アブリコのCinema散策

のんびり映画でも観ませんか

シャム猫FBI  ニャンタッチャブル ’65 アメリカ

2011-10-31 | コメディ
シャム猫のDCは、いつもの散歩コースをお楽しみ中。
魚屋さんの前では、おいしそうなサーモンの切り身に目が釘付け。
う~ん、食べたいなあ。
あれ、ボクが先に目ェつけてたのに、もう誰かがお買い上げかあ。
あ、客が店から出てきたゾ。
フンフン、やっぱりおいしそう。
ボクの好きなサーモンの入った袋を提げた男は、アパートの階段を上がっていった。
フフ、ボクもついてっちゃおー。

なんだか大きな声で言い争ってるみたいだけど、ボクには関係ないや。
ボクに関係あるのは、そのブ厚く切ったサーモンの切り身だよ。
そうそう、それそれ。
チョイチョイ、いいぞ、いっただっきまー・・・あー、見つかっちゃったよ・・・。
どうも様子がへんだなあ。
女の人がいるけど、とっても困ってるみたいだ。
あらら、ボクの首輪外しちゃうの?
で、え? それはアナタの腕時計でしょ?
それをボクの首に?
えっと・・・ありゃ、外に出されちゃった。
ふう、どうもよくわからないけど、ま、いっか。
散歩の続きしよーっと。

DCが見た男たちは、銀行強盗の犯人。
そしてDCを逃がした人物が、捕われている銀行窓口担当の女性であった。
その事件は、各紙面を騒がせていた。

さて、DCは“大したネコ”(Darn Cat)であるそうな。
とても賢いようである。
このネコが、果たして犯人逮捕へと導いてくれるのであろうか?
『三毛猫ホームズ』のような活躍を見せてくれるのか。
『猫村さん』のように、テキパキと奉仕してくれるのだろうか。
それとも、『いなかっぺ大将』のニャンコ先生みたいに、ニャンパラリ、キャット空中三回転でも披露してくださるのか。
いいえ、DCは何もしません(笑)。
でも、いいんです。
ネコ派にとっては、DCの行動全てがほほえましく、見ているだけで顔がほころんじゃいます。

60年代のコメディは、「古典的なコントそのままに」な雰囲気で、安心して楽しめますね。
『奥さまは魔女』のサマンサ宅のお向かいさんによく似たキャラが出てきたりして、いくつか当時のドラマなんかとギャグがダブったりなんかしてますが、それも一興。

はっきりいえば、お手柄なのはDCの飼い主であるパティ(本人は「“わたしの猫”ではない。 DCは家族だから」と言っている)なのだが、それをいってはおしまいなのです。
あくまでも、お手柄なのは、この魅惑的な青い瞳のシャム猫DCなのです。
新聞の一面には、堂々としたDCが写っています。
〈お手柄ネコ〉と。

それにしてもこの映画のタイトルになった『ニャンタッチャブル』とはまたずいぶんな・・・
といっても正直なところ、これに反応して観ちゃったんですがね(笑)。
これがもし、ワンちゃん大活躍のものだったら、間違いなく『ワン・・・』だったんだろうなあ。

ブタがいた教室 2008年 日本

2011-10-07 | ドラマ
最後はやはり涙が出た。

6年生のひとクラスで飼われていたブタのPちゃん。
食のありがたさや命の大切さを直にわかってもらおうと、担任が生徒たちに一匹のブタを世話させる。
食すことを前提で飼育され始めたPちゃん。
生徒たちはPちゃんを可愛がる。
みんなで懸命に世話をする。
時には、Pちゃんと一緒にみんなで校庭を駆けまわる。
Pちゃんはクラスのアイドルになっていく。

卒業式を目前にした生徒たち。
自分たちが卒業してしまう前に、Pちゃんをどうするかクラスで話し合う。
熱心に議論し合う生徒たち。
思いを互いにぶつけ合っていくのだが・・・。

家畜として飼養する目的であったのが、いつの間にかペットとして扱われるようになっていったPちゃん。
家畜とペットを混同させてしまったことが、そもそもの間違いである。
これは、やってはいけないことだろう。
本当に家畜として育てていく覚悟であったのなら、名前はつけないほうがよかった。
一緒に遊ぶことも、できれば避けたほうがよかった。
安易な思い出作りはしないほうがいい。
情がわけば、別れは辛い。
わかっていても辛い。

三橋美智也の『達者でナ』や、小学唱歌でおなじみだった『ドナドナ』は、切ない歌である。
だが、我が子のように育てた子馬や子牛を売るのは、もちろん生活のためである。
健康であるよう、大切に愛情を注ぎ育てていく。
それは、“商品”として出さねばならないからだ。
しかしPちゃんの場合は、目的が異なる。

みんなが描いたPちゃんの絵が教室に飾られている。
クラスの仲間となっていたPちゃんを食べるって・・・?
自分たちで育てて食べる大切さ。
ブタでなくては駄目なのか。
採卵用に鶏を飼ったっていいのではないか。
苗を植えて、お米だっていいだろう。
野菜だって勉強になる。

賛否両論だったこの映画。
実話が基というが、個人的には賛成しかねる。