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核汚染日本の再生-日本に残る知人へのメール

今回は日本の核汚染に対する私の個人的見解を、知人へ送ったメールをほぼそのままの形に掲載することでお伝えしたいと思います。知人からは「日本国内で活動できないのか、国外では信用を得られないのではないか」という旨の打診を受けていました。


 * * *


○○さんへ

私の場合、3月15日の空を見て、直感的に危険を感じた上での避難です。よく考えてからの避難というのはまた別のものだと思います。もっとも、私の場合は御巣鷹での被曝経験があったので、早い決断ができたのだと思いますが。

広島・長崎・チェルノブイリ、被曝症のデータやその対策方法はたくさん提示されていますが、今回のように100日間も放射性物質を放出し続けた例はありません。そして、低線量被曝の医学データは未だ無いに等しいです。味噌の摂取などの対策はそれなりに有効だと認めますが、今の日本の状況に対してどうかと問われれば、私も「難しい」としか答えられません。

浄化菌による放射能対策ついては、△△君が日本に残って実験を続けてくれましたが、彼の結論によると、菌体による放射能除去の可能性は、今回の汚染レベルに対しては極めて低いと出ています。乳酸菌による防除が言われてます。「放射能をパクパク食べる」というのは、間違ってはいないのですが、今回の場合、菌体自体が死んでいってる状況が観察されています。体内での放射能除去を司るマクロファージでさえ、放射能を取り込みながら死んでいってます。

私たちの被曝治療の場合でさえかなり苦戦を強いられています。放射能のエネルギーレベルがあまりに高いため、治療が人体に効き始めるまでに資材の大量投与が必要であり、この先さらに被曝した人に対しても同じ方法が有効かどうか言い切れない状態です。要するに、これまでの放射能除去のセオリーが通用するとは100%断言できないというのが、この3ヶ月間、現実を見た上での結論です。そして、放射能はこれからも環境に出続けます。

確実な対策がない以上、危険地域から少しでも遠くに離れ、被曝量を下げるというのが、安全確保の原則だと思います。残念ながら、核汚染地帯に居ながらにして被曝治療が行えるほど甘いレベルではありません。被曝治療の希望者は汚染地帯からの退避が大原則となります。

「仕事が、学校が、お金が」というのが汚染地域を離れられない理由になるのは理解できます。しかし、それは「これまでの生活をなるべく維持する」という発想に基づいた結論です。今が日本有史来、最大級の非常事態、有事である認識を持っていただかないと、私がなぜ日本を捨てフィリピンに避難したのか、その真意が理解できないのも無理ありません。

避難ルートの確保や生活保障は、本来、国民の総意を受けて政府が行うものです。私が見て思う日本の最大の不幸は、民意を代表する機関が存在していないことです。今の私には、現在の日本国民が、国家に見捨てられた日本航空123便の乗客乗員の方々と重なって見えてしまうのです。

○△□より


 * * *


先日、5月初旬から被曝治療のためにこちらに滞在してこられたYMさんが、治療を終えてご主人の出身国へ旅立たれました。1歳半の子供については、資材の経口投入を今後も継続しなければなりませんが、今のところ経過は順調なようです。とにもかくにも、一組の日本人母子を救えたのは私たちの誇りです。将来の日本再生のために、その子が安全な地でより大きく成長してくれることを祈るばかりです。


MULIER CUM PARIT TRISTITIAM HABET QUIA VENIT HORA EIUS CUM AUTEM PEPERERIT PUERUM IAM NON MEMINIT PRESSURAE PROPTER GAUDIUM QUIA NATUS EST HOMO IN MUNDUM ET VOS IGITUR NUNC QUIDEM TRISTITIAM HABETIS ITERUM AUTEM VIDEBO VOS ET GAUDEBIT COR VESTRUM ET GAUDIUM VESTRUM NEMO TOLLIT A VOBIS
女は子供を産むとき、苦しむものだ。自分の時が来たからである。しかし、子供が生まれると、一人の人間が世に生まれ出た喜びのために、もはやその苦痛を思い出さない。ところで、今はあなたがたも、悲しんでいる。しかし、わたしは再びあなたがたと会い、あなたがたは心から喜ぶことになる。その喜びをあなたがたから奪い去る者はいない。
(ヨハネの福音書 16章21,22節)


南の島フィリピンより
管理者 日月土
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