アブリコのCinema散策

のんびり映画でも観ませんか

アザーズ 2001年 アメリカ・スペイン・フランス

2008-02-27 | ミステリー&サスペンス
広大な屋敷に住む、母と二人の子どもたち。
以前いた使用人たちが、突然出て行ったという理由から、新たな三人が雇われる。

母グレースはいつも、心ここにあらずといった風情である。
娘アン、息子ニコラスは、強い光に当たることができない病にあるため、四六時中、炎の灯を頼りに過ごしている。

アンはよく、この屋敷に誰かがいる、と言う。
弟のニコラスは、作り話はやめてと姉に懇願するのだが、アンはすでに四人の人物を見たと言うのだ。
丁寧に絵まで描いて。

中盤に入る前あたりから何気に、’99の『シックス・センス』らしい臭いがしてきて、「もしや?」と思いながら最後まで鑑賞。
うーん、やはりこういった古い屋敷やヨーロッパなどの古城とか、よく「出る」という噂や話は言い伝えられてきてるし、そうか、やっぱり“彼ら”だって思い入れがあれば、ずっとそこに「住んで」いたくもなるのかもしれないだろうし、うー、だんだんと背筋がゾワゾワしてきたゾ。

この間金縛りに遭い、目が覚めてからも、しばらくの間、脱力感が抜けなかった。
ひどく疲れていたせいもあるのかもしれないが、映画の中でも言っているように、説明しようにもできない、そういうことってやっぱりあるのだろうかと、個人的には“思う派”である。

エリザベス:ゴールデン・エイジ 2007年 イギリス

2008-02-22 | 伝記
’98の前作では、エリザベスの多難な少女時代から、様々な陰謀の渦に巻き込まれながらも確固たる信念をもち、イングランドの女王、〈エリザベス一世〉に君臨するまでが描かれていた。

その続編となる本作では、前とはまた違った観点で彼女を映し出している ―― 華やかさと聡明さ、一国の女王としての決意、一人の女性としての想い・・・
今回は女王である彼女の、人間味に迫った作品である。
中でも、エリザベスが兵士たちの前で決起する場面にはグッときた。
ただ、神格化されているとの説からなのかどうか、過剰な演出がされているのでは?と感じた場面も少なくはなかったが。

16世紀当時、栄華を極め、「太陽の沈まぬ国」といわれたスペイン王国。
その唯一の敵国がイングランドであった。
年表を見てもお分かりのように、1588年、イングランドがスペインの無敵艦隊を破るんですね。
これによって、「陽気なイングランド」が出現し、文化の上でもイギリス=ルネサンスと呼ばれる、エリザベスの黄金時代がやってくるわけです。
勉強になりますねぇ。
ゆとり教育とやらで、〈ルネサンス時代〉を習わなかった学生さんもいるかもしれないけど、これは学んでおいたほうが面白いと思います。

さて、前回と同様、ケイト・ブランシェットの迫真の演技が圧巻であった。
女王そのものである。
余裕すら感じられるほどだった。
10年前のアカデミーでは、オスカーを惜しくも逃してしまったが、今回はどうであろうか。

「わたくしは、国と結婚した」と仰せになったエリザベス一世。
好色の父親よりも、はるかに統治力をもった女傑であった。
エリザベスへの廃位と暗殺を企てた、スコットランド女王メアリー・スチュアート。
国に身を捧げたエリザベスの後継者が、メアリーの息子、後のジェームズ一世であったという事実に、なんとも複雑な思いがしてならないのだが。

マルコヴィッチの穴 ’99 アメリカ

2008-02-15 | コメディ
奇想天外な映画がここにあり!
スパイク・ジョーンズ監督の奇抜なアイディアが、これまたなんとも愉しい。
ちょっと普通じゃ考えられないことを普通にしちゃったのだから、彼の奇才ぶりにはある種の感動を覚えてしまう。
正直、こういう不条理な話って好きなんです(笑)

どうしてジョン・マルコヴィッチなのか、ってところも笑える。
仮にこれが、ジョージ・クルーニーだとか、ジョニー・デップではどうもダメだろう。
『クルーニーの穴』『デップの穴』・・・
やっぱり『マルコヴィッチの穴』が完璧(笑)
穴といっても、どこの穴ってヘンな想像をされると困るが、これはマルコヴィッチの頭の中へと続く“穴”なんである。
原題は『Being John Malkovich』で、「あなたもマルコヴィッチになれる!」という、とんでもないお話(笑)

人形遣いのクレイグは、新しい仕事を得る。
オフィスはなんと、ビルの7と2分の1階。
7階と8階の間でエレベーターを止め、ドアをこじ開ける。
一般のフロアよりも半分の高さだから、みんなかがんだ姿勢で歩かねばならない。

ある日彼は、うっかり壁の隙間にファイルを落としてしまう。
それを拾うため書類ケースをどけてみると、そこには小さなドアが隠れていた。
ドアを開けて、恐る恐る中へ入ってみると・・・

15分後、高速道路沿いの空間からポーンと戻ってくる。
ここでまた、なんで高速道路沿いが出口なんだっていう、バカバカしさがいい!

クレイグ役のジョン・キューザックのむさくるしい姿も妙に合っていて、彼の妻を演じた、キャメロン・ディアスの意外な役柄がこれまたよかった。
いつものパーフェクト・ボディとキャピ・キャラとは程遠く、体型まで崩して、ほぼスッピンで挑んだ今回の彼女の演技を誉めてあげたいけど、これが見納めみたいに、以降、ぼてっとした役はやらないなぁ。

スイミング・プール 2003年 フランス・イギリス

2008-02-11 | ミステリー&サスペンス
女、奴、妨、妙、妖、妬、媚、嫌、嫉、嬌・・・
こうして並べてみると、ひと悶着ありそうな気配が漂ってきそうだ(汗)
本作品は、上記文字の集大成のような話である。

ミステリー作家のサラと、彼女の愛人の娘ジュリー。
親子ほども年の違う二人は、互いに嫉妬心をあらわにしながらも、夏のまばゆい陽射しの下、ジュリーの父親の別荘で偶然一緒に過ごすこととなる。
ジュリーの輝くような若さに、憎憎しげな視線をぶつけるサラ。
このときの彼女の表情は本当にコワイ。
心の中で、メラメラと嫉妬の炎が燃え盛っているのがよおく判る。

ところが不思議なもので、今まで敵意をむき出しにしていたのが、同じ境遇と察するや否や手を握り、結託してあらぬ事を考えたりする。
『悪魔のような女』もそうだったが、女性特有の仲間意識がそうさせるのだろうか。

サラを演じたシャーロット・ランブリングは、5ヶ国語を操るベテラン女優である。
確かに演技力は素晴らしいだろうし、彼女を尊敬する女優たちも多い。
個人的にはあの顔(特に眼)が、どうしても好きになれないのだが。
自慢の姿態をこれでもかと見せつけてくれた、ジュリー役のリュディヴィーヌ・サニエ。
「もういいから、早く服着ておくれ」と、言いたくなるほどでした(笑)

フランソワーズ・オゾン監督って、女性の本質を皮肉っぽく撮るのが好みなのかなぁ。
彼の作品を観るのはこれで3本目だけど、本当に女のイヤな面をえぐり出すのがヘンに巧い人なんですね。
やはり女性の心も持つ方の捉えかたは違います!