前期の4年生のゼミで、参加者に『週刊ダイヤモンド』誌2007年3月3日号に掲載されていた「会計感度チェックテスト」をやってもらいました。
問題は全部で20問で、設問に○か×で答えるもの。
たとえば、
Q1 売り上げが伸びている企業の「株」は買いだ。
Q3 「Suica」の1万円分の電子マネーと、現金1万円とは、まさしく等価だ。
Q5 「費用がかかる」とはいっても、常にそのぶんのカネが減るわけではない。
参加者に解答を答えてもらって、さらにその答えの理由も発表してもらいました。
さて、この「会計感度チェックテスト」を出題したのが、林總(はやし・あつむ)氏。そうです、例の『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか』を書いたCPAです。もっとも、タイトルだけでその心が類推できましたので、小生、この本は読んでいませんでした。
しかし、「会計感度チェックテスト」以降、林氏がちょっと気になったことは事実で、『今度何か出版されたら読んでみようかな』と思っておりました。ちょうどそんなとき、同時に2冊、上梓されました。
林總『売るならだんごか宝石か』(ベスト新書、2007年7月)
林總監修『うちの社長に読ませたい100文字でわかる会計』(ベスト新書、2007年7月)
売るならだんごか宝石かといわれると、『宝石と見せかけて、ホントはだんごなんでしょ?』と答えたくなりますよね。(笑)
『売るならだんごか宝石か』は、自分が勤める会社の不正経理に立ち向かうOLが、ワインバー「ポアロ」のマスター(このマスター、昼は管理会計を教える大学教授。苦笑)の助けを借りてどのようにして不正の謎解きをするかを、推理小説仕立てで構成しています。
タイトルにあるだんごと宝石の話は、「ポアロ」のマスターが、資金繰りが立ちゆかなくなった宝飾会社の理由を説明するところで出てきます。
「在庫はなるべく少ない方がいいということですか」
「そのとおり。経営リスクが少ないということだね。よく“だんご屋は潰れない”と言われるね。その根拠はだんごを作るのに一日とかからない上に売れ残りがほとんどないからだ。つまり仕掛品在庫も製品在庫もゼロに等しい。材料在庫は多少あるものの腐らない。だから資金負担が少なく潰れることはない。ところが、この燕市にある会社はだんご屋と正反対のことをしている。」[p.129]
そういえば、子供の頃住んでいた町で、目と鼻の先に豆腐屋が2軒あって、小さな町でありながら潰れずに経営していたことを思い出しました。だんご屋も豆腐屋も同じ構造です(その後、2軒の豆腐屋は同じ理由で店をたたんでしまいました。後継者がいなかったわけです)。
推理小説仕立てということですから、これ以上書くのははばかられるので中身には立ち入りませんが、これと同じようにCPAが書いた推理小説仕立ての読み物としては、さおだけ屋の山田真哉氏が書いた『女子大生会計士の事件簿』などもあります。これなどはシリーズ化されていて、漫画にもなっています。だんご屋とさおだけ屋。零細な個人商店を取り上げている点で発想が同じなのでしょうかねぇ。
こういった本を読むと、大きく分けて二つの側面で会計を考えていることがわかります。一つは会計処理に潜む側面、そしてもう一つが業態による側面です。前者は、相対的真実性を基本とする会計では不可避の問題で、会計処理を巡ってしばしば「見解の相違」が新聞紙上を賑わします。また後者は、取扱商品や販売方法の違いから収益構造が異なる業態が無数に存在するわけですから、その違いによって会計の考え方も違ってくるということを取り上げているのでしょう。
小生が会計を勉強し始めた頃は、この手の本はほとんどなく読んだ記憶がありません(せいぜい『ビッグ・エイト』を読んだぐらい)。その意味では、会計が身近に感じられるようになっているということを実感します。
ところで、もう一冊の方ですが、こちらは「まえがき」で「本書は、管理会計のテキストではあまり触れられていない、経営とのつながりを、55項目に渡って解説したものです。」[p.5]と書いてありましたので、「どれどれ?」と興味津々で読み始めたのですが、オーソドックスな管理会計のテキストで必ず取り上げられている項目がありました。管理会計のテキストで取り上げられていないという点でいえば、「これは管理会計のテキストではなく原価計算のテキストに書かれています」というものや「これは管理会計の問題というよりは財務会計の問題」というものでした。(苦笑)
問題は全部で20問で、設問に○か×で答えるもの。
たとえば、
Q1 売り上げが伸びている企業の「株」は買いだ。
Q3 「Suica」の1万円分の電子マネーと、現金1万円とは、まさしく等価だ。
Q5 「費用がかかる」とはいっても、常にそのぶんのカネが減るわけではない。
参加者に解答を答えてもらって、さらにその答えの理由も発表してもらいました。
さて、この「会計感度チェックテスト」を出題したのが、林總(はやし・あつむ)氏。そうです、例の『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか』を書いたCPAです。もっとも、タイトルだけでその心が類推できましたので、小生、この本は読んでいませんでした。
しかし、「会計感度チェックテスト」以降、林氏がちょっと気になったことは事実で、『今度何か出版されたら読んでみようかな』と思っておりました。ちょうどそんなとき、同時に2冊、上梓されました。
林總『売るならだんごか宝石か』(ベスト新書、2007年7月)
林總監修『うちの社長に読ませたい100文字でわかる会計』(ベスト新書、2007年7月)
売るならだんごか宝石かといわれると、『宝石と見せかけて、ホントはだんごなんでしょ?』と答えたくなりますよね。(笑)
『売るならだんごか宝石か』は、自分が勤める会社の不正経理に立ち向かうOLが、ワインバー「ポアロ」のマスター(このマスター、昼は管理会計を教える大学教授。苦笑)の助けを借りてどのようにして不正の謎解きをするかを、推理小説仕立てで構成しています。
タイトルにあるだんごと宝石の話は、「ポアロ」のマスターが、資金繰りが立ちゆかなくなった宝飾会社の理由を説明するところで出てきます。
「在庫はなるべく少ない方がいいということですか」
「そのとおり。経営リスクが少ないということだね。よく“だんご屋は潰れない”と言われるね。その根拠はだんごを作るのに一日とかからない上に売れ残りがほとんどないからだ。つまり仕掛品在庫も製品在庫もゼロに等しい。材料在庫は多少あるものの腐らない。だから資金負担が少なく潰れることはない。ところが、この燕市にある会社はだんご屋と正反対のことをしている。」[p.129]
そういえば、子供の頃住んでいた町で、目と鼻の先に豆腐屋が2軒あって、小さな町でありながら潰れずに経営していたことを思い出しました。だんご屋も豆腐屋も同じ構造です(その後、2軒の豆腐屋は同じ理由で店をたたんでしまいました。後継者がいなかったわけです)。
推理小説仕立てということですから、これ以上書くのははばかられるので中身には立ち入りませんが、これと同じようにCPAが書いた推理小説仕立ての読み物としては、さおだけ屋の山田真哉氏が書いた『女子大生会計士の事件簿』などもあります。これなどはシリーズ化されていて、漫画にもなっています。だんご屋とさおだけ屋。零細な個人商店を取り上げている点で発想が同じなのでしょうかねぇ。
こういった本を読むと、大きく分けて二つの側面で会計を考えていることがわかります。一つは会計処理に潜む側面、そしてもう一つが業態による側面です。前者は、相対的真実性を基本とする会計では不可避の問題で、会計処理を巡ってしばしば「見解の相違」が新聞紙上を賑わします。また後者は、取扱商品や販売方法の違いから収益構造が異なる業態が無数に存在するわけですから、その違いによって会計の考え方も違ってくるということを取り上げているのでしょう。
小生が会計を勉強し始めた頃は、この手の本はほとんどなく読んだ記憶がありません(せいぜい『ビッグ・エイト』を読んだぐらい)。その意味では、会計が身近に感じられるようになっているということを実感します。
ところで、もう一冊の方ですが、こちらは「まえがき」で「本書は、管理会計のテキストではあまり触れられていない、経営とのつながりを、55項目に渡って解説したものです。」[p.5]と書いてありましたので、「どれどれ?」と興味津々で読み始めたのですが、オーソドックスな管理会計のテキストで必ず取り上げられている項目がありました。管理会計のテキストで取り上げられていないという点でいえば、「これは管理会計のテキストではなく原価計算のテキストに書かれています」というものや「これは管理会計の問題というよりは財務会計の問題」というものでした。(苦笑)