アブリコのCinema散策

のんびり映画でも観ませんか

(500)日のサマー 2009年 アメリカ

2015-03-27 | ラブ・ストーリー
「俺にはサマーしかいない。 サマーじゃなきゃ駄目なんだ」
サマーに一目ぼれしたトムは、他の女性には目もくれない一途な男であった。

当のサマーは超マイペースな性格。
「わたしにとって恋は絵空事。 お付き合いはしないの」
彼女にとって、トムは友だち。
彼はサマーと恋人同士になりたい。
いつまでも一方通行の恋なのか。
ふたりがくっつくことはないのだろうか。

トムがわめく。
「会社のコピー室で、熱烈に(サマー)がキスを迫り、IKEAでの手つなぎデート。 それに浴室でのメイクラブ。 これのどこが“友だち”だっていうんだ!」
確かにやっていることは友だちとは言い難い。
しかもサマーったら、ふたりがケンカしたその夜、雨に濡れた姿でトムの家にあやまりに来る。
目に涙を浮かべて。
「ごめんなさい・・・、言い過ぎたわ」
この状況で許さない男がいるだろうか。
もう思わず抱きしめたくなっちゃうよねえ。

サマーの言動に、一喜一憂するトム。
友だちっていったって、彼女のすることを見ていれば、思わせ振りなんじゃないかと疑っても仕方ない。
トムだって、こんなことされれば期待したくなるでしょう。

話だけ聞けば、サマーって「男をもてあそぶ小悪魔的な女」というイメージを持たれそうだが、決してそうではない。
彼女は自分にも相手にも正直である。
トムはサマーを愛している。
でもサマーは、あくまでもトムを友だちとして見ているのである。
「好きよ、トム」
そう、「愛してる」わけではないのだ。
だから後にとった彼女の行動に嘘はないのである。

失恋したトムは、身も心もズタボロに。
しかしいつまでもこうしたままでもいられはしない。
前進しなくては。
トムは自分の夢であった設計の勉強を始める。
就活も始める。
そして、新たな出会いの予感に・・・。

「女はわからない」と思う男性がほとんどだろうが、サマーの行為はやっぱりわからないだろう。
でも彼女は悪気はないのである。
そこがね、男女共に意見の分かれるところだとは思う。
「友だちから始めましょう」と言われていればよかったのか。
「わたしは付き合わない、あなたは友だち」と断言されてしまえば、その時点で失恋したんだと、トムも早々に割り切るべきだったのかも。
でもそうできないのが、恋心のもどかしいところなのだろうよね。

食べて 祈って 恋をして 2010年 アメリカ

2015-03-11 | ラブ・ストーリー
〈本当の自分を探す旅〉というのは一体何なのだろう。
あちらこちらとおもむくままに旅を続ける中で、自分を見つめ直すということだろうか。
それだけの時間とお金があれば、 自分探しでも宝探しでも、何かと理由をつけて、出掛けたくなるがなあ。

ジュリア・ロバーツ演じるリズは仕事を辞め、夫や恋人とも別れ、そのよくわからない〈自分探しの旅〉に出る。
イタリアへ、インドへ、続けてインドネシアを巡る。
イタリアではガンガン食べまくる。
太ったっていいのよ、ジーンズのボタンが閉まらなくなったっていいのよと、見境なくほおばる。
インドでは瞑想の日々。
マントラを唱える。
だが、あまり身が入っているようには見えない。
そしてこの映画のメインであるラブストーリーが、次のインドネシアから始まる。
そう、運命の男と出会うのだ。
クライマックスにむけて、ふたりの恋模様が綴られていく。

とどのつまり、「自分探し=恋をすること」だとここでは云いたいらしい。
「恋をしなさい」と、老占い師からも言われていたリズ。
自分と向き合って、運命の相手を見つけろということか。
なんだかなあ。
自伝的小説の映画化という本作品。
小説で読んだほうが、共感できるのかもしれない。
ベストセラーにもなったらしいし。
なんだかなあ、と思ってしまうのは、ぎすぎすと痛々しいロバーツの演技が、ただシラケて見えてしまうからであって、ロケ地の景観やら、他の見どころでもなければ、やたらと長いこの作品を見続けるのは、結構疲れます。

『プリティ・ウーマン』の頃には戻れないわけで、作品選びにも慎重になってくるお年頃だとは思うが、だいぶ前、ロバーツの紀行番組を観たことがある。
オラウータンの森や、モンゴルの遊牧民を訪ねたりしていた。
これらのドキュメンタリー番組に出ていた彼女は、とても自然体でよかった。
そういえば、今回の作品のプロモーションで初来日したんだよね。
「日本嫌いなんじゃないか」などと密かに言われるほど、今の今まで来なかったジュリア。
しかしまたなぜ、この作品だったのか。

『食べて 祈って 恋をして』 ― この猫かぶりのようなタイトルはいただけない。
いや、それはそれでいいのだが、こうした、いかにもウキウキしそうな感じのタイトルなら、キャスティングを考え直さなくてはいけない。
原題のまま、『Eat Pray Love』のほうが大人っぽく感じるが、これをカタカナにしちゃうと(イ-ト、プレイ、ラブ)、なんだかとてもイヤラシクなってしまうのはどういうわけだろう(笑)。