アブリコのCinema散策

のんびり映画でも観ませんか

ビッグ・リボウスキ ’98 アメリカ

2005-04-27 | コメディ
このての映画は、好き嫌いがハッキリしそうだ。
’94の『パルプ・フィクション』同様、笑いのツボが少しでもはずれると、どこが一体可笑しいのかわからないらしい。

感情というものは人それぞれ異なるものだから、超オススメ!などと勧められても「・・・・。」ということだってありうる。

主人公デュード演じるジェフ・ブリッジス。
役作りとはいえ、よくぞここまで肥えさせました!
さすが役者馬鹿である。(そうなのか!?)

しかし本作品に出てくるキャラクター、個性的を通り越して、コテコテのギトギト。
監督のコーエン兄弟も、楽しんで作ったという思いがうかがえる。
そういえば、最近の彼らの作品は何だか元気がない。
’03の『ディボース・ショウ』は味気ないものだった。

デュードたちはボウリングが命。
トラブルに巻き込まれていようがなんだろうが、ボウリングはやめられない。
考えに詰まれば、友人ウォルターが言う。
「ボウリングをしようや」
友人が亡くなり、悲しみの淵にいようが、
「ボウリングをしに行こう」

結局、彼らはボウリングがあれば幸せなのだ。
ボウリングさえあれば、未来は開ける。
そんなところか。

久し振りに、ボウリングがしたくなった。 

モンパルナスの灯 ’58 フランス・イタリア

2005-04-22 | 伝記
画家アメデオ・モジリアーニの伝記映画。
モジリアーニを、永遠の貴公子こと、ジェラール・フィリップが演じている。
彼同様、薄幸な役どころ。

モジリアーニに関して特に興味はないが、彼の半生は悲しすぎる。
昔の画家というものは、いや芸術家たちは、極貧の中でこれほどの才能を持ち合わせていながら、生存中に認めてもらえなかった例が多くある。
辛いことだ。

せめてもの、恋人役で出演していたアヌーク・エーメが華を出している。
エレガントな美しさがひと際目立つ。
’66『男と女』での彼女は、大人の女性を好演しているが、本作では若々しいお嬢様役がとても合っていた。

そういえば、モジリアーニもジェラール・フィリップも、ともに36歳で亡くなっているんだよね・・・
なんとも妙な偶然である。 

ビフォア・ザ・レイン ’94 イギリス・フランス・マケドニア

2005-04-14 | ヒューマン・ドラマ
1994年ヴェネチア映画祭グランプリ受賞。
人間として非常に考えさせられ、且つ胸を打たれる作品である。

三部構成のこの作品、それぞれにテーマがあり、主人公も各々違う。
しかし最後になると、実はひとつの物語になっていたことを知らされる。

まるでメビウスの輪のようなストーリー。

ここに出てくる者たちに笑顔はない。
荒涼たるものである。
誰もが苦しみを抱えており、それを和らげる手立てはない。
舞台となっているマケドニアの風景は、悲愴な中にも美しさがある。

本作品は非常に緻密に作られており、監督・脚本を兼ねたミルチョ・マンチェフスキーの、卓越した才能に驚かされる。
人物、風景、台詞と、すべての調和がとれた作品ではないだろうか。

最後に、老僧のマルコが言う。
「時は待ってはくれない、流れるのみだ」と。
その言葉に、ただ頷くばかりである。 

恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズ ’89 アメリカ

2005-04-10 | ラブ・ストーリー
まさに大人の映画。

ジャズピアノのデュオを組むベイカー兄弟。
キャリアがあるにもかかわらず、近頃ではどうもパッとせず、店との契約も危うい状況となっていた。
そこで心機一転、女性ボーカリストを入れてみようと、兄のフランクが提案する。

華を添えたスージー・ダイアモンドを演じる、ミッシェル・ファイファーがいい。
当の本人も、この役を気にいっているらしい。
歌も彼女が実際に歌っている。
かなり練習したようで、お上手です。

スージーがグランドピアノの上で、艶かしく歌うシーンがある。
映画のハイライトといってもいいんじゃないかな。
だが、このシーンを境にして、一応は成功していた三人の輪が乱れ、崩れていってしまう。
意見の衝突。
感情のぶつけ合い。
そして、素直になれないジャック・ベイカーとスージー。

このベイカー兄弟、実際のブリッジス兄弟である。
共演は初めてなのかな?
ケンカのシーンなど、地で演じていたかどうかは判らないが、息はぴったりだった。
弟のジェフは、ピアノの腕前はかなりのものらしい。

こちら、オリジナルの曲も素敵である。
BGMにしてもなかなかいい。
ちなみにこのサウンド・トラックは、グラミー賞でベスト・アルバムを受賞している(映画音楽部門)。

素直になりかけたのか?ジャック!
しかし、遅すぎたのか!?

このラストに少々ご不満の場合は、もう少し大人になってからもう一度観てみましょう。
なぜならこれは、大人の映画だから。 

友だちのうちはどこ? ’87 イラン

2005-04-07 | ドラマ
これがイラン映画として初めて観た作品。
以後、ちょっとハマった。

友だちのうちを探す。

なんと明快なストーリー!

これは子供たちが観ても、すごくいい映画。
是非、観てもらいたいが、現代っ子はあきちゃうかな?

イランの子供たちが可愛い。
家のお手伝いもきちんとする。
すごく遠くから、学校に通ってくる子もいる。

なんでも、この映画を撮ったアッバス・キアロスタミ監督は、子供たちに「演技をして」とは言わなかったそう。
彼らの演技は、実は演技ではないのである。
したがって、この作品は、友だちのうちを探すまでの、ドキュメンタリー映画といっても差し支えないのかもしれない。

ラストは心がぽっとあったまる。

本作で兄弟で出演していたアハマッドプール君たちを(主人公とその友だち役)、’92の『そして人生はつづく』で、少し成長した彼らの姿をちょこっとだけ見られる。 

ガタカ ’97 アメリカ

2005-04-01 | SF
ジャンルに分類するとSFになるようだが、不思議にもSFチックではない。
遺伝子操作で希望した子供をつくるなんて、近い将来なさそうでありそうな話だ。
もし「空想」ではなく「現実」に起こるとしたら、神への冒とくだ何だと大変な問題となってしまうだろうが、今の男女産み分け方だってスゴイことだと思う。
昔でいえば、それこそSFものだろう。

映像の美しい作品である。

「優秀」に分類された人間は、人工的な妖しささえ漂うような(ある意味人工なんだが)、魅力を持ち合わせているが、彼らをジュード・ロウ、ユマ・サーマンが演じている。

適役だった。

彼女の均整のとれた姿勢が、いかにも「優秀」感があって、本当に操作したのでは!?(笑)と思わせてくれていい。
ジュード・ロウは、’99の『リプリー』でフィリップ役を演じてたっけ。
オリジナル版、’59の『太陽がいっぱい』のモーリス・ロネにも勝る演技だった。
一応主役のイーサン・ホークは、彼のお陰ですっかり影が薄くなってしまっていた・・・

そういえばユマとイーサンは、この作品で共演したのがきっかけで結婚したはずだったんだよねぇ。

ハリウッドの世界はいろいろと大変だ。