裁判員制度が始まって、半年余りが経つ。
新聞記事やニュース等から、裁判員になった方たちがかなりのエネルギーを要したことが分かる。
人を裁くことの難しさ。
それは実際に経験してみないと、なかなか実感がわかないかもしれない。
本作品は名作の一つに数えられているが、それに異存はないだろう。
陪審員たちの討論だけという中身を、これほど緊迫したドラマにしてしまったシドニー・ルメット監督の非凡な才能には驚く。
故黒澤明監督が、イランのキアロスタミ監督のデビュー作品を観て、「天才は最初から天才だ」と語ったそうだが、ルメット監督にとって、この映画はデビュー作である。
父親殺しの容疑者である少年に対し、ほぼ全員が有罪としていた。
12人中1人だけ、無罪を主張。
「その殺人には疑問が残る。 うやむやなまま少年を電気イスに送るわけにはいかない」
評決は、全員一致でなくてはならない。
無罪をとおす陪審員以外は、当然納得がいかない。
「なぜだ! 証人も言ってるじゃあないか、殺すところを見たと!」
偏見、思い込み、決めつけ、これらを払拭し、時に証人の心理まで洞察しなければならない。
状況をひとつひとつ丹念に把握し、証言を聞き逃してはいけない。
相当な集中力と判断力が必要となるだろう。
’96の『評決のとき』も、とてもよく出来た映画だと思うが、終盤で陪審員による偏見が覆されるシーンは溜飲が下がる思いであった。
ここでは、弁護士の手腕が見事に描かれていた。
容疑者の少年の弁護士は、法廷ではいささか投げやりな態度であったらしかった。
1人の陪審員が説いた“可能性”が、他の11人の意志を変えさせた。
その力は、弁護士以上のものがあったように思う。
新聞記事やニュース等から、裁判員になった方たちがかなりのエネルギーを要したことが分かる。
人を裁くことの難しさ。
それは実際に経験してみないと、なかなか実感がわかないかもしれない。
本作品は名作の一つに数えられているが、それに異存はないだろう。
陪審員たちの討論だけという中身を、これほど緊迫したドラマにしてしまったシドニー・ルメット監督の非凡な才能には驚く。
故黒澤明監督が、イランのキアロスタミ監督のデビュー作品を観て、「天才は最初から天才だ」と語ったそうだが、ルメット監督にとって、この映画はデビュー作である。
父親殺しの容疑者である少年に対し、ほぼ全員が有罪としていた。
12人中1人だけ、無罪を主張。
「その殺人には疑問が残る。 うやむやなまま少年を電気イスに送るわけにはいかない」
評決は、全員一致でなくてはならない。
無罪をとおす陪審員以外は、当然納得がいかない。
「なぜだ! 証人も言ってるじゃあないか、殺すところを見たと!」
偏見、思い込み、決めつけ、これらを払拭し、時に証人の心理まで洞察しなければならない。
状況をひとつひとつ丹念に把握し、証言を聞き逃してはいけない。
相当な集中力と判断力が必要となるだろう。
’96の『評決のとき』も、とてもよく出来た映画だと思うが、終盤で陪審員による偏見が覆されるシーンは溜飲が下がる思いであった。
ここでは、弁護士の手腕が見事に描かれていた。
容疑者の少年の弁護士は、法廷ではいささか投げやりな態度であったらしかった。
1人の陪審員が説いた“可能性”が、他の11人の意志を変えさせた。
その力は、弁護士以上のものがあったように思う。