アブリコのCinema散策

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眺めのいい部屋 '86 イギリス

2015-12-02 | ラブ・ストーリー
眺望がいいと、その部屋、あるいは建物自体価値が上がる。
少しばかり勝手の悪いキッチンだったり、気持ち広めのリビングがいいなあ、と思っていたところへ不動産屋の一言、「この眺めですから!」で決めてしまうなんてこともあろう。
「これ、この景色が見たかった!」と、はるばる遠方からその景色を見たいがためにやってくることもある。
景観を売りにしているホテルや宿はもちろん、個人が誰にも教えたくないほど独り占めしたくなるような眺めのいい場所もあったりする。

良家のお嬢様ルーシーは、年の離れたいとこと、イタリア フィレンツェの定宿を訪れる。
シーズンなだけに部屋は満室。
ルーシーたちの部屋は、眺めのよろしくないものであった。
いとこのシャーロットは、プンスカと機嫌が悪い。
食事中も、部屋について文句を言っていた。
それを同じテーブルで耳にしたエマソン氏が、「よろしければ、部屋をかわりましょう」と言ってくれる。
男だけだから、景色などどうでもいいと。
殿方の唐突な言葉にムッとしたシャーロットは、ルーシーを引っぱって、部屋へ引き上げてしまう。(結局は、部屋をかわってもらうのだけど。)
二人は感じのよい父子だった。
息子のジョージは一見無口な青年であったが、その実、情熱的で進歩的な思想の持ち主であった。
そのジョージは、テーブルを介し、ひと目でルーシーを好きになる。

ルーシーにはおまじめな婚約者がいた。
世間知らずで、まだ恋すらよくわからない彼女にとっては、結婚についても流れにまかせるものだと思っていた。
だが、ジョージの積極的な性格に驚かされながらも、自分の気持ちと対峙し、何が真実なのかを徐々に見出していく。

ルーシーとジョージは、あのフィレンツェの宿からの、眺めのいい部屋へと赴く。
窓辺でくつろぎながら、ルーシーは弟からの手紙を読み、時折、窓の外へ目をやり、その美しい眺めに懐かしさを覚える。
一方でジョージは、キスに余念がない。
やはり男にとっては、部屋の景色などどうでもいいらしい。