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●鮎川哲也さん『死者を笞打て』 ――― 《ディーゼル車》規制以外、何か《功》がありましたっけ、《空疎な小皇帝》氏に? 10・23通達etc.…

2022年02月09日 00時00分23秒 | Weblog

(20220206[])
中曽根康弘元首相の時も、そうだったのだですが、まず頭に浮かんだのは「死者を笞打て」。鮎川哲也さんの推理小説のタイトル。内容はとうの昔に忘れてしまったので、調べてみると:

 『死者を笞打て』(https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000161668)《著:鮎川哲也 解説:権田萬治 その他:吉原澄悦 その他:岸顯樹郎 デザイン:菊地信義》《鮎川哲也の作品「死者を笞打て」に盗作の嫌疑がかかる。10年前に謎の女流作家が書いた作品そっくり、というのだ。世間は非難し、仕事は途絶える。身の潔白を証明するため鮎川は女流作家を探し出し、対決しようとする。さてその意外な結末は?実在推理作家の名が頻出する仕掛けも楽しい、軽妙推理長編。》

 そして、鮎川哲也さん(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AE%8E%E5%B7%9D%E5%93%B2%E4%B9%9F)《(あゆかわ てつや、1919年2月14日 - 2002年9月24日)は、日本の小説家。本名、中川 透(なかがわとおる)。東京府に生まれ、大連に育つ。拓殖大学商学部卒。アリバイ崩しを得意とし、『ペトロフ事件』『黒いトランク』『人それを情死と呼ぶ』など、鬼貫警部を探偵役とする本格推理小説を発表。ほか『りら荘事件』『死者を笞打て』などの長編小説や多数の短編小説を執筆し、さらにはアンソロジーの編纂や、新人の育成などにも力を尽くした》。

 さて、《ディーゼル車》規制以外、何か《功》がありましたかね?、《空疎な小皇帝》氏・石原慎太郎元東京「ト」知事に? 数多の《罪》しか思い出せません。ここ最近で思い出されるだけでも、「10・23通達」と教育破壊の大罪。

   『●ト知事たちのハタとウタ
    「強制して何になる! ハタとウタで内心をひっかきまわす人たち。
     …両「都」知事の「と」はトンデモの」だ。選挙で選び、
     トンデモな通達や条例を支持している東京ト民や大阪ト民の皆さん、
     ホントに大丈夫ですか、そんなことしてて?」
    《「日の丸・君が代」強制を合憲とした最高裁判決に抗議し
     東京都教育委員会「10・23通達」と
     大阪府「君が代条例」案の撤回を求める》

   『●「国家と教育」『週刊金曜日』
      (2013年3月22日、936号)についてのつぶやき
    「樫田秀樹氏【「自分の信条を貫きたい」 猪瀬都政下初の卒業式】、
     田中聡史さんや根津公子さんらと、小皇帝氏お抱えの都教委による
     「10・23通達」。一方、あの元大阪「ト」知事の…
     村上恭介氏【「不起立は生徒の未来と自分への責任
     それでも「君が代」に屈せぬ教師たち】」

   『●「福島原発事故の今」 『週刊金曜日』
      (2014年3月7日号、982号)について
    「永尾俊彦氏【東京は今 舛添新知事は石原・猪瀬路線を引き継ぐのか 
     最高裁で取り消された不起立による処分を出し直した都教委】、
     「起立斉唱は当然…だが「10・23通達」については、「検討課題」…
     記者会見で話した」」

   『●「10・23通達」と教育破壊: 「石原都政では、
        教育行政も歪められた。…愛国心教育を強制」
    「「10・23通達」と教育破壊。ソコから急加速に教育が破壊。
     今も「通達」は生き残り、ハタやウタを強制し、教師や生徒の内心を
     かき乱す。着々と、いまや最高学府の教育も破壊。」

   『●ハタやウタを強制…根津公子さん《控訴審勝訴判決…私はうれしかった
       ですが、それが最高裁で維持されるとは全く思っていませんでした》
   『●根津公子さん「ますます国家主義に向かう日本、モノが言えなくなる
     学校、奪われる教育の自由。…これは私だけの問題ではないと思った」

 自身はハタやウタに大した思い入れも無かったようなのに…。

   『●日弁連声明: 都教委を擁護する東京高裁
   『●石原慎太郎元東京「ト」知事の都市伝説はどうやら正しかったらしい

 もう一つ。大砲でベトナムの人々を殺そうとした件。


   『●〝腰ぬけ〟で結構、害悪老人よりは!!
    「「戦争の体験があるぼくたちはこのままじゃ死ねない」というのは、
     戦争をしないと気が済まないのでしょうね。いや、
     腰ぬけ小皇帝ですから、自らあるいは身内が行くのではなく、
     若者を戦争に行かせないと気が済まないということでしょう。
     あるいは、ベトナム戦争の際に石川文洋さんに咎められなかったら
     大砲の引き金を引いていたように、安全地帯に居て、罪なき民衆を
     殺すためのミサイルのスイッチを押すような卑怯者でしょう。
     哀しい精神構造です。城山三郎さん・佐橋滋さん・中山素平さん・
     石田禮助さんらの反戦派の気骨ある〝老人〟たちに学ぶ能力の無い、
     哀しい老害人です。エイジズムに加担する気はありません。
     でも、この都知事は「ババア」発言に見られるようなエイジズムの権化
     ですし、差別主義者ミーイズムの塊ですからね」

 東京新聞の記事【排ガス規制、尖閣諸島問題新銀行失敗…大胆な行動、副作用も大きく 石原都政の功罪】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/157665)。
 リテラの記事【石原慎太郎死去で差別丸出し発言を朝日までが“石原節”と称える異常! 一方、差別批判にはネトウヨが「死者への冒涜」と的外れ攻撃】(https://lite-ra.com/2022/02/post-6157.html)によると、《2月1日に死去した石原慎太郎・元東京都知事をめぐり、またぞろ「不謹慎」「死者への冒涜だ!」といった声が噴出している》。

 こんな人を長きにわたり東京「ト」知事としてしまったこと、また、彼らの親和性の強さから当たり前なのですが、お維による大阪「ト」知事との醜悪な烏合…。
 (リテラ)《障害者差別や優生思想、外国人差別による排外主義の煽動、ジェノサイドの肯定、女性や性的マイノリティへの攻撃、歴史修正主義、自己責任の強調や生活保護バッシング──。石原氏の暴言・差別発言、ヘイトスピーチを挙げればはっきりとするように、石原氏は差別主義者以外の何物でもない。しかも、石原氏の問題は、彼一人のものではない。その存在は、安倍晋三・元首相をはじめとするネトウヨ・極右のベースとなり、橋下徹氏や維新的ポピュリズム、優生思想の跋扈を生み、社会的弱者への攻撃、民族差別、障害者差別が堂々とまかり通る土壌をつくり出した》。

   『●パンダの方が働いているとは!
    《いまや破綻寸前の新銀行東京に1400億円を投入。
     150億円を使って招致失敗に終わっても、懲りずに五輪招致基金を
     4000億円も積んでいます。移転ゴリ押しで大モメの
     築地市場移転の総事業費は、
     4316億円に達する見込みです。
     これだけでも計1兆円のムダづかいです》
    《都民にすれば石原に払ってきた報酬の方が、よほど高くついている

   『●恥ずかしくないんでしょうか?
   『●都民じゃないが、宇都宮健児さんに真の都知事に
   『●田中優子さん「誰の名前を書くのか、その人の品格が問われている」
   『●『核狂信者を新当主(党首)に迎える元大阪〝ト〟知事党』についてのつぶやき
   『●「我欲」だけの人の高嗤い
   『●『石原慎太郎よ、退場せよ!』読了(1/3)
   『●『石原慎太郎よ、退場せよ!』読了(2/3)
   『●『石原慎太郎よ、退場せよ!』読了(3/3)
   『●覆土していれば土壌・地下水汚染問題は解決していた?…
              「空疎な小皇帝」石原慎太郎元「ト」知事のドブ金
   『●《空疎な小皇帝》石原慎太郎元東京「ト」知事による五輪招致が間違い
        だった…小池「ト」知事「コロナとの戦いで金メダル取りたい」…

 《石原節》ねぇ? もう一人《〇〇節》で名の挙がる醜悪な自民党議員がいますよね…《麻生節》なるド「アホウ節」。あぁ、情けない…。

 《石原慎太郎という人物を容赦なく剔抉(てつけつ)し、彼に期待を寄せる最近の世の風潮の危うさをも同時に撃つといった評論集》が『空疎な小皇帝』、著者は斎藤貴男さん(https://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/cf1359005e05b9334231eb6ef76704de)。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/157665

排ガス規制、尖閣諸島問題、新銀行失敗…大胆な行動、副作用も大きく 石原都政の功罪
2022年2月2日 06時00分

 「東京から日本を変える」と訴え、東京都知事を13年半務めた石原慎太郎さん。過激な発言で物議を醸しながらも、大胆な行動で都政を動かし、国政を巻き込んでリードした。一方、結果が伴わない功罪相半ばの一面もあった。(原昌志

【関連記事】<評伝>演じ続けた「ポピュリスト」 激しい言動の裏に柔軟な思考 石原慎太郎さん死去


◆黒いすすをまき散らして…

     (2002年10月、ペットボトルに入った黒い粉じんを会見場に
      まき散らし、国の排ガス規制の無策ぶりを批判する
      石原慎太郎東京都知事(当時)=東京都庁で)

 「ディーゼル車NO作戦」。初当選直後の1999年8月、公約の排ガス規制にさっそく手を付けた。「こんなのが1日12万本もばらまかれている」と黒いすすが入ったペットボトルを振り回して訴え、2000年12月には国に先行して独自のディーゼル車排ガス規制を盛り込んだ条例を制定した。

 排ガス中の粒子状物質(PM)の排出基準を満たさない車は03年10月から都内の走行が禁じられ、首都圏3県にも広がった。国も01年に法改正で規制を強化し、都が大気環境改善をリードした。


◆世論味方に銀行やり玉

 00年に条例施行した大手金融機関に対する外形標準課税(銀行税)も世間を驚かせた。公的資金を受けながら、赤字を理由に法人事業税を納めない銀行をやり玉に挙げ、世論を味方につけた。

 銀行側と訴訟になり、最終的な和解では銀行側に計2344億円を返還した。事実上の敗訴だったが、都の動きによって国は地方税法を改正し、04年度から都道府県税の外形標準課税を導入。結果として、都道府県の貴重な財源となった。

 待機児童の増加に対応するため、都独自で認証保育所制度を01年に導入。07年に始まった東京マラソンは、世界有数の大会に育った。

 広大な空域が米側の管理下にあることなどの問題を訴え続け、在日米軍横田基地(福生市など)の「軍民共用化」も目指した。だが、実現には至らなかった。


◆甘い審査で不良債権拡大、「おわび」も

 石原都政の後半では、批判される政策も目立った。

 「貸し渋りに悩む中小零細企業の救済」を掲げ、都が1000億円を出資して05年に設立した新銀行東京。無担保無保証で融資を伸ばしたが、甘い審査で不良債権が拡大し経営が悪化の一途をたどった。

 批判が高まる中で08年に都が400億円を追加出資した際には、石原氏が都議会予算委員会で「深くおわび申し上げる」と謝罪に追い込まれた。最後は東京都民銀行などと合併し都は完全撤退。都幹部は「都が乗り出す必要があったのか。明らかに失敗。『敗戦処理』の職員は気の毒だった」と漏らした。

 中国が領有権を主張する尖閣諸島の都による購入構想も、日中関係に影を落とした。12年4月、石原氏は「東京が尖閣諸島を守る」と表明し、購入資金の寄付募集を始めた。

 これをきっかけに国が同年9月に所有者から20億5000万円で購入し、国有化した。中国国内で大規模な反日デモが続発するなど、副作用も軽くなかった。尖閣周辺では近年も、中国公船が頻繁に確認されている。
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https://lite-ra.com/2022/02/post-6157.html

石原慎太郎死去で差別丸出し発言を朝日までが“石原節”と称える異常! 一方、差別批判にはネトウヨが「死者への冒涜」と的外れ攻撃
2022.02.03 06:00

     (石原慎太郎Twitterより)

 2月1日に死去した石原慎太郎・元東京都知事をめぐり、またぞろ「不謹慎」「死者への冒涜だ!」といった声が噴出している。

 たとえば、政治学者の山口二郎・法政大学教授が訃報を受けて〈改めて、彼が女性や外国人など多くの人々を侮辱し、傷つけたことを腹立たしく思う。日本で公然とヘイトスピーチをまき散らしてよいと差別主義者たちを安心させたところに、彼の大罪がある〉とツイートすると、共感する意見が集まった一方で、〈亡くなったばかりの人に言うことではない〉〈人間の屑〉〈死者を侮辱〉〈日本人の感覚とは、かけ離れている〉などという非難も殺到。挙げ句、自民党の長島昭久衆院議員にいたっては〈こういうのこそヘイトスピーチと言うのではないか〉とまで言い出した。

 辟易するほかないが、ヘイトスピーチとは人種、民族、国籍、性などの属性を有するマイノリティの集団もしくは個人に対してその属性を理由とする差別的表現のことであり、山口氏のツイートはヘイトスピーチでもなんでもない。山口氏が指摘するように、生前、ヘイトスピーチをはじめとする数々の差別発言を連呼しつづけてきたのが石原氏だ。そんな当たり前の指摘をしただけで「死者への冒涜だ!」と騒ぎ立てるほうがどうかしているだろう。

 しかし、このような筋違いの非難が起こるのもある意味当然かもしれない。というのも、肝心の大手メディアの報道自体、石原氏が繰り返してきた差別発言をほとんど取り上げずワイドショーだけではなく大手新聞やニュース番組までもが石原節などと報じているからだ

 実際、1日夜の『報道ステーション』(テレビ朝日)では、「歯に衣着せぬ石原節が人々の心を掴んだ」などと表現。新聞も同様で、2日の朝刊では朝日新聞が「石原都政、直言も放言も」、毎日が「「石原節」物議醸す」、東京新聞までもが「硬軟巧み 慎太郎流」などと伝えた。

 いや、それどころか、朝日新聞デジタルにいたっては、1日夕方に「「外国人が凶悪な犯罪」「参拝して何が悪いの」数々の石原節」として記事を配信。「外国人が凶悪な犯罪」という石原氏の発言はヘイトスピーチそのものだが、それを「石原節」などと表現したのである。

 この朝日の記事は批判が集まったためか、その後、「数々の石原節」という部分が「主な発言」と修正されたが、このように大手メディアの報道では、石原氏の差別発言が「差別」としてほとんど検証・批判されていないのだ。

 本サイトでは繰り返し指摘してきたが、政治家や学者、芸術家らが鬼籍に入っても、過去の言動や表現、作品をきちんと検証・批判するのは当然の行為だ。とりわけ石原氏は「芥川賞作家で昭和の大スター・石原裕次郎の兄」として脚光を浴びてきただけでなく、その抜群の知名度を活かして政治の世界に進出し大臣を歴任したほか、13年ものあいだ東京都知事を務めた公人中の公人である。

 そして、政治家による差別発言は差別を許容・肯定していいものだという社会の認識を生み出すものであり、その意味でも石原氏の生前の発言は悪質極まりなく、亡くなったからといって免罪されるものではない。むしろ、訃報に際してその功罪はしっかり検証されなければならないものだ。にもかかわらず、よりにもよって差別発言を「歯に衣着せぬ石原節」「放言」と矮小化するとは……。


■水俣病患者の抗議に「IQが低い」、「テレビにも同性愛者の連中が平気で出てる」と性的マイノリティ攻撃

 当然、そのような差別礼賛報道を看過するわけにはいかない。石原氏の発言が「石原節」「放言」などとは到底言いようもない、いかに卑劣なものだったか、以下に代表的なものを挙げていこう。

 たとえば、石原氏が剥き出しにしてきたのが障害者に対する差別であり、その差別発言によって“障害者排斥論”をさんざん煽ってきた。実際、環境庁長官だった1977年には、水俣病問題で「ニセ患者もいる」などと言い放った上、熊本に現地視察した際、水俣病患者が手渡した抗議文に対して「これを書いたのはIQが低い人たちでしょう」と発言。さらに都知事時代の1999年には重度障害者の治療にあたる府中療育センターを視察後に「ああいう人ってのは人格あるのかね」「ああいう問題って安楽死なんかにつながるんじゃないかという気がする」とも発言した。さらに、政界引退後の2016年に起こった相模原障害者殺傷事件についても、「文學界」(文藝春秋)での対談内で「あれは僕、ある意味で分かるんですよ」とよりにもよってジェノサイドに理解を示し、2020年に元厚労省医系技官ら2名の医師がALS患者の女性に薬物を投与し殺害した事件が起こると、Twitterに〈業病のALS〉〈武士道の切腹の際の苦しみを救うための介錯の美徳も知らぬ検察の愚かしさに腹が立つ〉と投稿している。

 女性に対する差別も酷かった。田中真紀子氏への「更年期じゃないの」発言や小池百合子氏への「大年増の厚化粧」発言など枚挙に暇がないが、とくに大きな問題となったのが、都知事時代の2001年、「週刊女性」(主婦と生活社)の「石原慎太郎都知事吠える!」という記事内においての発言だ。石原氏は当時東京大学教授だった松井孝典氏からの伝聞だとした上で、「“文明がもたらしたもっとも悪しき有害なものはババァ”なんだそうだ。“女性が生殖能力を失っても生きてるってのは、無駄で罪です”って。男は80、90歳でも生殖能力があるけれど、女は閉経してしまったら子供を生む力はない。そんな人間が、きんさん、ぎんさんの年まで生きてるってのは、地球にとって非常に悪しき弊害だって……。なるほどとは思うけど、政治家としてはいえないわね(笑い)」と述べたのだ。

 この発言の謝罪・撤回を首都圏の女性113人が求めた裁判では、請求は棄却されたものの、一審の東京地裁、二審の東京高裁ともに「教授の話を紹介する形だが、知事個人の意見を表明した」と認定、「女性の存在価値を生殖能力面のみに着目して評価する見解は個人の尊重などを定めた憲法と相いれない」と指摘したが、石原氏に反省はなく、2005年には「私が司法の対象になるのは分からない。裁判のための裁判であの人たちのパフォーマンス」「変な左翼」「シャケだって(中略)産卵したら死ぬわけでしょ」と差別を上塗り。そして、女性差別を繰り返してきた石原都政下では、男女平等担当部局が部から室へ格下げされ、平等を求めて女性が裁判を起こした場合に経済的な支援をおこなう訴訟支援・制度の打ち切り、東京女性財団や男女平等推進基金が廃止されるなど、男女平等実現のための施策が後退に追い込まれたのである(しんぶん赤旗2005年6月29日付)。

 また、石原氏が女性同様に標的にしたのが性的マイノリティだ。2000年には東京都が策定中だった「人権施策推進のための指針」の骨子から、原案にあった「同性愛者」を施策の対象から削除。これについて石原氏は会見で「特殊な性状を持っている人は見た目ではわからないから、どういう形で人権が棄損されるケースがあるのか想像が及ばない」「私は純粋なヘテロだから」と発言。2010年には、性描写規制を進めようとする都青少年健全育成条例改正案に関連して「男のペア、女のペアがあるけど、どこか足りない感じがする。それは遺伝とかのせいでしょう。マイノリティで気の毒ですよ」「テレビにも同性愛者の連中が平気で出てる。日本は野放図になり過ぎている」などと発言。これにはマツコ・デラックスが、東京都が株主である東京メトロポリタンテレビ(TOKYO MX)の『5時に夢中!』において「言ってみれば狂ってるよ、この発言は」「すべて信憑性なくなるよね。あの発言は狂ってますよ」と批判した。


■「三国人」発言に代表される排外主義、東日本大震災では「これはやっぱり天罰」

 さらに、石原氏が煽ってきたのが排外主義、外国人差別だ。そもそも石原氏といえば、1983年衆院選の選挙期間中、立候補していた故・新井将敬氏のポスターに石原氏の公設秘書が「(新井氏は)66年に北朝鮮から帰化」と書いたシールを貼り付けるという事件が起こったこともあるが(石原氏は「秘書がやった」と主張)、石原氏の外国人差別発言として忘れてはならないのが、2000年の陸上自衛隊の観閲式でおこなった「三国人」発言だろう。

 このとき石原氏は、「不法入国した多くの三国人、外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している」「すごく大きな災害が起きた時には大きな騒擾事件すら想定される」「三国人が騒擾事件を起こせば治安出動していただく」と発言。「三国人」という差別用語を持ち出しただけではなく、関東大震災時に起こった朝鮮人虐殺を正当化するかのような物言いで外国人に対する偏見を煽ったのだ。

 しかも、この卑劣な石原氏の発言には賛同の声があがり、実際、「日本会議」と自民党・民主党所属の議員らが都庁内で石原発言を支持する集会を開催。こうした支持の声を背景に、その後も石原氏は「(中国人の犯罪は)民族的DNAを表示するような犯罪」(産経新聞の連載にて)などと直球のヘイトスピーチを繰り返した

 このほかにも東日本大震災の発生からわずか3日後に「津波をうまく利用して、我欲を洗い落とす必要がある」「これはやっぱり天罰だと思う」などと発言するなど、石原氏の暴言、差別発言は挙げだすとキリがないが、このように、石原氏は障害者や女性、性的マイノリティ、外国人といった人びとの人権を侵害して侮辱し、貶め、攻撃を煽ることで危険にさらしてきたのだ。

 いや、差別発言だけではない。石原氏が尖閣諸島の購入計画をぶち上げたことがその後の国有化をもたらし日中関係をさらに悪化させたが、それ以外にも南京大虐殺や旧日本軍「従軍慰安婦」の強制連行を否定するなど歴史修正主義を全開にしたほか、「核兵器を保有すべき」だの「徴兵制で若者を鍛え直す」だのと軍事力増強を主張したり「支那(中国)と戦争して勝つ」といった好戦的発言を連発。また、イラク人質事件が起こった際には自己責任を振りかざし、リーマンショックの影響で「年越し派遣村」に数多くの生活困窮者が集まった際にも求職者の姿勢や生活保護を「甘え」と切って捨てた

 障害者差別や優生思想、外国人差別による排外主義の煽動、ジェノサイドの肯定、女性や性的マイノリティへの攻撃、歴史修正主義、自己責任の強調や生活保護バッシング──。石原氏の暴言・差別発言、ヘイトスピーチを挙げればはっきりとするように、石原氏は差別主義者以外の何物でもない

 しかも、石原氏の問題は、彼一人のものではない。その存在は、安倍晋三・元首相をはじめとするネトウヨ・極右のベースとなり、橋下徹氏や維新的ポピュリズム、優生思想の跋扈を生み、社会的弱者への攻撃、民族差別、障害者差別が堂々とまかり通る土壌をつくり出した

 だからこそ、石原慎太郎という政治家の言動については徹底した検証と批判がなされなければいけないのである。

 何度でも言う。石原慎太郎への批判は「死者への冒涜」などではない。この国でこれ以上の「人権侵害」「差別」の広がりを食い止めるために、絶対に必要なことなのである。

(編集部)
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●「レッテル貼り」「印象操作」「デマ」で醜態をさらすお維…《弁舌の巧みさでは…ドイツで政権を取った当時のヒットラーを思い起こす》

2022年02月08日 00時00分45秒 | Weblog

【↑ 『適菜収 それでもバカとは戦え真相究明と責任追及を“大阪ノーサイド”なんて冗談じゃない』 (2020年11月14日、日刊ゲンダイ)】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/281280


(20220130[])
リテラの記事【橋下徹は盟友・石原慎太郎から「ヒトラーに該当」と称賛されていた! 高須院長に協力の吉村、優生思想の松井、維新議員に反論の資格なし】(https://lite-ra.com/2022/01/post-6152.html)。

 《テレビに出まくっては維新のPRに勤しんでいる“維新の創業者”である橋下徹氏について、立憲民主党の菅直人・元首相が「弁舌の巧みさではヒトラーを思い起こす」と指摘した件で、橋下氏をはじめ、維新代表の松井一郎・大阪市長や副代表の吉村洋文・大阪府知事が猛反発、「立憲は謝罪しろ」とがなり立てている。しかも、本日国会でおこなわれた衆院予算員会では、質疑に立った維新の足立康史衆院議員が、政府のコロナ対策よりも先にこの問題を取り上げ、「国際社会だったらアウトだ。許せない。今日か明日にでも泉健太代表に抗議文を出す」「こうした野党のひどいレッテル貼り、印象操作、デマが国益を毀損してきた」などと騒いだのだ。予算委員会は政府の施策や考えをただす場だというのに、その貴重な時間を使って野党攻撃を繰り出すとは、まさしく維新は「税金泥棒にほかならない》。

 またお維か…。果てしなく続く、ウンザリな大阪「ト」知事によるお維案件。《予算委員会は政府の施策や考えをただす場だというのに、その貴重な時間を使って野党攻撃を繰り出すとは、まさしく維新は「税金泥棒にほかならない》…もう、ゆ党ですらないでしょ、与党自民党と合体したら? 来る2022年参院選が思いやられる。それにしても、自公もそうだけれども、お維に誰か一人でもマトモな議員は居るのでしょうか? 《大阪では自民に圧勝している維新政治を謙虚に研究すべき》なんて、冗談は止してくれ。最近の反面教師ぶりとしてのCOVID19対策だけでも、お維政治などを決してマネしてはいけない。謙虚に研究しなくても、反面教師ぶりは明白。大阪のお維支持者の皆さんこそ、目覚めて下さい。《こうした「人権意識」が徹底して欠如し、差別を差別とも思わず、ナチスを肯定する歴史修正主義者と手を結び、沖縄の市民を「侮辱」してきた維新の政治家たち》をなぜに支持できるのですか?
 「レッテル貼り」「印象操作」「デマ」で醜態をさらすお維…《弁舌の巧みさでは…ドイツで政権を取った当時のヒットラーを思い起こす》どころか、現実には、《ヒトラーに喩えられても仕方がない人権侵害集団》なお維。

   『●橋下元大阪〝ト〟知事の問題というよりも、投票者・支持者の問題?
    「相変わらず口先だけ。花火を打ち上げ、ほとぼりが冷めたころに小声で
     謝罪、でも行動は改めず。産経の記事『【大阪市職員アンケートは不当】
     /橋下市長、完敗「大変申し訳ない。謝罪しなければ」』…によると
     「…と陳謝した。…今後も組合に対するチェックを続ける考えを示した」
     ようだ。東京新聞のコラム「筆洗」曰く 「朝令暮改」だそう。
     「謝る時の潔さもこの人の魅力なのかもしれない、と書こう
     と思っていたら、夜になったら前言を撤回していた。まさに朝令暮改。
     なんとも感情的に流れる人である」」
    《▼大阪市が昨年二月、全職員を対象に実施した「思想調査」に対し、
     大阪府労働委員会が「組合活動に対する支配介入だった」と判断した
     のは一昨日の午前中だった。…▼かつて小欄で「いくら問題の多い役所
     としても、密告を奨励するアンケートを強行する人権感覚には
     慄然(りつぜん)とする」と書いたが、その意見は変わらない。
     潔く謝ったのは演技だったのだろう。批判されて乱れるような
     安っぽい演技なら、しないほうがよかった》

   『●大石あきこ氏のつぶやき…〝文通費〟を《吉村知事。…飲みしろに
     使ったんですか? 「ブーメラン反省」では済まない大問題ですよね》
   『●《「ブーメラン反省」では済まない大問題》を《男性アナウンサーは
      吉村知事が自己申告したことを「潔いというか」と紹介する始末》
   『●「れいわ新選組にビビるゆ党」お維の大阪「ト」知事三代…
     《「ブーメラン反省」では済まない大問題》等々を騒がないマスコミの皆さん
   『●大阪市長がお維議員30人と焼き鳥屋で《反省会》…「ルールに従え
     ないなら、組織を出るべきだと思う」by 松井一郎元大阪「ト」知事
   『●《足立議員は…「…」を犯罪者集団であるかのように取り上げ、
     「破防法を適用すべき」とまで主張…だったら、まず維新に適用すべき》
   『●お維の大阪府と包括連携協定の下足番広報紙…《メディアの役割は
     府政の監視をし、その政策を客観的・批判的な視点から報じること》
   『●数多のお維案件の中でもかなり醜悪な一つ ――― リコール署名偽造
     事件《指示系統や資金の流れなどは依然としてつまびらかではない》

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https://lite-ra.com/2022/01/post-6152.html

橋下徹は盟友・石原慎太郎から「ヒトラーに該当」と称賛されていた! 高須院長に協力の吉村、優生思想の松井、維新議員に反論の資格なし
2022.01.25 10:12

     (橋下徹公式Twitterより)

 テレビに出まくっては維新のPRに勤しんでいる“維新の創業者”である橋下徹氏について、立憲民主党の菅直人・元首相が「弁舌の巧みさではヒトラーを思い起こす」と指摘した件で、橋下氏をはじめ、維新代表の松井一郎・大阪市長や副代表の吉村洋文・大阪府知事が猛反発、「立憲は謝罪しろ」とがなり立てている

 しかも、本日国会でおこなわれた衆院予算員会では、質疑に立った維新の足立康史衆院議員が、政府のコロナ対策よりも先にこの問題を取り上げ、「国際社会だったらアウトだ。許せない。今日か明日にでも泉健太代表に抗議文を出す」「こうした野党のひどいレッテル貼り、印象操作、デマが国益を毀損してきた」などと騒いだのだ。予算委員会は政府の施策や考えをただす場だというのに、その貴重な時間を使って野党攻撃を繰り出すとは、まさしく維新は「税金泥棒にほかならない

 いや、それ以前に「レッテル貼り」「印象操作」「デマ」と批判されるべきは、橋下氏や松井氏、吉村氏らがまくし立てている反論のほうだ。事実、彼らの反論はことごとく筋違い・的外れであるだけでなく、「お前が言うか」というものばかり。せっかくなので、いかに橋下・松井・吉村の三者がアホ丸出し・恥知らずな反論をしているのかを順番に指摘していこう。

 まず、発端となった21日の菅氏のツイートは、以下のようなものだった。

〈橋下氏をはじめ弁舌は極めて歯切れが良く、直接話を聞くと非常に魅力的。しかし「維新」という政党が新自由主義的政党なのか、それとも福祉国家的政党なのか、基本的政治スタンスは曖昧。主張は別として弁舌の巧みさでは第一次大戦後の混乱するドイツで政権を取った当時のヒットラーを思い起こす。〉

 そして、この菅氏のツイートに対し、橋下氏は23日にこのような反論をおこなった。

〈ヒットラーへ重ね合わす批判は国際的にはご法度。こういうことを平気でやるのは京都大学の藤井聡氏のような非常識な学者。まあ今回は弁舌の巧みさということでお褒めの言葉と受けっておくが。それよりも強い野党を本気で作る気があるなら、大阪では自民に圧勝している維新政治を謙虚に研究すべき。〉

 「ヒトラーへ重ね合わす批判は国際的にはご法度」……!? これ自体が噴飯ものの主張なのだが(詳しくは後述する)、その前に、この橋下氏の態度は完全なダブルスタンダードなのだ。

 じつは、橋下氏をヒトラーに重ね合わせて論評したのは菅氏がはじめてではない。 “ナベツネ”こと渡邉恒雄・読売新聞グループ本社代表取締役兼主筆も「文藝春秋」2012年4月号に寄稿した文章のなかで、「選挙はある種の白紙委任」という橋下氏の発言を取り上げて、〈私が想起するのは、アドルフ・ヒトラーである〉と指摘している。

 また、自民党総裁だった谷垣禎一氏も2012年、橋下氏率いる大阪維新の躍進を受けて「政党政治が駄目だということで昭和10年代に日本で軍部が出てきた。ヒトラー、ムソリーニが出てきた時もそういう雰囲気だったのだろう」と、維新とヒトラーの共通性を指摘している。

 このナベツネや谷垣氏の「ヒトラー」発言に対しても、橋下氏は今回と同様に反論をしていたが、じつは、同じようにヒトラーにたとえられながら、なぜか反論した形跡のない相手がいる。

 それは、石原慎太郎・元東京都知事だ。橋下氏と石原氏はまさに盟友で、2012年の衆院選では石原氏率いる「太陽の党」が橋下氏の「日本維新の会」に合流(その後分裂)したほどだったが、その石原慎太郎は2014年の政界引退会見において将来の総理候補として橋下氏の名前を挙げ、「彼は天才」「あんなに演説のうまい人は見たことない」「彼の演説のうまさ、迫力っていうのは若いときのヒトラーですよ」「ヒトラーの伝記を読んでもそうだけどね、彼に該当する政治家だね、橋下徹ってのは」と発言した。

 石原氏が橋下氏をヒトラーに重ね合わせて称賛したことは、当時、多数のメディアで取り上げられた。

 ところが、このときの橋下氏は、今回の菅氏への対応とはまったく違っており、石原氏の発言に対して表立って反論をおこなった形跡がまったくないのだ。

 ようするに、橋下氏が今回、菅直人に「国際的な御法度」などと噛み付いたのは、自分への批判として「ヒトラー」に重ね合わされたからであって、「ヒトラー」を褒め言葉として使われていた場合は、それになんの文句も言っていないのだ。これぞダブルスタンダードというやつではないか。


橋下徹は自身を批判する学者に「お前の顔の方が安もんのヒトラーだろ!」と攻撃した過去

 しかも、橋下氏は自身が過去に他者をヒトラー呼ばわりしていたこともある。今回、橋下氏は菅氏への反論で「こういうことを平気でやるのは京都大学の藤井聡氏のような非常識な学者」と書いていたが、橋下氏は2017年2月18日のツイートで、こう藤井氏を批判していたのだ。

〈僕のことをヒトラー呼ばわりしておいてお前の顔の方が安もんのヒトラーだろ!お前の家には鏡がないのか!〉

 橋下氏は相手が先に「ヒトラー」を持ち出してきたからだと主張するかもしれないが、「国際的な御法度」と言うなら、反論で使うのももちろん御法度だ。しかも、橋下氏の場合は政策や思想批判ではなく「お前の顔の方が安もんのヒトラー」などと容姿差別として使っている。これでよくもまあ「国際的な御法度」などと言えたものである。

 というか、そもそも、橋下氏がわめいているこの「ヒトラーにたとえるのは国際的にはご法度」というロジック自体がインチキきわまりないのだ。

 橋下氏はあたかも菅直人元首相が差別用語を使ったかのように語っているが、あらためて指摘するまでもなく、国際社会で「ご法度」となっているのは、ヒトラーや戦前のナチスドイツを肯定・正当化したり称賛・美化すること。今回のように大衆扇動や思想統制、優生思想、独裁などに警鐘を鳴らす際、ヒトラーやナチスに喩えることは国際的にしょっちゅうおこなわれていることであり、当然ながらそれは正当な批判・表現で、御法度でもなんでもない。

 むしろ「国際的にもご法度」なのは、前述した石原慎太郎のような評価・称賛すべきポイントとしてヒトラーやナチスを持ち出した場合だ。しかも、石原氏は橋下氏をヒトラーになぞらえた際、ドイツ大使館にいた外交官が「ヒトラーが若いときにやったことは間違っていなかった。素晴らしかった」と言っていたという話を語った上で、「ユダヤ人を偏見で虐殺したことは許せないけど、私はその言葉を是とする」と述べ、その上で“橋下氏はヒトラーに該当する政治家”と評価したのだ。

 これこそまさに「国際的にもご法度」な問題発言だが、前述したように橋下氏はこのとき、石原氏がヒトラーを肯定するという大問題発言をしでかした上で自分をヒトラーに重ね合わせられたというのに、そのことに何も反論・批判していない。そればかりか、橋下氏はこんな「国際的にもご法度」な人物と同盟を組んでいたのである。

 いや、それどころか橋下氏には、ナチス・ドイツを評価する「国際的にもご法度」な発言を擁護したことさえある。

 2013年に当時の麻生太郎副総理が「憲法はある日気づいたらワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。誰も気づかないで変わった。あの手口を学んだらどうかね」と発言。ユダヤ人権団体のサイモン・ウィーゼンタール・センター(SWC)が抗議声明を発表したほか、ドイツの有力紙・ヴェルトも「日本の副首相、ナチスの戦術を称賛」という見出しで報じるなど海外にも波紋が広がったが、なんと、このとき橋下氏は「行き過ぎたブラックジョークだったのではないか」「政治家だとこういった批判は出るが、エンターテインメントの世界ならいくらでもあるなどと麻生発言を擁護してみせたのだ。

 「ナチスの手口を学べ」という発言は冗談で済むようなものではなく、これこそまさにナチス・ドイツを評価する「国際的にもご法度」な発言にほかならない。にもかかわらず橋下氏は「ブラックジョーク」「エンターテインメントの世界ならいくらでもある」などと庇ったのである。当然、この擁護発言に対しても、SWC幹部であるエイブラハム・クーパー氏は「ブラックジョークとして扱ってはならない事柄がある」「私は30回以上、日本を訪問したが、原爆を投下された広島と長崎の人々の苦しみが冗談にされているのを聞いたことがない」と批判をおこなった。


ヒトラー礼賛を繰り返す高須克弥院長を一切批判せず、ファンアピールする吉村洋文知事

 自分はヒトラー礼賛の政治家と組んだり、ヒトラー礼賛言説を擁護しておきながら、批判としてヒトラーに喩えられた途端、ありもしない「国際的にも御法度」などという言葉で反撃する──。まさに橋下氏らしい詐欺的手口といえるが、しかし、こうした棚上げインチキ反論は、松井氏や吉村氏、維新も同様だ。

 松井氏は22日に〈誹謗中傷を超えて侮辱〉と怒りのツイートを投稿し、吉村氏も24日に会見で「どういった人権感覚を持っているのか。これが許されるのであれば何でもありになる」などと噛み付いたが、よくもまあ言ったものだ

 というのも、吉村氏はこれまで、ナチス・ドイツを礼賛する人物を咎めることもなく、むしろ懇意の間柄をさんざんアピールにしてきたからだ。

 「ナチスドイツを礼賛する人物」というのは、言うまでもなく高須クリニックの高須克弥院長のこと。高須院長といえば、〈ナチスが消滅してもナチスの科学は不滅〉〈南京もアウシュビッツも捏造だと思う〉などとナチス肯定や歴史修正のツイートを繰り返してきたが、吉村知事は高須院長から応援されるたびに「高須院長、ありがとうございます!」と応答するだけでなく、高須院長の顔がプリントされた枕を購入した際にはわざわざ動画まで付けて〈高須先生の枕をゲットした、なう〉〈大阪でも販売期待、なう〉などと発信。高須院長が入院したときにはカレーパンを差し入れしたり、誕生日には今治タオルをプレゼントしたり、その交友関係をTwitterで明かしてきた。

 さらに、後に不正が発覚した愛知県の大村秀章知事のリコール運動では、吉村知事はおおっぴらに「賛同」を表明して〈応援してますとエールを送り、〈口だけでなく信念に基づいて現実に動く高須先生に敬意です〉などと投稿していた。

 石原氏の発言同様、高須院長の〈ナチスが消滅してもナチスの科学は不滅〉〈南京もアウシュビッツも捏造だと思う〉などという主張は、それこそ紛れもない「国際的にもご法度」な発言であることは論を俟たない。事実、2017年には、高須院長のナチス礼賛投稿をSWCが問題視し、アメリカの美容外科学会に高須院長を会員から追放するよう要請。イスラエル大手紙のエルサレム・ポストが報じ、世界的な市民メディアであるグローバル・ボイスも高須院長の問題ツイートを大々的に取り上げた。しかし、国際的にも問題になったこれらの投稿について謝罪も撤回もしない高須院長との間柄を、吉村氏は隠そうともせず、逆にアピールに使ってきたのだ。

 水道橋博士は昨日24日、吉村氏と松井氏を批判する投稿を引用リツイートし、〈まずこの人と共闘していた高須医院長がどれほどのヒトラー礼賛を繰り返したのか、誰か教えてあげて欲しいし、橋本徹が石原慎太郎に「ヒトラーの再来」のように称賛されても抗議しなかったことを教えてあげて欲しい〉(原文ママ)とツイートしたが、まさにそのとおりとしか言いようがないだろう。


維新はグロテスクな優生思想でもナチスと共通 「人工透析患者を殺せ」発言の長谷川豊を擁立したことも

 いや、それだけにとどまらず、松井氏や馬場伸幸幹事長など維新の面々は、これまで度々ナチスに通じるグロテスクな優生思想を全開にしてきた、「人権意識」の欠片もない連中だ。

 実際、維新の松井代表は、「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!」という暴論を振りかざした元フジテレビアナウンサーの長谷川豊氏を2017年の衆院選で擁立し、2019年の参院選でも公認(のちに部落差別発言で公認辞退)。また、京都でALS患者の女性が元厚労省医系技官ら2名の医師によって殺害された事件が発覚した際は、松井氏は〈維新の会国会議員のみなさんへ、非常に難しい問題ですが、尊厳死について真正面から受け止め国会で議論しましょう〉などと呼びかけ、馬場幹事長も、ALS患者であるれいわ新選組の舩後靖彦・参院議員がこの事件を受け〈「死ぬ権利」よりも、「生きる権利」を守る社会にしていくことが、何よりも大切です〉といった声明を出したことに触れ、議論の旗振り役になるべき方が議論を封じるようなコメントを出している。非常に残念だ」などと非難。松井代表と馬場幹事長は「尊厳死」の名を借りて「命の選別」をしようという本音をダダ漏れにさせたのだ。

 その上、松井氏にいたっては、2016年に沖縄県の高江で進められていた米軍ヘリパッド建設工事で大阪府警から派遣されていた機動隊員が反対派市民に対し「触るな、土人が」と差別に基づいた暴言を吐いたことが問題となった際、〈表現が不適切だとしても、大阪府警の警官が一生懸命命令に従い職務を遂行していたのがわかりました。出張ご苦労様〉などと投稿。「土人」というあからさまな差別語を投げつけたことが問題になっていたにもかかわらず、知事だった松井氏はわざわざ機動隊員を労うという差別の肯定と受け止められる言動に出た。

 こうした「人権意識」が徹底して欠如し、差別を差別とも思わず、ナチスを肯定する歴史修正主義者と手を結び、沖縄の市民を「侮辱」してきた維新の政治家たちが、「誹謗中傷を超えて侮辱」だの「どういった人権感覚を持っているのか」だのと反論するとは……。「どういった人権感覚を持っているのか」「誹謗中傷を超えて侮辱」と批判されるべきは、あきらかに自分たちのほうではないか。

 しかも、今回、菅直人は橋下氏の「弁舌の巧みさ」をヒトラーに喩えたが、橋下氏や維新のナチス・ヒトラーとの共通性はそれだけではない。下氏が政治家として実行してきた「思想統制」はヒトラーとそっくりであり、そのことは随時指摘されてきた。

 

 たとえば、橋下氏は大阪市長時代の2012年、市職員に対する政治・組合活動にかんする“思想調査”アンケートを市長の業務命令として実施。これは労働組合への参加の有無や、組合や演説会に誘ったのは誰かなどの回答を求めるという人権無視・内心の自由を奪おうとする明白な憲法違反のシロモノだったが、なんと橋下氏はこのアンケートに回答しない場合は処分の対象になり得ると強制までした。無論、この思想調査に対しては抗議・反対の声があがったが、民主法律協会、連合大阪法曹団、自由法曹団大阪支部などの法律家8団体がおこなった集会では、浦部法穂・神戸大学名誉教授が橋下氏や大阪維新とナチス・ヒトラーの酷似点を指摘していた。

 また、橋下氏は市職員に入れ墨を入れているか否かを申告させるというプライバシー侵害も甚だしい調査もおこない、回答を拒否した職員を戒告処分にするなどという暴挙に出たこともある。さらには、公立校の行事で教職員に「君が代」の起立斉唱を義務付ける条例を大阪府・大阪市で施行した結果口元チェックまでおこなわれる状況になった

 このように、権力で押さえつけ、数の力でやりたい放題という橋下氏の政治は、まさしくヒトラーによるファシズムに通じるものであり、実際、入れ墨処分問題については、米ワシントン・ポストが2012年5月23日付記事で、前出の渡邉恒雄の言葉を引用するかたちで「アドルフ・ヒトラーを想起させる」と指摘している。

 そして、吉村知事、松井氏、維新という政党に所属している議員たちもこの橋下的な恐怖支配と大衆扇動の政治を完全にトレースし、優生思想を平気で振りかざすような言動まで繰り返してきた

 ようするに、橋下氏の政治家時代の政治手法、その後の維新の体質を見れば、「弁舌の巧みさはヒトラーを思い起こす」どころか、「ヒトラーそっくりの独裁手法」「維新の優生思想や排外主義はナチス・ドイツばり」と指摘してもいいレベルなのだ。

 ところが、橋下氏や松井氏、吉村氏をはじめとする維新の連中は、この正当な批判・批評に対して「国際的にもご法度」などというあきらかなデマを垂れ流し、完全にブーメランな「どういった人権感覚を持っているのか」「誹謗中傷を超えて侮辱」「ひどいレッテル貼り、印象操作、デマ」などと喚き立てている

 まん延防止等重点措置の適用要請で後手に回り、爆発的な感染拡大を招いた政治責任をごまかすためなのかは知らないが、詐欺的手口にほどがある。これ以上、維新の連中に騙されないためにも、「維新はヒトラーに喩えられても仕方がない人権侵害集団だ」と言い返していく必要があるだろう。

(編集部)
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コメント
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●大阪の直接的・間接的お維支持者の皆さん、大阪「ト」知事三代らにイジメられることが快感にでもなっているの? それにしても酷い面子…

2021年11月13日 00時00分50秒 | Weblog

【↑ 『適菜収 それでもバカとは戦え真相究明と責任追及を“大阪ノーサイド”なんて冗談じゃない』 (2020年11月14日、日刊ゲンダイ)】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/281280


――――――― (狙撃兵)《歴然としているのは、選挙に行かないこの5割の有権者こそが今日の政治状況を変えうる最大勢力であるという点だ。そのうち2~3割が動いて投票率が70~80%の選挙が展開されるだけでも局面はガラリと変わることになる》。#投票倍増委員会 会員として、いつも通り、当然に、#わたしも投票します

――――――― (神保哲生さん)《ほとんど政治に変革が期待できない日本でも、選挙の投票率が先進国の平均レベルに達した瞬間に、大きな変革が起きているのです。つまり、どうせ政治に変革なんて期待できないから投票に行っても意味がない、のではなく、投票に行かないから政治が変わらないだけのことだったのです。そして、この低い投票率が、決してメディア報道とは無関係ではないことを…》

――――――― 故・石川真澄さん《『死票を大量に生む小選挙区制では民意を国会に反映できない』などと、小選挙区制導入に反対の論陣を張った》新聞記者

――――――― 中島岳志さん「今回の選挙の総括をまちがえてはいけない野党共闘が否定されたのではない野党共闘が徹底できなかったことが問題なのだ



 (20211107[])
西日本新聞の記事【問題を埋もれさせないで─リコール署名偽造、最初の情報提供者の思い】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/817289/)。
リテラの記事【衆院選で当選した「維新」議員の顔ぶれがひどい! 暴言、ヘイト、極右、金の不祥事、女性への暴力行為を報道された議員まで】(https://lite-ra.com/2021/11/post-6065.html)。
日刊ゲンダイの記事【維新「第3党」躍進のお寒い実情…次点にもなれず比例復活の“ゾンビ議員”がウヨウヨ】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/296904)。

 《今回の特報のきっかけとなったのが西日本新聞「あなたの特命取材班」(あな特)に寄せられた投稿だった。署名偽造のアルバイトに参加し、その実態を最初に寄せた福岡県久留米市の50代男性に、当時の経緯や思いを聞いた。(聞き手は福間慎一、竹次稔)》《「愛知県選挙管理委員会が2月1日、『有効と認められない署名が8割に及んだ』と発表した。直後、リコール活動団体幹部がそれを全否定する発言をしたのを報道で知った。自分が携わってしまったことは何だったのか。そう問いたかった。それはおかしいやろ、という思いが強まった。若い人から高齢者まで、佐賀市の会議室で黙々と作業する会場はやはり異様だった。なぜ、佐賀でやったのだろう、と…」》。
 《しかし、こんなヤバい政党が国政で発言力を持つようになって本当に大丈夫なのか。維新の松井一郎代表は今回の選挙戦でも「大阪の改革を全国に広げる」などと訴えてきたが、本サイトでは繰り返し指摘してきたように、吉村洋文・大阪府知事や松井市長の新型コロナ対策は“やってる感演出のパフォーマンスだけで、維新の行政サービス切り捨て路線のツケによって医療崩壊が起き、全国で最多の死亡者を出したのが実態こんなものを全国で広げられてはたまったものではない。しかも、維新といえば「不祥事のデパート」であり…》。
 《イケイケムードとは裏腹に、大阪以外の小選挙区を制したのは1つだけ。それも大阪のベッドタウン、宝塚市や伊丹市を含む兵庫6区である。自民を上回るトップの10議席を獲得した比例近畿ブロックの約318万票の内訳も、得票率42.5%と他党を圧倒した大阪の171万5862票が半数以上を占める。維新旋風は、なにわのパワー全開があればこそ。その支えによって京都1区、兵庫1区、奈良1区で次点にもなれず、3位に甘んじた小選挙区候補3人が比例復活。さらに「惜敗率50%台で2人が当選した。全国を見渡せば、そんな“ゾンビ議員”がウヨウヨいる。近畿ブロック以外で比例復活した維新候補は15人。うち13人が惜敗率7割未満で、選挙区で次点になれなかった候補は9人に上る。中でも四国ブロックで当選した吉田知代(徳島1区)の惜敗率20.1%は歴史に残る“珍記録”。歴代でも3番目に低い惜敗率での当選者となった》。

   『●「広域行政一元化」なんて言い始めた《大阪の3バカが活動拠点を
     国政に移せば、日本は目も当てられなくなるだろう》(適菜収さん)
   『●リコール対象はコチラなのでは? 大阪市廃止「ト」構想の《関連経費
      として投入された公金は100億円を超える》、さらに公明党と密約
   『●大阪「ト」知事三代が大阪破壊 … 「身体が痛いおばあさんに手術を
      待ってもらう知事が、先の万博を胸にぶら下げてる…」(坂本篤紀氏)
   『●組織的な署名不正など無く公正な条件下でリコールされるべきはお維
          ――― 吉村洋文大阪「ト」知事「厳正に処罰されるべきだ」と宣う
   『●大阪「ト」知事三代の重大な責任 ——— 大阪市廃止大阪「ト」構想、
     カジノ、万博、お維関係者の数多の問題、そして、リコール不正署名
   『●《巨額の税金を“言い値”でフンだくられ、リターンは「遅さ日本一の
      命綱」…まるでパソナ支援金》(日刊ゲンダイ)…大阪「ト」知事三代
   『●《「中等症以下は自宅療養」の方針。…そんななかこれを「菅首相の
     大英断」と褒め称えた人物がいる。橋下徹・元大阪市長だ》(リテラ)
   『●「公務日程なし」としてあまり登庁しない松井一郎大阪市長・元大阪
     「ト」知事…「ルールに従えないなら、組織を出るべきだと思う」ねぇ?

 選挙前にお維の責任が問われるべきだったのに。地獄一歩手前の、2021年衆院選の「最悪の結果」の所以はお維の議席増だ。愛知県知事リコールでの不正・犯罪への関与なんて、全く語られない。《地域ジャーナリズム》は、地域内では機能しないのか?

 結果は地獄の一歩手前の最悪。あぁ、あとの祭り。大阪「ト」知事三代…お維に投票する支持者の気持ちがさっぱり分からない。お維直接支持者・間接支持者の大阪の皆さんは、イジメられることに快感でも感じているのかね? それにしても、大阪「ト」知事三代をはじめあまりに酷い面子ではないですか? 自民党も大概だが、お維にまともな政治家って居ますか? 是非、一度でいいから国会中継を見て下さい。自分たちが誰に投票してしまったのかを知るために。例えば、足立康史氏。はっきり言いますが、よくも氏に投票できますね。麻生太郎氏なみ、いや麻生氏を超えるヘイト・差別主義者です。《在日外国人の排斥を剥き出しに》するような議員が大阪では人気が出るのですか。こんな「恥」は大阪では報じられないのでしょうね、在阪メディアも腐っています。《この杉本氏をめぐる一件がよく表しているが、松井代表をはじめとして維新は「身を切る改革」「自分たちに厳しい政治をやってきた」などと言うが、これはとんだ嘘っぱち》…こんな《嘘っぱち》に騙されて、正気ですか?
 鈴木耕さんによる、マガジン9のコラム【言葉の海へ 第185回:異形の夜】(https://maga9.jp/211103-5/)によると、《まさに大阪は「別の国」としか思えない。維新は、過激な言質を振りまく「トランプのいないトランプ党」みたいだと思う。だって、創設者の橋下徹氏はテレビのコメント屋さんになっちまったし、松井一郎維新代表は「市長の任期が終わったら政治家を引退」という。まあ、政治家の「引退」ほど眉に唾しなければならない言葉もないけれど。つまり、主導者がいない鵺(ぬえ)のような過激政党というわけだ。やたらと危ない発言や行動をする議員をワンサカ抱える政党が、ジワジワと数を増やしていく大阪。繰り返し「大阪都構想」で敗れているにもかかわらず、なお絶大な人気を誇る不思議。ヘイトスピーチを繰り返す議員を、表現の自由だと擁護する政党。コロナ禍では、大阪は日本でいちばんの死者を出した医療施設や保健所などの医療資源を徹底的に壊した結果というしかないのだが、この「別の国」では、それもあまり問題にはならないらしい。やはり、不思議だ》。

 在阪メディアに大変に、大変に大きな問題があることは言うまでもありません。町山智浩さんのつぶやき:

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https://twitter.com/TomoMachi/status/1456061972709986304

町山智浩@TomoMachi

失業率とコロナ死亡率ワーストの大阪で維新が支持され続けることを大阪の民度のせいにする人がいますが、そうじゃなくて、やしきたかじんの番組でボーイズという制作会社が橋下徹を売り出したことから始まった「テレビ&お笑い&維新のスクラムが問題なのをメディアはちゃんとい検証してほしいです。

午前9:53 2021年11月4日
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https://www.nishinippon.co.jp/item/n/817289/

問題を埋もれさせないで─リコール署名偽造、最初の情報提供者の思い
2021/10/17 12:0
あなたの特命取材班

     (取材に応じる「あなたの特命取材班」への情報提供者
      =10月上旬、福岡県久留米市)

 今回の特報のきっかけとなったのが西日本新聞「あなたの特命取材班」(あな特)に寄せられた投稿だった。署名偽造のアルバイトに参加し、その実態を最初に寄せた福岡県久留米市の50代男性に、当時の経緯や思いを聞いた。(聞き手は福間慎一、竹次稔)


 -投稿のきっかけは。

 「愛知県選挙管理委員会が2月1日、『有効と認められない署名が8割に及んだ』と発表した。直後、リコール活動団体幹部がそれを全否定する発言をしたのを報道で知った。自分が携わってしまったことは何だったのか。そう問いたかった。それはおかしいやろ、という思いが強まった。若い人から高齢者まで、佐賀市の会議室で黙々と作業する会場はやはり異様だった。なぜ、佐賀でやったのだろう、と…」

 -それで本紙に。

 「もちろん地元だから、西日本新聞のことはよく知っていた。インターネットで投稿の窓口を探していたところ、『あな特』コーナーを見つけた。実は、他のメディアにも投稿したが、西日本新聞が動きだし、中日新聞の記者とすぐに面会に至った。中日の記者は愛知県の事情に本当に詳しく、信頼できた」

 -リコール活動団体事務局長らが逮捕される事態に発展した。

 「当初、たかだかアルバイトという感覚だった。それが『民主主義の根幹を揺るがす問題』と言われるまでになった。時間が空いていたのでネットで簡単に応募し、知らないうちに犯罪に加担してしまったという危うさを思い、恥じている。時給950円は、都市部からすると高くないだろうが、こちらではコロナ禍で悪くない条件だった」

 -「あな特」は今後もしっかり続けていきたい。

 「窓口がなければ、誰にも相手にされず埋もれてしまっていたかもしれない。地方から、こうした細かい情報を取り上げてくれる窓口は重要だと感じる。多くの情報が寄せられるだろうが、記者魂というか確かな着眼点を持ち、スピード感を持った地方紙間の連携もぜひ続けてほしい」

 -地域ジャーナリズムへの期待は。

 「私もネットニュースをよく読む。新聞紙がなくなる日があるかもしれない。ただ、記者が思いを持って取材した記事が時代から求められるのは今後も変わらないはず。今回のような問題は、地域で埋もれさせてはいけない。それを担うジャーナリズムが残ってほしいと願う」


市民と手を携えて報道これからも クロスメディア報道部デスク 竹次 稔

 西日本新聞への情報提供を起点に、市民と手を携えながら、身近な疑問から不正まで幅広く取材し、報道を通じて地域貢献につなげていく-。本紙が取り組む「あなたの特命取材班」(あな特)の狙いだ。

 署名偽造のアルバイトに携わった福岡県久留米市の50代男性から情報が寄せられた2月2日も「あな特」に十数件の投稿があった。目を通す中、男性が書いた内容に「事実なら大変なことだ」と直感。直後に不正を否定するリコール活動団体の記者会見があったが、男性の話とは全く食い違っていた。

 「中日新聞との共同でのスクープも一市民として評価しています」。10月上旬、「あな特」に別件で寄せられた情報提供には、投稿の理由がこう書かれていた。報道が信頼を呼び、その積み重ねが、さらなる情報提供を促す-。そうした好循環を堅持することが私たちの願いであり、「あな特」はその受け皿だ。

 読者起点で社会課題の解決を目指す「あな特」のようなオンデマンド調査報道(ジャーナリズム・オン・デマンド、JOD)は全国のローカルメディアに広がる。中日新聞もその仲間。各社で連携協定を結び、記事交換や情報共有、記者交流は既に定着してきた。われわれ地方紙を取り巻くメディア環境も厳しさを増している。ローカルジャーナリズムの灯を守るためにも、さまざまな連携の形に挑戦していきたい。

 だからこそ、まずはよって立つ地域をしっかり見つめたい。「あな特」への投稿に一つでも多く応え、身近な暮らしが少しでも改善されていくよう、今後も全力で取り組んでいく。


全国29媒体 調査報道で連携

 「あなたの特命取材班」(あな特)は2018年1月に始まり、約700本の記事を紙面やウェブサイトに掲載してきました。LINEでつながるフォロワー(あな特通信員)は1万4000人余り。情報はLINEやインターネットの投稿フォームなどで寄せられ、多い日で数十件に上ります。

 取材班は「新内閣発足へのご意見を」といった通信員アンケートも随時実施しています。市民の声を知りたいときに協力してもらい、一度に2000人から回答を頂いたこともあります。通信員の皆さんにとっても、「あな特」は「社会参加の窓」となっているようです。

 「あな特」の実践に賛同し、同様のオンデマンド調査報道(JOD)を始めたローカルメディアは全国に広がっています。17日現在、北海道から沖縄まで29媒体でパートナーシップ協定を結び、連携を深めながら地域報道に磨きをかけています。 (あなたの特命取材班事務局長・宮崎真理子)

     ◆    ◆ 

 JODパートナーシップの加盟媒体は次の通り。北海道新聞▽東奥日報▽岩手日報▽河北新報▽山形新聞▽東京新聞▽神奈川新聞▽新潟日報▽北日本新聞▽北陸中日新聞▽福井新聞▽信濃毎日新聞▽岐阜新聞▽中日新聞(東海本社)▽静岡新聞▽中日新聞(名古屋本社)▽京都新聞▽神戸新聞▽まいどなニュース▽山陰中央新報▽中国新聞▽徳島新聞▽愛媛新聞▽高知新聞▽西日本新聞▽テレビ西日本▽TVQ九州放送▽FM福岡▽琉球新報


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 西日本新聞「あなたの特命取材班」は、記者が読者と直接つながり、双方向のやりとりと新聞社の取材力を生かした調査報道で、地域や社会の課題解決を目指します。あなたの「知りたい」にこたえ、深く正確に報じる「オンデマンド調査報道」(ジャーナリズム・オン・デマンド=JOD)に挑んでいます。暮らしの疑問から地域の困り事、行政や企業の不正まで、調査依頼や情報をお寄せください。全国各地のローカル・メディアとも連携し、情報や記事を共有したり、協働調査報道に取り組んだりしています。

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https://lite-ra.com/2021/11/post-6065.html

衆院選で当選した「維新」議員の顔ぶれがひどい! 暴言、ヘイト、極右、金の不祥事、女性への暴力行為を報道された議員まで
2021.11.03 09:19

     (日本維新の会公式Twitterより)

 10月31日におこなわれた衆院選は、自民党が公示前より議席を減らしながらも絶対安定多数の261議席を獲得するという結果になった。これはおおいに問題だが、もうひとつ気になるのは、日本維新の会(以下、維新)が大きく躍進したということだ。

 維新は大阪府内の19選挙区のうち15選挙区で候補者を擁立して全員が当選を果たしただけではなく、兵庫6区でも維新公認の市村浩一郎氏が僅差で制し、大阪以外の小選挙区で初めて議席を獲得した。さらに比例代表では前回衆院選の8議席から大きく伸ばして25議席を獲得。これらにより、維新は公示前の11議席から4倍近い41議席となり、第3党に躍り出た格好だ。

 しかし、こんなヤバい政党が国政で発言力を持つようになって本当に大丈夫なのか。維新の松井一郎代表は今回の選挙戦でも「大阪の改革を全国に広げる」などと訴えてきたが、本サイトでは繰り返し指摘してきたように、吉村洋文・大阪府知事や松井市長の新型コロナ対策は“やってる感演出のパフォーマンスだけで、維新の行政サービス切り捨て路線のツケによって医療崩壊が起き、全国で最多の死亡者を出したのが実態こんなものを全国で広げられてはたまったものではない

 しかも、維新といえば「不祥事のデパート」であり、衆院選でも元秘書への暴行で自民党を離党した石崎徹氏を公認(結果は落選)。日本記者クラブでおこなわれた党首討論でも、メディア側から不祥事を起こした候補者が多いことについて「議員の資質管理は大丈夫か」と突っ込まれていたほどだった。

 そして、この不安は的中した。今回、維新が公認して当選した議員も、御多分に洩れず、差別・暴言を連発したり、不適切な支出や不透明な資金の流れが指摘されたり、さらに極右思想を剥き出しにする「問題議員」がわんさといるからだ。

 そのひとりが大阪1区で当選した井上英孝氏だろう。井上氏といえば、2012年の衆院選に維新から出馬して国政初当選を果たしたが、「週刊文春」(文藝春秋)2013年1月3日・10日号で、女性への暴言や暴力行為を告発されている。「私は維新のプリンスに暴行されました」というタイトルのその記事は、食事会で一緒になった女性に対し、「お前らみたいな女が市会議員としゃべれるなんてないねんぞ」「お前みたいな女はカネさえもらえれば誰とでもヤりよるねん」などと暴言を吐き、帰ろうとする女性の首を背後から絞め上げたというもの。周囲の人がなんとか止めたものの、女性は失神寸前で唇の色が変色するほどだったという。

 当時、「文春」の直撃を受けた井上氏は「全然覚えてない。まあ、その場のノリでそういうことになるっていうことは、別に……。でも、そんなん言うたら、首絞めたということ書くんやろ。しかし俺のことを貶めたい人もおるやろうし、(こうした証言の)一個一個に反応せえへんよ。まあまあ、好きにして」などと回答し、事実をはっきりは否定していない。

 ちなみに、この「文春」報道と同一と思われる被害女性が今年10月7日付で井上氏を侮辱罪、暴行罪並びに傷害罪容疑で大阪地検特捜部に告訴状を提出している(警察への提出が適するという理由で不受理)。背景は不明だが、井上氏は真相をきちんと説明する必要があるのではないか。


“暴言王”足立康史を筆頭に、ヘイトスピーチ、差別的発言が問題になった候補が次々当選

 維新といえば、2019年の参院選で維新公認で立候補予定だった元フジテレビアナウンサーの長谷川豊氏が被差別に対する差別発言をおこない公認停止となったが、差別発言を連発しながら当選した議員も数多くいる。

 なかでもやはり問題なのは、公然と差別発言を連発しながら党として除名もせずのさばらせ、今回、大阪9区で当選してしまった「維新の暴言王」こと足立康史氏だ。

 周知のように足立氏は、維新のなかでもとりわけ極右色が強く、国会議員でありながらSNSで「朝日新聞、死ね」だの「立民は北朝鮮の工作員」だの暴言やデマを連発・拡散国会でも数々のデマや暴言を吐き6回も懲罰動議にかけられているが、とくに酷かったのが2016年に起こった民主党(当時)代表だった蓮舫氏の「二重国籍」問題での執拗な攻撃。「差別だ」と批判されると、足立氏は〈外国の主張を繰り返す元外国籍の国会議員の発言について「外国の代弁者のよう(な発言)だ」と言うのが、なぜ民族差別になるのか。一国の総理をヒトラーとなじるより、民進代表〔蓮舫氏〕を中共の代弁者と批判する方が、よほど人道的では?〉などとツイートし、さらに2019年には国会(衆院総務委員会)で「国会議員に立候補している候補者が、日本にいつ帰化したのか、知りたいと思っている国民は僕の周りには多い」と発言した。

 また、このほかにも足立氏は、2018年に〈社会保障は、日本人を対象に支援が必要な方を徹底して支援する〉と投稿したり、昨年には「在日外国人にもマスク、現金給付も示唆 菅官房長官会見詳報」という毎日新聞の記事を引用した上で〈生活保護と同じ問題。執行状況の情報開示が必須〉とツイート。在日外国人の排斥を剥き出しにしてきた。

 さらに、東京1区で落選するも比例復活した小野泰輔氏も、ヘイトスピーチを拡散させたことを問題視されたことがある。小野氏は2012年6月から2020年6月まで熊本県副知事という公職にあったが、昨年、東京都知事選に出馬した際には、百田尚樹氏や高須克弥氏、野口健氏、竹田恒泰氏といったネトウヨ論客のツイートを繰り返しリツイートしていたこと、さらに、そのなかに韓国人に対するヘイトスピーチに該当すると思われるツイートもあったことが問題になった。

 しかし、こうした差別ツイート問題について、都知事選の候補者討論会でジャーナリストの津田大介氏から指摘を受けると、小野氏は「私には在日や韓国の友だちもたくさんいる」などと釈明。これは「I have black friends」と呼ばれる差別主義者が自分を正当化するためによく持ち出す典型的な論法であり、現に「在日や韓国の友だち」を持ち出したところを見ると、何を問題視されているかある程度認識していた証拠だ。その上で、差別そのものを否定するのではなく論点ずらしで応じたことは、過去のツイートそのもの以上に、小野氏の差別に対する認識が甘いことを露呈させたと言っていい。

 また、東海ブロックで比例復活した愛知維新の会代表の杉本和巳氏は、さっそく明日発売の「週刊文春」が、マントラを唱えることで力強い癒しを得るという「オームチャンティング」を議員会館で開催していた「議員会館の不正使用」疑惑を報道。しかし、杉本氏の問題行動といえば、2019年に「あいちトリエンナーレ2019」における企画展「表現の不自由展・その後」に対し、「公的な施設が公的支援に支えられて行う催事として極めて不適切」として展示の即時中止を求める要望書を実行委員会事務局に提出したことだろう。

 この主張自体が政治による不当な介入にほかならず、大前提には歴史修正主義があり、看過できるものではないが、さらに問題なのは、こうした動きが不正がおこなわれたリコール運動につながったことだ。実際、同じ維新の常滑市議会議員・山田豪氏は「お辞め下さい大村秀章愛知県知事 愛知100万人リコールの会」の副事務局長を務め、その後、署名偽造に関与していたことを認めて議員辞職し、書類送検。同じく維新で今回の衆院選に愛知5区から出馬予定だった田中孝博事務局長は逮捕・起訴されている。

 維新がこのリコール運動に深く関与していたことは周知のとおりであり、その中心となった愛知の維新代表である杉本氏も当然、リコール不正署名問題への関与が疑われてきた。しかし杉本氏は、NHKの取材に対し「田中氏は、ことし2月に離党しているし、愛知維新の会は、署名が始まる前の段階でリコール活動に組織として関わらないことを役員会で決めたので、維新とは関係のない個人の問題だ」などと発言。田中氏が離党したのは疑惑発覚後であり、さらには維新の関係者が複数リコール不正にかかわっていることが判明しているにもかかわらず、無責任にも「個人の問題」などと言って説明責任から逃げたのだ。


夫婦別姓反対論者の女性候補も当選、馬場幹事長は「命の選別」の本音むき出し

 女性の当選者にも問題議員はいる。近畿ブロックで比例復活した三木圭恵氏は、自身のHPで“愛国心や道徳心の育成”“日教組によりズタズタにされた学校教育の再生に向け教育改革を推進”“夫婦別姓は家族の崩壊に油を注ぐ”という文言を掲げてきた人物なのだが、さらに維新の女性局長としての挨拶文では〈「女性が生き生きと社会で働き、素晴らしい能力を発揮し、子育てにも介護にも、積極的に笑顔で取り組める」ことを目標〉と、子育てのみならず介護まで女の仕事だと決めつけていた。三木氏の主張は伝統的家族観を重視し、女性の権利を貶めようとする自民党の高市早苗政調会長とほとんど変わらず、国会でも“維新の高市”と化すことは間違いないだろう。

 このように、歴史修正主義に基づく差別的言動や表現への不当な攻撃を繰り出してきた足立氏、杉本氏らの問題議員に加え、新人でも差別発言予備軍を国会議員にしてしまう維新。だが、それも当然だろう。党の幹事長であり、大阪17区で当選した馬場伸幸氏自身が差別を丸出しにしてきたからだ。

 昨年、京都でALS患者の女性が元厚労省医系技官ら2名の医師によって殺害された事件が発覚した際は、松井代表が〈維新の会国会議員のみなさんへ、非常に難しい問題ですが、尊厳死について真正面から受け止め国会で議論しましょう〉などと呼びかけ、そこに足立氏や音喜多駿・参院議員らが同調。だが、もっと酷かったのが馬場幹事長で、馬場幹事長は自身もALS患者であるれいわ新選組の舩後靖彦・参院議員がこの事件を受け〈「死ぬ権利」よりも、「生きる権利」を守る社会にしていくことが、何よりも大切です〉といった声明を出したことに触れ、「議論の旗振り役になるべき方が議論を封じるようなコメントを出している。非常に残念だ」などと非難。「尊厳死」の名を借りて「命の選別をしたいという欲望を丸出しにした挙げ句、当然の権利を訴えた舩後議員に「議論を封じるな」とまで言い出したのだ。

 さらに、維新は前述の蓮舫氏に対して「二重国籍」問題を攻撃してきたが、今回の選挙公約においても〈二重国籍の可能性のある者が国会議員となっていた事例に鑑み、外国籍を有する者は被選挙権を有しないことを定めるとともに、国政選挙に立候補する者は自らの国籍の得喪履歴の公表を義務づけます〉などというグロテスクな純血主義・人種差別を全開にした公約を盛り込んだ。この問題について、投開票日にTBSラジオで放送された『総選挙スペシャル2021』では、フォトジャーナリストの安田菜津紀氏が「これ自体が偏見や差別を助長する政策ではないのか」と馬場幹事長を追及。しかし、馬場幹事長は「公人ですからきちっとした経歴を明らかにするのは当たり前」「“人歴”をオープンにするのは当たり前」などと開き直った上、評論家・荻上チキ氏から「たとえば被差別出身であることを書け、とは言わないと思うんですけど、国籍についてはどうして求めることが妥当なんでしょうか?」という質問に対し、「地域の出身の方は同じ日本人ですからそういうことを公表する必要はまったくないと思いますけれども、どこの国籍を持っていたかとかいうことは(中略)オープンにしていただく必要がある」と回答。荻上氏が「帰化された方などにかんしては同じ日本人というカテゴリーとはまた別という理解ですか?」と問うと、馬場幹事長は「そうですねと言い切ったのである。

 馬場幹事長の問題はさらにある。それは「金の問題」だ。

 馬場幹事長は自民党堺市議時代の2009〜2010年に、自身が代表を務めていた党支部を介して415万円を自らの後援会に還流。これにより税金の還付を受けていたとみられている。また、同じく市議時代の2007年には、大阪府警から「暴力団員と社会的に非難される関係を有している業者」とされた警備会社から12万円の献金を受けていたこともわかっている。


金の疑惑も続々…松井代表が志位委員長にやり込められる原因をつくった“文通費疑惑議員”も当選

 しかも、今回当選した維新議員には、過去にこうした政治と金の問題を引き起こした人物がほかにもいる。

 たとえば、前述の大阪1区で当選した井上氏も、馬場幹事長と同様、自民党大阪市議時代の2009年に代表を務めていた政党支部を介して100万円を自身の政治資金管理団体に還流していたことが判明しており、迂回させることで税控除を受けていたとみられる。

 また、大阪11区で当選した中司宏氏は、枚方市長時代の2005年に枚方市が発注した清掃工場建設工事の入札で特定の企業が工事を落札できるようにしたとして、2007年に大阪地検が競売入札妨害罪で逮捕・起訴。2009年に大阪地裁は懲役1年6か月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡し、2013年に最高裁で上告が棄却され有罪が確定した。

 さらに象徴的なのが、前述の比例復活組である杉本和巳氏をめぐる金の問題だ。

 2019年の参院選の日本記者クラブ主催・党首討論会では、松井代表は領収書なしで毎月100万円が支給される国会議員の「文書通信交通滞在費」の見直しを自分が訴えたことを誇らしげに語り、共産党の志位和夫委員長に「志位さんは『(領収書の公開を)やる』とはっきりと言った。2年が経過しているが知らぬ存ぜぬで実行されていない。志位さんの公約はそういう軽いものなのか」などと絡む一幕があった。だが、その場で志位委員長は「あの共産党ウオッチャーの松井さんがご存知ないとは驚きましたが、私たちはホームページで文通費の使途をすでに公開していると反論。さらには維新の杉本議員の使途報告書では、100万円の文通費の全額を杉本氏が支部長を務める政党支部に入れ、領収書の発行も受け取りも杉本氏自身であることを突き付け、ものの見事に返り討ちにあった松井代表が「ぐぬぬ」と言わんばかりの表情を浮かべる様子は、Twitter上でも大きな話題を集めた

 この杉本氏をめぐる一件がよく表しているが、松井代表をはじめとして維新は「身を切る改革」「自分たちに厳しい政治をやってきた」などと言うが、これはとんだ嘘っぱち。そして、自分たちが言い出した文通費の領収書さえ不適切な処理をおこなう議員を平気で擁立し、今回、当選させたのである。

 差別・暴言を繰り出す議員を野放しにし、「政治と金」問題にもユルいそれこそがまさに維新の実態であり、そんな政党が大躍進を果たしてしまったという事実。しかも、今後もっとも重要な問題となってくるのは、維新が憲法改正の与党補完勢力になることだ。

 実際、今回当選した維新の議員にも「日本会議国会議員懇談会」に所属する者が多数含まれ、さらにこれまでも維新は、改憲の議論をめぐっては自民党の完全なアシスト部隊となってきた。そのひとりが今回、大阪18区で当選した遠藤敬氏で、たとえば初の緊急事態宣言の発出に先立って昨年4月7日におこなわれた衆院議院運営委員会では、当時の安倍晋三首相に対し、遠藤氏は「憲法改正による緊急事態条項の創設が不可欠だ」などと煽り立てると、安倍首相は「日本維新の会が憲法改正について具体的な案を示し、真摯に議論しておられますことに対しましては、まずは敬意を表したい」と呼応。「国会の憲法審査会の場で与野党の枠を超えた活発な議論が展開されることを期待したい」と答弁した。

 そして、今回の衆院選では、自民・公明は前回よりも議席を減らしたものの、維新の大幅議席増により、国会による改憲案の発議に必要な衆院での議席(310議席)を自公維の改憲勢力で維持、さらに積み増した。とくに躍進した維新の役割はさらに大きくなり、今後は国会で維新による自民党への露骨なゴマすり茶番劇が繰り返されるだけではなく、維新自身の存在感アピールのために、これまで以上に踏み込んだ改憲発言、自民のアシストが展開されることになる。事実、松井代表は2日におこなわれた会見で、さっそく来年夏の参院選の投票と同じ日に憲法改正の国民投票を実施すべきだと主張した。

 現在、参議院では、自公維の議席数はかろうじて改憲案の発議に必要な数を満たしていない。来年夏の参院選と同時に国民投票を実施するなどという暴論を阻止するのは当然のこと、その参院選では不祥事・問題議員のデパートであると同時に改憲勢力である維新の躍進を、必ず止めなければならない。

(編集部)
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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/296904

維新「第3党」躍進のお寒い実情…次点にもなれず比例復活の“ゾンビ議員”がウヨウヨ
公開日:2021/11/03 06:00 更新日:2021/11/04 14:24

     (第3党に躍り出て、比例制度サマサマ(会見を行う
      「日本維新の会」の松井一郎代表)/(C)日刊ゲンダイ)

 今回の衆院選で驚いたのは日本維新の会の躍進だ。新型コロナウイルス対策で名を広めた大阪府知事の吉村副代表を「選挙の顔」に据え、候補を立てた府内15選挙区は全勝。公示前11議席から4倍近い41議席まで増やし、第3党に躍り出たが、その実情は選挙制度の“欠陥”に救われたようなものだ。

 イケイケムードとは裏腹に、大阪以外の小選挙区を制したのは1つだけ。それも大阪のベッドタウン、宝塚市や伊丹市を含む兵庫6区である。自民を上回るトップの10議席を獲得した比例近畿ブロックの約318万票の内訳も、得票率42.5%と他党を圧倒した大阪の171万5862票が半数以上を占める。

 維新旋風は、なにわのパワー全開があればこそ。その支えによって京都1区、兵庫1区、奈良1区で次点にもなれず、3位に甘んじた小選挙区候補3人が比例復活。さらに「惜敗率」50%台で2人が当選した。全国を見渡せば、そんな“ゾンビ議員”がウヨウヨいる。

 

 近畿ブロック以外で比例復活した維新候補は15人。うち13人が惜敗率7割未満で、選挙区で次点になれなかった候補は9人に上る。中でも四国ブロックで当選した吉田知代(徳島1区)の惜敗率20.1%は歴史に残る“珍記録”。歴代でも3番目に低い惜敗率での当選者となった。


■立憲には惜敗率91.8%でも復活できなかった候補が

     (
選挙区で次点にもなれなかった候補が続々の復活
      (C)日刊ゲンダイ)

 立憲の「顔」がイマイチで反自民の受け皿になれず、比例票が維新に流れたせいで、選挙区で有権者に否定されたゾンビ議員が大量発生とはやりきれない。

 例えば沖縄3区で自民の島尻安伊子・元沖縄北方相と激戦を演じた立憲の屋良朝博の惜敗率は91.8%。それでも比例復活は果たせなかった。それが重複立候補制度の定めとはいえ、「民意を反映しているのかと言いたくもなる

「維新も大阪の候補は吟味して選んでいるようですが、他のエリアは『出たければどうぞのノリとしか思えない。さすがに落選しましたが、今度の選挙でも元秘書への暴行を機に自民を離党した石崎徹氏を新潟1区で公認したように誰でもオッケー。維新議員の不祥事が相次ぐのも、さもありなんです」(政界関係者)

 今回当選した41人のうち、また何人かはやらかすのだろうか。
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●リテラ《弱肉強食の新自由主義政策と安倍政権下でエスカレートする差別主義が合体した結果、起きた…「安楽死」の名を借りた殺人事件》

2020年08月26日 00時00分27秒 | Weblog

斎藤貴男著『決定版 消費税のカラクリ』(ちくま文庫) 筑摩書房↑]



リテラの記事【「安楽死」の名を借りてALS患者を殺害した元厚労省医系技官らのグロテスクな優生思想! 麻生財務相や古市憲寿も同類】(https://lite-ra.com/2020/07/post-5538.html)。
東京新聞の社説【ALS嘱託殺人 安楽死の事件ではない】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/45271?rct=editorial)。
リテラの記事【ALS患者殺害の容疑者を石原慎太郎が差別丸出しで擁護! 松井市長ら維新も優生思想を批判せず“医療費削減の安楽死”推進に利用】(https://lite-ra.com/2020/07/post-5546.html)。
週刊朝日のコラム【室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」/「業病ALS」に武士の美徳…石原慎太郎氏のセンスに呆れる】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/276667)。

 《全身の筋肉が徐々に動かなくなっていく神経難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症した京都市の女性に薬物を投与して殺害したとして、2人の医師、大久保愉一容疑者と山本直樹容疑者が京都府警に逮捕された。大久保容疑者は厚労省で医系技官を約7年半務めており、妻は2012年の総選挙で自民党から出馬し当選(比例復活)、衆院議員を1期務めた元“安倍チルドレン”議員だった。一体こんなエリート医師がなぜ?……。いや、問題はそれ以前だろう》。
 《筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者の依頼で薬物を投与して殺害したとして嘱託殺人容疑で医師二人が逮捕された。過去の事例と比べ特異な要素が多く、安楽死議論との直結には無理がある》。
 《メディアではこの事件を当初「安楽死」などと報じているが、「安楽死」や「尊厳死」と呼べるようなものではなく、容疑者たちのグロテスクな優生思想に基づいた命の選別にほかならない。いまの日本社会にはこうした容疑者たちとそっくりな主張をしている連中がほかにも多数いる。ネトウヨだけでなく、政治家や学者、メディア関係者までが平気で…そう危惧していたら、案の定、石原慎太郎が27日、ツイッターで容疑者たちをこう擁護した》。
 《この人、東北大震災の時も『天罰』っていってた。浅はかで愚かしいのは石原氏だろ。こんな人が長々と政治家でいられる国ってどういうの? 石原氏のこのTweetに『いいね』を押す人が、2万3千人(7月28日現在)もいるってさぁ~》。

 何を書けばいいのか…。新自由主義イデオロギーと自己責任論。相模原事件からさへも、何も変わらないニッポン社会。2016年のリテラの記事【障がい者抹殺思想は相模原事件の容疑者だけじゃない! 石原慎太郎も「安楽死」発言、ネットでは「障がい者不要論」が跋扈】(http://lite-ra.com/2016/07/post-2449.html)、《容疑者の“弱者を排除すべし”という主張は現在の日本社会において決して特殊なものではない。…教育行政にかかわる人物が公然と「金のかかる障がい児は産むべきではない」という見解を開陳するなどおぞましいが、それを容認してしまう空気がいまの日本社会にはある石原慎太郎は、都知事に就任したばかりの1999年9月に障がい者施設を訪れ、こんな発言をした。…絶望的な気持ちにさせられる事態》。…こういった「世界観」や「個人・民族間の平等,民主主義,議会主義,人道主義,国際平和否認」する深層心理はアベ様ら多くの自公議員や癒着党の議員に共通するもの。《「安楽死」や「尊厳死」と呼べるようなものではなく、容疑者たちのグロテスクな優生思想に基づいた命の選別にほかならない。いまの日本社会にはこうした容疑者たちとそっくりな主張をしている連中がほかにも多数いる》。
 そしてまたしても石原慎太郎元「ト」知事の暴言ツイート《業病》。一方、舩後靖彦参院議員議員の貴重なメッセージ。

   『●「容疑者の“弱者を排除すべし”という主張は現在の
         日本社会において決して特殊なものではない」
   『●阿部岳さん《私にも誰にも、きっと大小の刃が潜んでいる。植松被告
           という鏡に映っているのは今の日本社会の姿ではないか》
   『●死刑で何か解決しますか? なぜ〝素人〟裁判官に「死刑のスイッチ」を
             押させる必要が? 「鏡」に映る姿を見なくていいの?

 【斎藤貴男/この政権の企みは消費税のさらなる大増税か安楽死の推進か】?
 沖縄タイムスのコラム【[大弦小弦]筋肉が徐々に衰え、歩くことや呼吸ができなくなる筋萎縮性側索硬化症(ALS)…】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/607275)によると、《2016年の米映画「ギフト 僕がきみに残せるもの」は発症した元アメフト選手のスティーブ・グリーソンさんと家族をありのままに映す▼病を公表し「白旗は揚げない」と決意》。

   『●痴れ者(しれもの)=「常軌を逸した愚か者」な
     ウルトラ差別主義者は未だに副総理・財務相…誰が支持?
   『●悍ましき《大増税か安楽死の推進か…「尊厳死」の議論の本質が、
            社会保障費の削減に他ならない》(斎藤貴男さん)

 「鏡」に映る姿に変化なし…。
 東京新聞の記事【「19人の命忘れない」障害者権利条約の理念を伝える絵本の英訳版を発行 やまゆり園事件4年】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/45297)によると、《障害者への差別禁止や社会参加を保障する「障害者権利条約」をテーマにした絵本の英訳版が、26日に全世界に向け発刊された。この日は2016年に相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害された日。絵本の作者は「新型コロナウイルス感染拡大の影響で、事件を考える企画が思うように進められない中、『忘れない』との気持ちを込めた」と話す。 (出口有紀)》。
 琉球新報【<社説>相模原殺傷4年 共生社会へ課題克服を】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1164320.html)によると、《事件を通して命の価値を線引きする発想が社会に衝撃を与えた。障がいの有無によって分け隔てられることのない共生社会(インクルーシブ)の実現に向け私たち一人一人に重い課題を突き付けた。課題を克服するために、事件を過去のものとせず差別の芽を摘む不断の努力が求められる》。
 西日本新聞の社説【ALS嘱託殺人 生きる権利の議論が先だ】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/630750/)によると、/《16年7月に起きた相模原障害者施設殺傷事件で死刑が確定した被告は公判で「意思疎通できない方を安楽死させるべきだ」と主張した。安易に安楽死を容認することは、難病患者や重度身体障害者を排除する優生思想にもつながりかねない。一方で、終わりが見えない心身の苦痛を抱えて生きる人々は「自分は家族や社会の負担になっている」と考えてしまい、その追い詰められた気持ちが安楽死に向かう懸念は拭えない。まずはこうした人々の「生きる権利」を十分に支える医療・介護の拡充を議論すべきだ》。

 斎藤貴男さん《現実の動きも急だ。患者の“意向”だとして透析を中止し、死に至らしめて騒がれた公立福生病院(東京都)の院長…》。《尊厳死の議論の本質が、社会保障費の削減に他ならない》。《その真意下々の病人など皆殺しにしてしまえば、権力と巨大資本に守られた層だけは財政の不安に苛まれることもなく、存分に長寿を堪能できるという筋書き》。悍ましくて吐き気がする。
 マガジン9のコラム【雨宮処凛がゆく! 第528回:福生病院人工透析中止死亡事件の裁判、始まる。の巻】(https://maga9.jp/200729-1/)によると、《この言葉は、2018年8月、当時44歳の妻を亡くした男性のものである(公立福生病院透析中止死亡事件 第1回民事裁判報告の集い 資料集「原告メッセージ」より)。妻が亡くなったのは、公立福生病院。腎臓病だった妻は、その5年前ほどから人工透析をしていた。が、亡くなる一週間前の8月9日、シャント(針を入れる分路)が閉塞して透析できなくなったため、ふだん透析をしていた診療所に紹介されたのが福生病院だった》。

   『●〝腰ぬけ〟で結構、害悪老人よりは!!

 〝腰ぬけ〟小皇帝…何の進歩も無し。
 サイゾーの記事【「ALSは業病」で大炎上の石原慎太郎!「IQが低い」「ババア」「更年期」ほか、過去の暴言リスト】(https://www.cyzo.com/2020/07/post_248448_entry.html)によると、《「それ、本気で言ってるの?」──そう言いたくなるような発言が、東京の元・首長によって発せられ、物議を醸している。先週、多くの人に重い問いを投げかけたのが、難病のALSを…》。

 お維ときたら…。
 リテラの記事【“優生思想”政党・維新の馬場幹事長がれいわ舩後議員の「生きる権利」発言を「旗振り役が議論封じ」と否定! 松井市長もトンデモ論理を】(https://lite-ra.com/2020/07/post-5551.html)によると、《日本維新の会が、そのグロテスクな優生思想を全開にしている。先日、京都でALS患者の女性が元厚労省医系技官ら2名の医師によって殺害された事件。容疑者2名が優生思想の持ち主だったこともわかっており、当初「安楽死」などとも報じられていたが、この事件は、容疑者の優生思想に基づいた「命の選別」そのものだ。ところが、維新はこのような事件に乗じて「尊厳死の議論をしよう」などと前のめりになっているのだ》。

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https://lite-ra.com/2020/07/post-5538.html

「安楽死」の名を借りてALS患者を殺害した元厚労省医系技官らのグロテスクな優生思想! 麻生財務相や古市憲寿も同類
2020.07.24 07:33

     (大久保愉一容疑者(自身のブログより))

 全身の筋肉が徐々に動かなくなっていく神経難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症した京都市の女性に薬物を投与して殺害したとして、2人の医師、大久保愉一容疑者と山本直樹容疑者が京都府警に逮捕された。

 大久保容疑者は厚労省で医系技官を約7年半務めており、妻は2012年の総選挙で自民党から出馬し当選(比例復活)、衆院議員を1期務めた元“安倍チルドレン”議員だった。一体こんなエリート医師がなぜ?……。いや、問題はそれ以前だろう。

 メディアではこの事件を「安楽死」と報じているが、そもそもこれは「安楽死」と呼べるようなものなのか。彼らは殺害したALSの女性とSNSで知り合った関係で、担当医師でもなんでもなかった。被害者本人の明確な意思表示に基づき他にとれる手段がなく安楽死に協力したのではなく、むしろ自分たちの殺人欲求が先にあり、安楽死をのぞむ人間を積極的に探していた可能性も考えられる

 しかも、2人は高齢者や障害者は死んだほうがいいと主張する典型的な優生思想の持ち主だった。

 それがよくわかるのが、2人が『扱いに困った高齢者を「枯らす」技術:誰も教えなかった、病院での枯らし方』なるとんでもないタイトルの電子書籍を共著で出版していたことだ。Amazonには同書のこんな紹介文が掲載されていた。

〈認知症で家族を長年泣かせてきた老人、ギャンブルで借金を重ねて妻や子供を不幸に陥れた老人。そんな「今すぐ死んでほしい」といわれる老人を、証拠を残さず、共犯者もいらず、スコップや大掛かりな設備もなしに消せる方法がある。医療に紛れて人を死なせることだ。病室に普通にあるものを使えば、急変とか病気の自然経過に見せかけて患者を死なせることができてしまう。違和感のない病死を演出できれば警察の出る幕はないし、臨場した検視官ですら犯罪かどうかを見抜けないこともある。荼毘に付されれば完全犯罪だ。〉

 さらに、大久保容疑者のものとされる厚労省の英語の略称である「mhlw」をもじったアカウント名のツイッターにも、グロテスクな思想が露骨に表れていた。

 大久保容疑者のツイッターをめぐっては、「ドクター・キリコになりたい」と投稿していたことが話題になっているが、他のツイートを読むと、大久保容疑者が安楽死にこだわる理由が、患者を苦しみから解放するという目的ではないことがよくわかる。


ツイッターで老人を「ゾンビ」と表現し、財政のために切り捨てを主張していた大久保容疑者

〈つぶれそうな会社に税金突っ込んで延命を図ってもなんにもなってないわけでしょ。もう市場から消えたらいい会社もゴロゴロある。おんなじで、老人に公費つっこんでゾンビにして、事業者におもねて、吸血鬼よろしく国民から吸い取ってますます国を貧しくしてな〉(2019年12月22日)

〈議員定数を若干減らすよりも、尊厳死法とか安楽死法を通した方が財政は持ち直すと思うけど。〉(2016年2月21日)

〈医療って贅沢品だと思うんですよね。なんでも「国の責任ガー」って云ってたら国も落ち目で財政赤字でハイパーインフレ待ったなしなので、支払い能力に応じたサービスでしかたないのかなと。〉(2019年5月3日)

〈第XX回24時間テレビ「愛は財政を救う」 ①国に頼らない老々介護、②決して入所者を病院に連れて行かない特養、③高い抗がん剤を使う治療を拒否した90歳をジャニーズで再現ドラマ、④ヘイトスピーチと村八分で生活保護者ゼロを実現した村、⑤救急車有料化で保険料爆安の町ほか〉(2014年3月1日)

〈アベノミクスで、食えない老人への食事介助やら経腸栄養、高カロリー輸液などへの公費支出を止めてくれんかな。老人介護や医療費が減って消費税上げなくて済むかもよ。「最後は金目」なんで石原大臣よろしく。〉(2016年1月30日)

〈高度医療に当たる人よりも、適当なタイミングで死なせる医者が求められてるんだよ。自治体なんて後期高齢だの介護や障害福祉でまじカネないからね。〉(2019年9月26日)

〈納税者的には、老人に掛け金以上の年金をくれてやるのも費用対効果的にムダでしょうし、排泄物と汚れたリネンしか生産しない生き物は簿価1円でしょうし、まあ人権で味付けすればプライスレスなんで〉(2020年6月3日)

〈コロナで介護が滅んで老人の死屍累々になっても、別に驚かない。若い人の負担が減ればよいではないか〉(2020年4月2日)

〈老人が自粛せずに徘徊してて、てめえらが延命するために社会で犠牲をかぶってんだクソが。〉(2020年4月25日)

 ようするに、大久保容疑者は、高齢者や障害者、生活困窮者にかかる医療や福祉の費用は社会資源の無駄であり、日本国の財政を逼迫させるだけ、早く殺してしまったほうがいいと主張しているのだ。

 つまり、大久保容疑者らによるALSの女性殺害は、安楽死への協力などではなく、命を選別し、高齢者や障害者、病人は殺しても構わないという優生思想にもとづいたものであり、そのグロテスクさは相模原障害者殺傷事件の植松聖死刑囚と同レベルといっていいだろう。


大久保容疑者の優生思想は、麻生財務相、古市憲寿、長谷川豊らにも共通

 しかも、恐ろしいのは、いまの日本社会にはその犯罪者たちとそっくりな主張をしている連中がほかにも多数いることだ。ネトウヨだけでなく、政治家や学者、メディア関係者までが平気で「老人は安楽死させたほうがいい」「障害者を生かしておくのは無駄だ」「税金を使っているのを申し訳なく思え」などといった暴論を叫んでいる

 2013年には麻生太郎財務相が政府の社会保障制度改革国民会議で、余命わずかな高齢者の終末期の医療費について「死にたいと思っても生きられる。政府の金で(高額医療を)やっていると思うと寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにしてもらうなど、いろいろと考えないと解決しない」などと発言した。

 2016年には、元フジテレビアナウンサーの長谷川豊が〈「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ! 無理だと泣くならそのまま殺せ!今のシステムは日本を亡ぼすだけだ!!」〉と透析患者の殺害まで持ち出した

 

 2019年には、人気若手論客の古市憲寿落合陽一が文芸誌の対談で、高齢者の終末期医療は金の無駄、社会保障費削減のために即刻やめるべきだと主張し、猛烈な批判を浴びた。ちなみに、古市はこの終末期治療打ち切り論について〈財務省の友だちと、社会保障費について細かく検討した〉ときに教えられたと語っており、実際、財務省は過去にそのもととなるような「一年間にかかる終末期医療費=約9000億円」なる資料を公表したこともある。

 そういう意味では、今回の事件を起こした大久保容疑者が厚労省の医系技官だったというのも偶然ではない。実際に犯行に及ぶかどうかは別にして、「高齢者や障害者なんて殺してしまえ」というのは、この国の官僚と安倍政権の政治家たちの本音でもあるのだ。

 相模原事件が起きたとき、本サイトは事件が2000年代から始まった、弱肉強食の新自由主義政策と安倍政権下でエスカレートする差別主義が合体した結果、起きたと評した。この厚労省元医系技官らによる「安楽死」の名を借りた殺人事件も、まさに同根と考えるべきだろう。

(編集部)
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/45271?rct=editorial

社説
ALS嘱託殺人 安楽死の事件ではない
2020年7月28日 08時16分

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者の依頼で薬物を投与して殺害したとして嘱託殺人容疑で医師二人が逮捕された。過去の事例と比べ特異な要素が多く、安楽死議論との直結には無理がある。

 京都府警によると、ツイッターで殺害を依頼された医師二人は昨年十一月、自宅を訪ねて女性と初めて会い、薬物を投与し殺害に及んだという。主治医でもなく女性の診察経験もゼロ。「医師と患者」の関係はなかったことになる。

 女性からは、医師の口座に現金百三十万円が振り込まれていたとされる。事実ならこれは「殺人の報酬」ではないか。

 一九九五年、横浜地裁は医師による安楽死が許される要件として(1)耐え難い肉体的苦痛がある(2)死期が迫っている(3)苦痛緩和の方法を尽くし、他に手段がない(4)本人の意思表示がある−を示したが、今回のケースはこれらの要件を満たしているとは考えにくい。

 特異な点は他にも。医師のものとみられる「高齢者を『枯らす』技術」と題したブログや電子書籍の紹介欄には「一服盛るなり、注射一発してあげて、楽になってもらったらいいと思っています」「『今すぐ死んでほしい』といわれる老人を大掛かりな設備もなしに消せる方法がある」などと記されていた。容疑者の一人には医師免許不正取得の疑いもあるという。

 モラル以前の問題だろう。難病で苦しむ人や高齢者らを「生き続ける価値がない」と軽視する傾向さえうかがわれ、相模原市の知的障害者施設で入所者十九人が殺害された事件も想起させる。

 安楽死には大きく二種類ある。一つは、薬物投与で死期を早める「積極的安楽死」。日本では認められていない。過去には医師が殺人罪に問われ、有罪判決が確定した例がある。オランダなどでは容認されているが、同国では「法定のかかりつけ医が判断する」など厳しい条件がある。

 もう一つは、延命治療を中止する「消極的安楽死」。富山県などでは、人工呼吸器を外した医師が殺人容疑で書類送検されたが不起訴になっている。一方、ALS患者の長男の人工呼吸器を止めて死なせた母親に嘱託殺人罪での有罪判決が確定した例もある。

 今回、ALS患者の舩後(ふなご)靖彦参院議員は「『死ぬ権利』よりも『生きる権利』を守る社会に」と訴えた。事件を安楽死の議論に結び付けるよりは、難病の人や高齢者が生きやすくする社会をどう構築するかを考える手掛かりとしたい。
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https://lite-ra.com/2020/07/post-5546.html

ALS 患者殺害の容疑者を石原慎太郎が差別丸出しで擁護! 松井市長ら維新も優生思想を批判せず“医療費削減の安楽死”推進に利用
2020.07.28 08:35

     (松井一郎(大阪市長)Twitterより)

 元厚労省医系技官である大久保愉一容疑者と山本直樹容疑者の2名の医師が、ALS患者の女性に薬物を投与し殺害した事件。容疑者らは殺害した女性とSNSを通じて知り合っただけで担当医でもなく、さらにツイッターや電子書籍で「高齢者や障害者は死んだほうがいい」という主張を繰り返す典型的な優生思想の持ち主だった(詳しくは既報参照→https://lite-ra.com/2020/07/post-5538.html)。

 メディアではこの事件を当初「安楽死」などと報じているが、「安楽死」や「尊厳死」と呼べるようなものではなく、容疑者たちのグロテスクな優生思想に基づいた命の選別にほかならない

 いまの日本社会にはこうした容疑者たちとそっくりな主張をしている連中がほかにも多数いる。ネトウヨだけでなく、政治家や学者、メディア関係者までが平気で「老人は安楽死させたほうがいい」「障害者を生かしておくのは無駄だ」「税金を使っているのを申し訳なく思え」などといった暴論を叫んでいる──。

 そう危惧していたら、案の定、石原慎太郎が27日、ツイッターで容疑者たちをこう擁護した。

〈業病のALSに侵され自殺のための身動きも出来ぬ女性が尊厳死を願って相談した二人の医師が薬を与え手助けした事で「殺害」容疑で起訴された。武士道の切腹の際の苦しみを救うための介錯の美徳も知らぬ検察の愚かしさに腹が立つ。裁判の折り私は是非とも医師たちの弁護人として法廷に立ちたい。〉

 石原慎太郎といえば、都知事に就任したばかりの1999年9月に障害者施設を訪れ、「ああいう人ってのは人格があるのかね」「ああいう問題って安楽死なんかにつながるんじゃないかという気がする」と発言したり、相模原障害者殺傷事件についも「この間の、障害者を十九人殺した相模原の事件。あれは僕、ある意味で分かるんですよ」と理解を示すなど(詳しくは既報参照→ https://lite-ra.com/2016/09/post-2583.html)、これまで日本社会に広がる“障害者排斥論”をさんざん煽ってきた

 今回も、ALSを前世の悪行の報いでかかる病気という意味で、ハンセン病差別などにも使われてきた「業病」と表現し、殺人を「介錯の美徳」などと持ち上げるなど差別性を全開したわけだ。

 しかし、今回の事件では、石原のような差別主義者の暴論よりもっと深刻な状況が起きている。それは、現役の政治家たちが今回の事件に乗じて、「尊厳死の議論をしよう」などと言い出していることだ

 ほかでもない、「維新」の連中である。はじまりは、日本維新の会代表である松井一郎・大阪市長が、24日正午すぎ、「ALS患者を安楽死か 医師逮捕」というこの事件の一報をリツイートしたうえで、こうツイートしたことだった。

〈維新の会国会議員のみなさんへ、非常に難しい問題ですが、尊厳死について真正面から受け止め国会で議論しましょう。〉(7月23日 午後0時50分)

 この時点では容疑者が優生思想の持ち主であることがわかっていなかったとはいえ、すでに「主治医ではなくSNSで知り合った」ことは報じられており、多くの人が疑問を抱いていた。詳細もわかってないのに、こんな事件に乗じて前のめりで「議論しましょう」というのはあまりに軽率だろう


■容疑者が優生思想ゆえの犯行だったことを知っても松井市長や維新議員は開き直り

 いや、松井市長にとっては、この容疑者たちが優生思想をもっていることを知っていても、同じだったのかもしれない。

 実際、容疑者の優生思想が発覚した後、批判を受けても、松井市長はツイートを訂正も撤回もしていない。それどころか、共産党の山本のりこ・大阪市議が〈今回の事件で殺害を犯した医師は優生思想を主張する人物で、そこに人間の命に対しての尊厳はありません。この事件を受けて尊厳死の議論を喚起するというのは優生思想、安楽死、尊厳死などの区別もついておらず、非常に危険であり首長の発言として問題だと思います〉と批判したことに対し、こう開き直ったのだ。

〈結局、共産党は難しい問題からは逃げる政党です。現実に難病患者の方が他人の手で命を絶ったのです。この様な悲惨な事案はこれまでもありましたが、国会でまともな議論がなされていません。政治家が難題課題を議論する当然の事です。〉

 維新のほかの国会議員たちも、同じような言動をしている。れいわ新選組の舩後靖彦参院議員がコロナ感染防止のため国会を欠席したことに対して歳費返納を要求したことで、障害者差別思想を露呈した音喜多駿参院議員がすぐに〈まさに避けて通れない問題です。まず議論を重ね、方向性と提言を出したいと存じます〉と松井市長に賛同。ネトウヨ・足立康史衆院議員は、松井市長の発言を批判した津田大介氏に対して、こうかみついた。

〈実際、今回の事件を契機に生きる権利/死ぬ権利、安楽死/尊厳死についての議論が活発になっています。私は良いことだと思いますよ。にもかかわらず津田さんは「今回の事件を機に」議論を深めようとする政治の取り組みを不適切不適格と断じる。津田さんのレッドラインを教えていただけると有難いです。〉

 いずれにしても、彼らの発言をみていると、今回の事件をとにかく安楽死正当化に利用したい気持ちだけがダダ漏れで、事件を生み出した優生思想そのものをまったく批判していない。

 あらためて説明しておくが、今回の事件は、ALS患者の生に寄り添い真剣に考えた上で止むに止まれず本人の意思を尊重したようなものではなく、優生思想の持ち主が「安楽死」の名を借りて殺人を犯しただけの可能性が高い

 「安楽死」「自己決定」の名のもとに、障害者や難病患者、高齢者が犠牲となってきた例は歴史上いくつもある。あのナチスが障害者を虐殺した「T4作戦」も、「安楽死」「自己決定」の名のもとに行われた。今回の事件はそうした危険な排外思想の延長線上にあるのだ。


■健常者の立場の「安楽死」の価値観を押し付け、障害者に延命を拒否させる維新の姿勢

 しかも、維新の連中が恐ろしいのは、ALS患者をはじめとする難病患者や障害者が置かれている状況への想像力をまったく欠いていることだ。

 自身もALS患者であるれいわ新選組の舩後議員が事件を受け、オフィシャルサイトにこう声明を出していた。

〈報道を受け、インターネット上などで、「自分だったら同じように考える」「安楽死を法的に認めて欲しい」「苦しみながら生かされるのは本当につらいと思う」というような反応が出ていますが、人工呼吸器をつけ、ALSという進行性難病とともに生きている当事者の立場から、強い懸念を抱いております。なぜなら、こうした考え方が、難病患者や重度障害者に「生きたい」と言いにくくさせ、当事者を生きづらくさせる社会的圧力を形成していくことを危惧するからです。〉
〈私も、ALSを宣告された当初は、出来ないことが段々と増えていき、全介助で生きるということがどうしても受け入れられず、「死にたい、死にたい」と2年もの間、思っていました。しかし、患者同士が支えあうピアサポートなどを通じ、自分の経験が他の患者さんたちの役に立つことを知りました。死に直面して自分の使命を知り、人工呼吸器をつけて生きることを決心したのです。その時、呼吸器装着を選ばなければ、今の私はなかったのです。〉
「死ぬ権利」よりも、「生きる権利」を守る社会にしていくことが、何よりも大切ですどんなに障害が重くても、重篤な病でも、自らの人生を生きたいと思える社会をつくることが、ALSの国会議員としての私の使命と確信しています。〉

 また、自身もALS患者である日本ALS協会副会長・近畿ブロック会長の増田英明氏も、患者の「死にたい」を鵜呑みにしないでとこう訴える。

「私たちの団体には、彼女のように生きることに迷う人たちがたくさんいます。そういう人を前にして苦悩する家族や支援者もいます。生きることよりもそうじゃない方が楽なのかもしれないと傾きそうになりながら、必死に生きています。彼女を死に追いやった医師を私は許せません。私たちが生きることや私たちが直面している問題や苦悩を、尊厳死や安楽死という形では解決できません生きてほしい、生きようと当たり前に言い合える社会が必要」(京都新聞24日付)

 舩後議員や増田副会長も語っているように、仮に患者が「死にたい」と口にしたからといって、「死にたい」というのが本当に患者の希望と言えるのかどうか、それが時間や環境の変化で変わらないものなのかどうか、簡単に判別できるものではない

 仮にその時点で「死にたい」というのが本心であったとしても、友人や家族に「死にたい」と相談されて、じゃあ死ぬ方法を一緒に考えよう・手伝おうなどという人はほとんどいないだろう。なぜ死にたいと感じているのか、その苦しみを取り除くにはどうすればいいか、考えるだろう

 だが、維新の連中には、そういう視点はまったくない。まさに健常者が想像上で考えているだけの「苦しみながら生かされるのは本当につらい」という価値観を押し付けて、障害者や高齢者に死を選ぶよう圧力をかけているのだ。


■「透析患者は殺せ」の長谷川豊を公認し、大阪万博にも「医療費削減」思想

 しかし、考えてみれば、維新がこんな事件に乗じて「尊厳死の議論を」などというのは、ある意味、当然なのかもしれない。

 維新は、橋下徹・元大阪市長の時代から財政健全化のための福祉切り捨てを推し進めてきたが、その底流には、人間を経済効率でしかみない、新自由主義的な弱肉強食思想がある。

 実際、2017年の衆院選では、元フジテレビアナウンサーの長谷川豊氏を党の候補として公認。長谷川氏はその少し前に、〈「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ! 無理だと泣くならそのまま殺せ!今のシステムは日本を亡ぼすだけだ!!」〉と透析患者の殺害まで口にし、批判を浴びていたが、維新はまったく問題にしなかったのである。

 それどころか、2017年当時、長谷川氏の擁立を決めたことについて、維新の幹部は「維新の政策と長谷川氏の主張は近い」(産経ニュースより)などと語っていた。ようするに、長谷川氏の「透析患者は殺せ」発言が、維新の思想と大差ないということだ。

 たとえば、維新が推進する大阪万博にもその思想はあらわれている。大阪万博では「いのち輝く未来社会のデザイン」をキャッチコピーに、当初「健康」や「長寿」をテーマとし、「健康寿命の延伸」を訴えていたが、大阪府の基本構想案では開催効果のひとつとして〈寿命の延伸による健康・長寿社会の実現、その結果として社会保障費の増加抑制〉をあげていた。また同万博について経産省が取りまとめた資料でも、健康寿命について〈我が国の医療費は、高齢者向けが約半分であり、入院関係が多くを占めている〉〈健康寿命が伸びれば、高齢者向け医療費が節約できる可能性〉などと書かれている。健康寿命が伸びることで、個々人がどのような豊かな生活を送ることができるかということではなく、医療費削減のことしか考えていないのだ。

 厚労省医系技官だった大久保容疑者は、ツイッターなどで、高齢者や障害者、生活困窮者にかかる医療や福祉の費用は社会資源の無駄であり、日本国の財政を逼迫させるだけ、早く殺してしまったほうがいいという主張を繰り返していた。


■コロナ禍で広がる「老人より若者の命を優先せよ」の命の選別論との合体

 本サイトは先日の記事で、大久保容疑者たちが語っていた高齢者排斥の優生思想は、この国の官僚と安倍政権の政治家たちの本音でもあると指摘したが、維新の政治家たちもまさに同じなのである。

 しかし、維新のこうした姿勢は批判されるどころか、今後、さらに勢いを増していくだろう。

 コロナ感染が拡大して以降、日本社会では、ICU病床や人工呼吸器、人工肺(ECMO)などの医療資源が限られた場合、高齢者より若者を優先すべき、高齢者は若者に譲るべきなどという意見が平気で語られるようになっているからだ。

 また、「高齢者しか死なない病気のために、若者の経済活動が制限されなくてはいけないのか」という意見も、ネットだけでなくワイドショーなどでもかなり普通に語られている。

 これらの議論について、災害現場などで行われる医療トリアージと同じようなものと勘違いしている向きも多いが、トリアージは、重症度や治癒の可能性に基づいて医療的に客観的に判断されるものであり、命の価値をはかるものではない。「高齢者より若者を優先すべき」などというのは、明らかに「命の選別」「優生思想」につながるものだ

 今回の非道な事件をきっかけに、「尊厳死の議論をしよう」などと発言している維新政治家が次に叫び始めるのはおそらく、この「若者の命を優先しろ」という「命の選別」政策だろう。こんなファシストたちをこれ以上のさばらしてはならない。

(編集部)
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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/276667

室井佑月 作家
1970年、青森県生まれ。銀座ホステス、モデル、レースクイーンなどを経て97年に作家デビュー。TBS系「ひるおび!」木曜レギュラーほか各局の情報番組に出演中。著書に「ママの神様」(講談社)、「ラブ ファイアー」(集英社文庫)など。

室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」
「業病ALS」に武士の美徳…石原慎太郎氏のセンスに呆れる
2020/07/31 06:00

     (石原慎太郎氏のツイッターより)

「業病のALSに侵され自殺のための身動きも出来ぬ女性が尊厳死を願って相談した二人の医師が薬を与え手助けした事で『殺害』容疑で起訴された。武士道の切腹の際の苦しみを救うための介錯の美徳も知らぬ検察の愚かしさに腹が立つ。」(石原慎太郎元都知事)

 これは石原元都知事の7月27日のTwitter。ALSを難病ではなく、業病だって。前世の報いで病になったってか。

 この人、東北大震災の時も『天罰』っていってた。浅はかで愚かしいのは石原氏だろ。こんな人が長々と政治家でいられる国ってどういうの? 石原氏のこのTweetに『いいね』を押す人が、2万3千人(7月28日現在)もいるってさぁ~。

 まず、石原氏がTweetしたのは、医師2名がALS筋萎縮性側索硬化症の女性の依頼で薬物を投与し殺害した嘱託殺人事件に関してだ。

 この医師たちは女性の担当医で、身近にいて女性の辛さに同情してしまった、とかではない。SNSでやり取りをしただけで、金で雇われ、殺しをしたのだ。報道によれば、彼らが信じる歪んだ正義とやらをSNSなどで発信し、一定の賛同を得られることに酔ってたという。それが石原風にいえば、『武士の美徳』になるわけだ。

 あ、いるいる、そういう人。人の命は重いというのは綺麗事、俺は現実的だ、といってマウント取りたがる社会の秩序を乱す人(綺麗事がなきゃ社会は成り立たないでしょう?)。そういう人間が前出の石原氏の発言に『いいね』をし、殺人者の背中を押したわけである。恐ろしい。

 石原氏はTwitterでこうつづける。

『裁判の折り私は是非とも医師たちの弁護人として法廷に立ちたい。』

 はあ? あなた3年前、豊洲市場の移転問題で証人喚問され、ヨボヨボで登場し、

「平仮名さえ忘れました」

苦しい言い訳をし、逃げたんだけどな。こんな人を応援する人の気が知れない
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コメント
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