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はじまりは5つ星ホテルから 2013年 イタリア

2017-04-15 | ドラマ
覆面調査といえば、ミシュランの格付けを思い浮かべるが、近頃では高級店だけでなく、一般的な店でも行われている。
抜き打ちだから、店側にとってはなかなかの緊張感がともなうだろう。

イレーネは世界中の5つ星高級ホテルの覆面調査員。
即ち、"ミステリーゲスト"である。
あくまでも一般の客として宿泊しているから、現地で知り合った者にも嘘をつかなくてはならない。
職業を聞かれると、ちょっと戸惑ってしまう。

この映画で残念に思うところは、キャリアウーマンのイレーネに対して、マイナス的要素がつきまとうところ。
親友である男性は、15年前に別れた元恋人。
その彼の相手(といっても、出会ったばかりの)に子どもができてしまい、もう彼を頼れなくなってしまった。
妹はいつもイライラ。
イレーネに会うと、当たり散らすこと多し。
とてもなついている姪っ子たちも、やはり自分は母親(イレーネの妹)には勝てないという現実を知り気落ちする。
出張先で出会った男性には、「僕は最高の愛妻家なんだ」と言われ、出ばなをくじかれる。
あるホテルのスパで一緒になった女性とは心を開ける友人になれそうだったのに、その彼女は突然、ある理由で姿をみせなくなる。
この一件で、イレーネは人生に、今の自分のおかれている状況に対して考えさせられることに。
人生の9割は今のような生活をおくって、家に帰れば、無機質な部屋の中にホテルの高級アメニティばかりが増えていく。

空しさばかりがクローズアップされているようで、ちょっと抵抗したくもなるが、いいではないのイレーネさん。
あなたは一生懸命与えられた任務に従事してらっしゃる。
高級ホテルばかり泊まれるなんて(仕事だけど)、一般人にはなかなかできることではないですし、畏縮しそうなほど高級感あふれる空間で、女ひとり、悠々と過ごす所作も堂に入っていてステキです。
そもそもあなたは好きでこの仕事をやっている。
性にも合っている。
仕事なんてもんは多かれ少なかれ自分との闘い、孤独な稼業なんですから。