愛と別れのプラットホーム。
男女の、切なくも美しい別れが涙を誘う・・・と、多くのラストシーンで見られた光景であるが、この『終着駅』という映画は、決して美しいとは言い難いラストである。
ジョヴァンニはマリアに夢中。
だが彼女には、夫も娘もいる身であった。
しかもジョヴァンニとは、ローマに滞在中に知り合った仲であったようである。
作中、ふたりが過ごした日々は映し出されず、描かれていたのは別れの時間だけ。
だから余計に、男のジレンマが痛々しいのである。
一方マリアにとっては、旅行中の火遊びぐらいのものだったのだろう。
一途な男としたたかな女。
ふたりだけになれる場所 ―― ジョヴァンニが向かったのは、停車中の列車の客室だった。
それがもとで警察沙汰になってしまうとは、マリアにとっても耐え難い事であっただろう。
運よく、署長の計らいで「なかったこと」にしてもらえたけど、旅の恥はなんとやらで、プライドの高そうなマリアだから、彼女の中でも「なかったこと」にしたんだろうなぁ(笑)
なんやかやで、発車時刻が近づいてくる。
「わたしはもうとにかく、何がなんでも早くこの場から逃れたいの」と、心の中では叫んでいたに違いない。
口では一応、それらしく男に愛を語ってはいたが。
ただ惨めなのがジョヴァンニである。
あれよあれよと時間が過ぎ、まっとうな別れもできず、ホームでこけてしまったこの男。
肩を落とし、一人ホームを歩く姿に哀れみを感じるというより、嘆かわしいと思わせてしまうのは、マリア役のジェニファー・ジョーンズを愛した、本作品のプロデューサーであるセルズニックの思惑だったのだろうか。
男女の、切なくも美しい別れが涙を誘う・・・と、多くのラストシーンで見られた光景であるが、この『終着駅』という映画は、決して美しいとは言い難いラストである。
ジョヴァンニはマリアに夢中。
だが彼女には、夫も娘もいる身であった。
しかもジョヴァンニとは、ローマに滞在中に知り合った仲であったようである。
作中、ふたりが過ごした日々は映し出されず、描かれていたのは別れの時間だけ。
だから余計に、男のジレンマが痛々しいのである。
一方マリアにとっては、旅行中の火遊びぐらいのものだったのだろう。
一途な男としたたかな女。
ふたりだけになれる場所 ―― ジョヴァンニが向かったのは、停車中の列車の客室だった。
それがもとで警察沙汰になってしまうとは、マリアにとっても耐え難い事であっただろう。
運よく、署長の計らいで「なかったこと」にしてもらえたけど、旅の恥はなんとやらで、プライドの高そうなマリアだから、彼女の中でも「なかったこと」にしたんだろうなぁ(笑)
なんやかやで、発車時刻が近づいてくる。
「わたしはもうとにかく、何がなんでも早くこの場から逃れたいの」と、心の中では叫んでいたに違いない。
口では一応、それらしく男に愛を語ってはいたが。
ただ惨めなのがジョヴァンニである。
あれよあれよと時間が過ぎ、まっとうな別れもできず、ホームでこけてしまったこの男。
肩を落とし、一人ホームを歩く姿に哀れみを感じるというより、嘆かわしいと思わせてしまうのは、マリア役のジェニファー・ジョーンズを愛した、本作品のプロデューサーであるセルズニックの思惑だったのだろうか。