アブリコのCinema散策

のんびり映画でも観ませんか

パリ、恋人たちの2日間 2007年 フランス・ドイツ

2010-12-21 | ラブ・ストーリー
ジュリー・デルピーという人は、なかなかの才媛である。
10代の頃から、自分で作品を撮りたいという志を持ち、いずれはアメリカへという思いを実現させている。
もともと閉鎖的なフランス映画界に不満があったようで、確かにアメリカ映画に出演する彼女は、それまで自国での役柄とは一変するものが多い。
とにかく喋るのである。

本作での彼女は監督をはじめ、脚本や音楽なども担っている。
脚本に関しては、’04の『ビフォア・サンセット』で経験済みだが、90年代には既に短編映画を撮っている。

この映画では、「男女は真に分かり合えるのか」といった疑問を投げかけたという。
ニューヨークに住む恋人同士が、彼女の実家があるフランスのパリに2日間滞在し、その間彼氏が、恋人であるマリオンの元カレたちに遭遇したり、彼女の驚くような一面を目の当たりにしたり、慣れないフランス語や習慣にとまどい、だんだんと気後れしていく一方で、喋り捲るマリオンは、なんでこんなことも分かってくれないのかと恋人のジャックを責めるのである。

分かり合っているようで、実は何も分かっていなかった、なんてことは恋人でも夫婦でもよくある話。
彼らもそこに気づき、とことんお互いについて話し合うことにした。
それでもダメだったら、それはもうその程度の関係なのだと割切るしかないだろう。

男と女は、まったく別物の生き物として認知されている以上、真に分かり合うということはかなり困難なように思うのだが、まぁ適度に分かり合いながら(そんなフリをしながら・笑)、仲よくやっていくしかないのだろう。

ルパン三世 カリオストロの城 ’79 日本

2010-12-03 | アニメーション
キネマ旬報のアニメ部門で堂々の1位となった本作。
「何度観てもよい」という意見が多いのも納得である。
個人的にも『となりのトトロ』とそろってひいきにしている作品だ。

70年代の中頃から、アニメといえば宮崎駿監督によるものが多かった。
しかも名作といったものはほとんどそうだった。
カリオストロ大公家の元庭師の顔は、ハイジのおじいさんと見間違うほど似ている(笑)。

奇想天外なシーンの数々はルパンの真骨頂。
ドタドタ、ワハハハ、そしてしんみりと、的確にツボを押さえての展開もルパンならでは。
エドガー・アラン・ポーの恐怖小説のようなカリオストロ伯爵の最後は、衝撃的でもあった。

数あるルパン映画の中でも、この作品が圧倒的に支持される理由は何なのか。
やはり人間味の濃淡が、くっきりと際立っているところにあるのかもしれない。
もちろん、柔らかな描写も懐かしみを感じさせる。
驚くのは、あのルパンが金銀財宝何一つ盗んでいないという点。
しかし銭形のとっつあんは言う。
「いや、奴はとんでもないものを盗んでいきました。 あなたの心です」
ここでもし、ルパン自身が直接彼女に、例えば、「クゥラリスちゃんのハートを盗ぉーちゃったもんなぁー」などと言っていたら、この感動は無くなってしまうわけで、ここは第三者が、ここではとっつあんがルパンを代弁してクラリス本人に伝えたからこそ名シーンになったのである。

クラリスを抱きしめたいその気持ちをぐっとこらえるルパン。
大人である。
そういうところが彼の優しさなんだなぁ。
そういえば昔、学生の頃にルパンが理想の男性だと言っていた女の子がいたっけ。
気の休まるときがなさそうだけどね(笑)。