O's Note

いつまで続くか、この駄文

のりとハサミ

2008-05-17 22:00:00 | 涜書感想文
 今年の1月のNスペで、2夜連続で感染爆発(パンデミック・フルー)について、ドラマと解説による番組が放映されました。
 恥ずかしながらパンデミック・フルーやプレパンデミック・ワクチンなる言葉をこの番組で初めて聞いたのですが、これらが新型インフルエンザの爆発的流行あるいは流行前ワクチンを意味するもので、番組では、最近話題になっている新型インフルエンザの一つ、H5N1型鳥インフルエンザの猛毒性がいかに脅威を及ぼすかが描かれていました。
 ミャンマーのハリケーン被害、中国の大震災の陰に隠れてしまった感がありますが、当地でもH5N1型鳥インフルエンザに罹患した白鳥の死骸が見つかりました。もしこれがヒトに感染することになれば、ハリケーンや地震以上の死者数になることが予測され、その影響は海を越えて全世界に広がります。
 ちょうど、当地で白鳥の死骸からH5N1型鳥インフルエンザウイルスが検出されたことが新聞に掲載された時期に読んでいた本がこれでした。

 岡田晴恵『H5N1型ウイルス襲来-新型インフルエンザから家族を守れ!』(角川SSC新書、2007年11月)

 Nスペでは、この岡田氏が書いた別の本を参考にしていたようです。
 
 それにしても、見えない敵を相手にするというのは、何とも不気味です。本の中ではスペイン風邪(1918~19年)が引き合いにされていますが、当時と今とでは世界がかなり狭くなっています、人口密度にしても高速移動手段にしても。こんな中で新型インフルエンザが猛威をふるう状態になれば・・・。
 この本には、H5N1型鳥インフルエンザが流行しないようにするための対策や、流行した時の対策などが示されていますが、万が一、感染爆発を起こした場合、流行が収束するまでに最低必要な食糧と日用品は2ヶ月分であるといいます[p.77]。備えあれば憂いなしといいますが、何しろ、まったく実感がわきません。まずそんなに大量の備えができるでしょうか。この本を読んだ今でも、『2ヶ月分の食糧をどこに置いておく?』ということが最初の問題となり、『場所がないよな』と思ってしまって、いまだに何の手も打てません。
 かくなる上は、H5N1型鳥インフルエンザが爆発しないように、各国政府の迅速な行動に期待するしかないといわざるを得ません。

 ところでH5N1型というのは、ウイルスの表面にある二種類の糖タンパクに由来しています。HAとNA。HAはウイルスが細胞に侵入する時に、細胞の受容体(外部の物を体内に受け入れるものなんだとか)にくっついて細胞内に入っていくときの「のり」の役目をし、NAは、ウイルスが感染細胞から別の細胞に出て行くときに感染細胞から離れる「ハサミ」の役目をするそうです。そしてH5というのはHAの
5番目の亜種、N1はNAの1番目の亜種という意味だそうです[p.32]。
 のりとハサミ。
 子供たちが工作をするときに使う道具ならばかわいいもんですが・・・。

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