アブリコのCinema散策

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イヴの総て ’50 アメリカ

2010-04-29 | クラシック
女の争いはすさまじい。
爪を立てて、「キーッ」と争い合うような次元の低い話ではなく、いかにしてチャンスをつかみ、他人が現在(いま)いる地位をどうしたら奪えるか、といったライバル心を燃やす闘いである。

ショー・ビジネスの世界では当たり前だろうが、誰もがスターになりたいと願っている。
たいした才能もなく、ちょっとしたきっかけでのし上がる者もいれば、実力はあってもツキに恵まれず、いつまでも下積みでとどまる者もいる。
認められるということの素晴らしさ。
努力はもちろんだが、運はそれ以上に必要なことなのかもしれない。

マーゴは誰もが認める大女優であった。
しかし周囲では、そろそろ若手に目が移る頃でもあり、それは本人も薄々感じてはいた。
ある日、彼女のファンであると近づいて来る娘がいた。
自身の不幸な身の上話に、マーゴは同情した。
娘は、マーゴの身の回りの世話をするようになる。
やがて娘は、彼女の舞台台詞までも暗記し出して・・・

美内すずえ著『ガラスの仮面』の中にも、同じようなシーンがあったっけ。
相手に同情心を植えつけ、大ファンであることを強調し、そばにつきながら隙を見て入り込む。
そして役を奪い取る。

お人よしではこの世界では通用しないのか。
「隙あらば」と狙っている役者の卵たちは多いのだろうか。
ものすごい強運の持ち主で、努力も怠らず、隙も見せずに物事をソツなくこなし、スキャンダルもなんのその、かえってそれを糧にするほどの強さがなければ、トップでい続けるのは難しいのかもしれない。

いまや、マーゴを超えるスターとなったイヴ。
彼女の部屋のドアをノックする音が聞こえる。
そこには、ひとりの清楚な女学生が立っていた。
「あなたの大ファンなんです」

こうしてまた、時代はめぐっていくのである。


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