アブリコのCinema散策

のんびり映画でも観ませんか

スタンド・バイ・ミー ’86 アメリカ

2006-09-26 | ドラマ
スティーブン・キング原作らしかぬ、日だまりのような作品である。
1959年、オレゴン州にあるキャッスル・ロックという田舎町で、ゴーディ、クリス、テディ、バーンの4人の少年たちが、親に内緒で森へ向ったその理由(わけ)は・・・?

この映画は男女問わず親しめるものだろう。
特に男性にとっては、より懐かしい気分になるはずだ。

男の人は幾つになっても子供心を忘れない。
その証拠に、目の前に、当時遊び慣れ親しんだ物を置いてみよう。
目を輝かせて手に取るであろう。
その瞬間、童心に返ってしまうのである。

残念ながら、女性はこうはいかない。
おままごとセットを置かれても目は輝かない。
女の人が懐かしいと思い返すのは、ティーンエイジャーから20代前半の華の頃までである。

ゴーディが後に、「あの12才の時にもった友人に勝る友人をその後もったことはない」と語っていた。
いいものだ。
少年の頃のあの気持ち。
そっとしまっておきたい大切な気持ち。
いつまでも大事にとっておこう。

クリス役の今は亡きリバー・フェニックス。
ここではまだ幼さの残る彼であったが、その後の活躍ぶりを予感させるほどの、力のこもった演技だった。
短命であったところも、ジェームズ・ディーンと比較された所以かもしれない。


弾丸を噛め ’75 アメリカ

2006-09-21 | アクション
20世紀初めに催された大競走。
〈ル・マン〉の馬版といったところ。
山あり谷あり、そして一面の砂漠地帯・・・走行距離700マイル。
紅一点ミス・ジョーンズを含む8人が、賞金2000ドルを目指して、この耐久レースに挑む。

ウエスタンものというと、こう、人間臭さがにじみ出るような作品が多いが、この映画はどことなくドラマチックである。
彼らの熱い友情や、馬に込める深いいたわり。
何が起こるか全くわからない、危険極まりない過酷な旅ではあるのだが、どこか爽快な気分にさせてくれる。

皆ライバルであるはずなのに、助け合っていく姿が素晴らしい。
卑怯な手段を使わず、正々堂々と戦うってのはいいものだ。
ま、横道にそれた者もいたにはいたが・・・

現代人の体力は衰えの一途をたどっているから、こうした厳しい自然の中に立ち向かう冒険者たちというのは、非常に勇ましく映りますな。
若者たちよ、もっと体を鍛えよー!

〈大事の前の小事〉というが、大事に挑む前にはきちんと歯も治療しておかないとね。
でないと、題名のようなことになりかねませんから(笑)

ふたりの5つの分かれ路 2004年 フランス

2006-09-16 | ラブ・ストーリー
「これで離婚が成立しました」

この映画は、一組の夫婦の終わりを告げる場面から彼らの出会いまでと、現在から過去へ、5つの分岐点で区切られた、まったくもって判りやすいストーリーである。

別離→倦怠→出産→結婚→出会い
夫婦であるが故、平均して倦怠期まで経験すると仮定して(笑)、何故このふたりは決定的な判断を下してしまったのか。
徐々に遡っていく様子は実にリアルである。

普通に鑑賞していれば、おおよそ納得のいく展開である。
ふたりの始まりを予感させるラストまでくれば、あぁ、これはもう別れるっしょ、と大概の女性は思うハズである。

夫も夫だけど、妻も妻ってとこでしょうか。

妻役のヴァレリア・ブルーニ・テデキス。
終盤へ向けてどんどん綺麗になっていく。
体型まで変えての熱演でした。

幸せな結婚生活も、お互いの忍耐と努力で成り立っているらしいが、人間である以上、我慢の限界というものがある。
話し合う以前に、既に心がダメになってしまっていれば、どうしようとダメだ。
特に女性の場合は、そこが顕著である。  

イナフ 2002年 アメリカ

2006-09-12 | ミステリー&サスペンス
玉の輿にのったとしても、喜んではいられないと思わされてしまう話である。

妻のスリムは、金持ちの夫ミックと娘グレイシーとの3人家族。
幸せな生活もつかの間、夫には幾人もの女性がいたのであった。
その事実を知ってから今までの暮らしはガタガタと崩れ、同時に夫の恐ろしい人格をも目の当たりにしてしまう。

ジュリア・ロバーツが、夫の暴力に耐えかね逃げ出す若妻を演じた’90の『愛がこわれるとき』。
ドメスティック・ヴァイオレンスのはしりのような作品であったが、本作品での妻は一段と強さを増していた。
ジェニファー・ロペスの体当たり演技が見もの。

どこへ逃げても追い詰められる母と娘。
金持ちだと手回しも早いのだろう。
だが、スリムはへこたれない。
子を守る母は、一層たくましくなるのである。

世の妻たちが、密かに護身術やボクササイズに励もうと奮い立つ日もそう遠くないかもしれない(ホントか?) 

陽のあたる場所 ’51 アメリカ

2006-09-08 | 文芸
1951年度のアカデミー賞で、いくつもの賞を受賞しただけあって、50年代の米映画を代表する秀作といわれている。
今では面影も無い、きらびやかな19才の「リズ」ことエリザベス・テイラーと、「モンティ」で親しまれたモンゴメリー・クリフトとのラブ・サスペンス。
○○サスペンス劇場的な話と言ってしまえばそれまでだが、この時代背景、且つモノクロで観ると、とても新鮮な感じがするのである。

貧しい青年は、富豪の娘と惹かれあう。
だが青年には、身重の女性がいた・・・
はい、この後は、すぐに想像のつく展開でございます(笑)

この映画の評を見ると、各俳優の名演技振りが際立っている。
モンゴメリーのオドオドした自信の無さげな表情もよかったが、個人的には、検事役のレイモンド・バーの凄味が気に入った。

パーティで、青年は娘にこう囁く。
「君に初めて会ったときから愛している。 きっと会う前から愛していたんだろう」
ラスト、娘は青年にこう語った。
「わたし達は、お別れするために出会ったのね・・・」

8回も(9回じゃないよね?)結婚歴を作ることになるリズのあの眼差しに出会わなけれ
ば、この青年も、あんな悲劇に陥ることもなかったであろうが・・・
(役と私生活がゴッチャになってしまったが、実際、当時このふたりは恋仲であったそうな。) 
 

オペラ・ハット ’36 アメリカ

2006-09-04 | クラシック
’30の『モロッコ』では、マレーネ・ディートリッヒの影になってしまっていたゲーリー・クーパーだが、本作品では堂々たる主役を演じている。
以後、彼は二枚目俳優として活躍してました。

アメリカ人だが、幼少の頃イギリスで教育を受けただけあって、立ち居振る舞いがとてもスマートな俳優である。
単なる長身で終わることなく、洗練されたその仕草は、当時の日本女性が沸き立っただけのことはあろう。

大資産家が亡くなり、世間では、相続人は一体誰なんだ?と大騒ぎ。
それが田舎で暮らす、甥のディーズであることが判明。
記者や政治関係者たちが動き出す。
遺産はなんと2千万ドル。
ディーズは今までののんびりとした生活から、ニューヨークでの騒々しい暮らしへと一転する。

遺産を狙う強欲な親戚や、まとわりつくマスコミ関係。
毎日、一面に書き立てられるゴシップ記事。
うんざりする中、唯一信じていた女性にも裏切られたと思い込んだディーズは、ひとりの男の話をきっかけに、ある決断を思い立つのだが・・・

長身でルックスもいいお金持ち。
知性があり、ユーモアも多少あって、センスもよい常識人。
純真で嘘もつかず、言うべきところはガツンと言う。
子供っぽいところもあって、ちょっとケンカっぱやいけど、思いやりがあって優しいディーズ。
今時少女マンガの中でも存在しないであろうキャラだが(笑)、女性にとっては永遠の王子様像なんだろうなぁ。