人生論:「生涯発展途上」を目指して

消化器内科医になった起業家・弁護士・会計士、岡本武士による人生論や新たな視点の提供、身の回りの出来事に対するコメント等。

最後の言葉

2006-03-08 01:56:37 | 人生論・閃き
母から聞いた話なのですが(ということは昨日テレビでやっていたのでしょうが)、ある姉弟の弟さんが不治の病に倒れてから医者になったお姉さんがいて、その人は医療界でとても活躍しているそうです。医者になった理由は、弟さんの最後の言葉にあったそうです。

「お姉ちゃん、医者になって僕みたいな人を治してあげてよ」といった感じの言葉だったそうです。

これを聴いた瞬間、一瞬頭から血が引いたような思いをしました。うちの母は素敵な話と思っていたらしいのですが、私は「とんでもない!」と思ってしまいました。

生前の弟にそんなこといわれて、それ以外になれるわけがない。良い結果になったように見えるというのは結果論でしかなく、語弊を恐れずに言ってしまうとこれは「条件付き呪い」に近いものでしょう。医者にならなかったら、その言葉に一生呪われるように思えちゃうでしょう。それに医者になるというのはどの国でも容易ではありません。

一瞬で一生が決まることがありますが、正にそんな一瞬だったのでしょう。

「僕みたいな人を治す」のであれば、医者になるよりビル・ゲイツみたいになって巨額を寄付した方が影響力が強く、もっと多くの人を救えるかもしれません。これが正しいとはいいませんが、要は、同じ目的があるとしても手段は色々とあります。そして目的すら人に強要してはいけないと思うのです。どんなにいいことであっても、他人の人生は他人のものであり、何が「いいこと」かの判断はその他人に委ねられるものですよね。

自分の「最後の言葉」の選択についてもやはり考えたことがありますが、「ありがとう」か「幸せになれ」など抽象的な言葉なのかな、と思いました。どっちみち、具体的な話は解釈によっては相手を縛る可能性があるから避けるべきだと考えました。そんな言葉を口にすることになるまでまだ80年はあると思いたいのですが、まあ、ちょっと考えてみただけです。

最後に、こう言われてしまっても選択肢があることには変わりありません。内外のプレッシャーから逃げず立派な医者になったお姉さんは素晴しいと思います。

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