に作文。まだ最後の砦になるわけにはいかない。観劇できなくなります。観劇のために気持ちを立て直してやるしかないです。まだまだ捨て切れない荷物もたくさんあり、整理しながら少しずつ、少しずつ、一歩、二歩と、前へ前へと思います。





ミュージカル『マタ・ハリ』7/19・20公演中止のお知らせ
https://www.umegei.com/system/information/detail/244 

 3年ぶりの再演となり、東京、愛知と順調に公演を続けてきた2021年『マタ・ハリ』が、3公演を残して梅田芸術劇場公演を中止と発表されました。スタッフに陽性判定者が出たとのことで苦渋の決断となったようです。大千穐楽を目前にして挨拶もできないまま突然の千穐楽、キャスト、スタッフのみなさまのお気持ちはいかばかりか。今年の『マタ・ハリ』はお財布などなど考えて、チケットを入手しなかったし、東京公演のライブ配信も見送りました。次に上演される時にはまたチケットをとろうと思います。

 どの公演もいつ千穐楽が訪れるかわからないのだということをあらためて認識しました。一回一回、一期一会。これから観劇するときはさらに二度とない時なのだということを心に刻みながら、今まで以上に一生懸命観劇しようと思います。