アブリコのCinema散策

のんびり映画でも観ませんか

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ウルガ ’91 フランス

2006-05-26 | ドラマ
モンゴル自治区の広大な大草原の中に、ポツンと見える包(パオ)。
そこには、ゴンボを主(あるじ)とする一家6人が住んでいた。
ほのぼのとした遊牧民の日常を味わうことができる。

ある日、居眠り運転がたたり、大草原の中で立ち往生してしまったひとりのロシア人。
助けを求める声に気づき、ゴンボはそのロシア人を家に招く。
遊牧民たちは、見知らぬ者でも快く客としてもてなすというが、そうしたところも彼らが好かれる所以であるのかもしれない。

いつしか、ゴンボとロシア人のセルゲイは、友情を交わすようになっていく。

一家の長女が奏でるアコーディオンの音色。
幼い長男の、こぼれんばかりの笑顔。
素朴さの残る子供たちを見て、安らぎを感じられるのも、この映画での収穫のひとつだろう。

もう4人目はいらないと、妻は夫を突っぱねる。
都会から嫁いできた妻は、無知な夫をうながし、街へ出、あるモノを買いに行かせる。

「頼んだものは買ってきた?」
「いや」

その後、ふたりは草原に、馬の捕獲に使う〈ウルガ〉を突き立てる。
これはまた、遊牧民たちに通じるある「サイン」であって・・・

環境が著しく変化している日本では、自然の尊さを忘れかけているのかもしれない。
だからこそ、自然と融合している彼らがうらやましく思えてくる。

本作品は、1991年度ヴェネチア映画祭グランプリを受賞している。
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タンポポ ’85 日本

2006-05-20 | ドラマ
おいしい映画!
まさに、そう呼びたくなる作品だ。
「おいしそう」ではなく、「おいしい」のである。
ラーメンうん蓄から、食にこだわるショート・ストーリーを織り交ぜ、正統な日本の朝食メニューに、子供も喜ぶ洋食メニュー。
決して豪勢な食材が出てくるわけでもないのに、とにかくお腹がいっぱいになるから不思議だ。

未亡人タンポポ(かわいい名前!)が切盛りするラーメン屋は、いつも閑古鳥。
流れ者のトラック野郎が、たまたま訪れたその店で、目を覆いたくなる酷さに意を決し、タンポポを凄腕のラーメン職人に、そしてここを行列のできる店にしようと、彼女への猛特訓の日々が始まる。

まったくのシロウトでも、この映画を観終わる頃には、ラーメンの基本というものを頭に詰め込まされているハズである。
とにかくこの過程は奥が深い。
本当に研究、試作の努力は怠れないだろうと思う。

深夜の厨房をこっそり借りて、ホームレスがタンポポの息子に作ってあげたオムライス。
卵でくるまない、ライスにのっけるタイプのやつ。
フォークで突いて、中の半熟がとろ~り。
あれ一度も成功したことないんだよなぁ。
もうプロ級!

山崎努のカウボーイハットも似合ってたし、宮本信子のおニューのエプロンも可愛かったけど、個人的には、お店は改装前のほうがよかった。
キレイになったのはいいけど、あれだとラーメン屋さんより洋食屋さんって感じだし・・・

メニューに加えていた〈ねぎソバ〉、作ってみたらホントおいしかった!


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ウエディング・バンケット ’93 台湾・アメリカ

2006-05-13 | コメディ
1993年度ベルリン映画祭グランプリ作品。

台湾出身のウェイトンは、ニューヨークで働くビジネスマン。
彼はアメリカ人の整体師、サイモンと暮らしている。
二人は・・・まぁ、そういう関係なのだが、お互いを一番信頼し合っている。

そこへ、一人息子であるウェイトンを心配してか、郷里の母が、そろそろ身を固めろと言ってくる。
結婚相談所に入会しただとか、いろいろと世話を焼いてくるのだ。
もちろんウェイトンは聞く耳持たずである。
適当に返事をしとけばいいだろうと。
親の心子知らずである(笑)

そうこうしているうちに、両親共々、二人の住む家にやってくることになり、彼はサイモンの提案で、知人の女性、ウェイウェイと偽装結婚をすることになるのだが・・・

両親の願い、サイモンの優しさ、そしてウェイウェイの複雑な思い。
人としての本音がズバッと表現されている後半は、観る価値十分にアリである。

みんなで披露宴の写真を見ている場面は、ちょっと風変わりな家族の出来上がり!って感じで微笑ましい。

この作品で一番注目すべきところは、人格者であるウェイトンの父親だろう。
ラスト、母の涙に「どうした?」と訊く父。
「幸せで・・・」とつぶやく母に、うなづく父。
お互いの胸中を察しての、この短いやり取りを見て、小津安二郎作品を観ているような切なさを、ふと感じたのであった。


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ダンサー・イン・ザ・ダーク 2000年 デンマーク

2006-05-07 | ヒューマン・ドラマ
「感動したいから」「泣けるって聞いたから」
そんな動機でこの映画を観てはいけない。
「泣ける」というより、「泣く」といったほうがいい。
だが、ショックで涙も出ないかもしれない。

夢と絶望。
この間(はざま)にいるひとりの女性セルマ。
彼女は時折、現実逃避から、空想の世界に入り浸る。
大好きなミュージカル仕立てのその夢の世界で、セルマは実に気持ち良さそうに、歌い踊る。

セルマの息子ジーンは、母の遺伝を受け継ぎ、生まれつき弱視であった。
そのままでいると、やがて失明するため、セルマは細々とであるが、ジーンの眼の手術費用を貯めていた。
しかし、その金を無情にも狙う者がいて・・・

アイスランドの不思議な歌姫、ビョークの天才的な演技が評判となった本作。
歌唱力にも劣らないその演技力には、度肝を抜かれた。

かなり重く、衝撃的なストーリーである。
やるせない気分になるのは否めない。
だが、人の何たるかを重々考えさせられる作品である。

“in the dark”とは、「暗闇に」の他に「知らずに」という意味もある。
徐々に見えなくなっていく、セルマの眼を反映しての題名かと思っていたのだが、物語の中盤である事実を知り、別の意味とも重なることに気づき愕然としたのを覚えている。  


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柔らかい肌 ’64 フランス

2006-05-02 | ドラマ
夫の浮気に激怒した妻は、真っ向から夫に猟銃を向ける・・・
おだやかではない結末の本作。
ズバリ不倫がテーマである。
しかも当時の事件を映画化したというのだから、一層リアルなものだ。

夫の愛人役であった、フランソワーズ・ドルレアックが実に美しかった。
知る人ぞ知る、あのカトリーヌ・ドヌーブの実姉である。
惜しいことに、彼女は25才の若さで他界している。
個人的には妹のカトリーヌより、姉のフランソワーズのほうが好きだな。
カトリーヌは美貌を全面的に出しているけど、フランソワーズは、美しくも控えめなのがいい。
なんでも、妹は子供の頃から、姉に対して劣等感をもっていたというのだから驚きである。

店の奥で一人、昼食をとる夫。
そこへ脇目もふらず、夫のいる席へと向う妻。
コートの下に隠しておいた猟銃を取り出すと、表情ひとつ変えずに夫を撃ち殺す。

’87の『危険な情事』では、世の男性たちを震え上がらせたことで話題となったが、いずれにしても、妻も愛人も怖いということなんですね(笑) 
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