セラミックパークMINO内の岐阜県現代陶芸美術館で開催中の「驚異の超絶技巧!明治工芸から現代アートへ」は、現在開催中の企画展の中でも注目の展覧会といえます。
僕がそう断言する理由は、1867年のパリ万博を契機に世界的な注目を浴びた明治の工芸作家。長きに渡り眠り続けていた彼らの作品を紹介し、京都の海外旅行者から人気スポットのひとつとなった清水坂三年美術館を中心に明治の工芸作家の名品や一堂に介し、さらに、超絶技巧のDNAを受け継ぐ現代の作家の作品が競演する。未だかつてない超絶技巧の作家展だからです。
日本の工芸作家の魅力は、今回も陶器、七宝、金工、木工、牙彫、刺繍絵画と海外と比較しても素材の多様性において群を抜いています。そして、素材の特性を生かした写実の表現に加えて、単なるものを再現するという枠を超えた想像性豊かな構図は、職人としての卓越した技術と芸術性を兼ね備えた独自性を持っています。
その分野の頂点に立つ作家の作品は、陶器の宮川香山、七宝の並河靖之、牙彫の安藤禄山などの代表作品がずらりと並び、超絶技巧の世界に酔い、さらに現代作家の前原冬樹、春田幸彦、佐野藍など現代的な表現で競い、異彩な魅力を放っていました。
清水坂三年美術館は、土地柄小さな空間の美術館で、各分野の作品をテーマ別に展示しています。その意味でも、コレクションが一堂に並ぶことは難しいです。その意味でも今回の展覧会は貴重です。夏休み、涼しい美術館で、超絶技巧の作家たちの心血を注いだ熱き情熱に触れながら、清らかな気持ちになって観賞してみてください。
安藤禄山 松竹梅
正一 蛇
濤川惣助 波濤鷹図盆
以上明治の工芸作家(8月4日撮影可特別拝観にて)
前原冬樹 一刀:皿に秋刀魚
春田幸彦 盛上七宝錦蛇財布置物「無駄死に、無駄口、無駄遣い」
佐野藍 ピンクドラゴン
以上現代作家の作品(8月4日撮影可特別拝観にて)