クンちゃんブログは、きょうで店仕舞いです!
ご支援を心より感謝いたします。
ありし日のクンちゃん犬
私が、自費出版をメインとする出版社「文芸社」の編集部門を退職した3日後、あの東日本大震災が起きました。
そのおよそ1か月後、2011年4月13日に始めたこの“クンちゃんブログ”ですが、きょう2016年9月30日をもって店仕舞いすることとなりました。
この間、数多くの非難中傷の攻撃にさらされましたが、それを超えるご支援もいただき、今日に至りました。みなさまに、心より御礼申し上げます。
私がクンちゃんブログを始めた動機は、当時の「文芸社商法」ともいわれた自費出版の営業方法に大きな疑問を抱き、
本来の出版業のあるべき社会的使命から大きく逸脱している実情をなんとかしたいと考えていたからです。
もちろん、文芸社のみならず、先発であり既に消滅した新風舎ほかの自費出版系版元もおおむね同様の営業手法、
ひとくちに言えば「著者を過剰に持ち上げ、著作がたくさん売れるかのような一種の詐欺的様相を帯びたトーク」を用いていたと認識しています。
少し長くなりますが、初期の記事を引いてみたいと思います。普通なら通りっこないローンを無理に設定した著者の例です。
本屋に並ぶ「私家版」、その光と影 (其の四)
2011-04-17 13:18:16
オリジナル記事はこちら
『ある担当編集者が初老の女性著者宅に打合せに行った。
その編集者は午前中の打合せの場合、話が長くなったりして、お昼の食事時にかかったりすることを懸念して、
必ず自分が弁当を持参することを事前に連絡する。
このときは、そう話すと、「いいえ、たいしたものはないが、昼食はあなたの分も用意しておきます」と著者が強く言う。
それで、常になく甘えることにした。
相当年季の入った借家住まいの著者宅で、雑物があたりかまわず積み重ねられているのが印象的だったというが、
ともかく打合せをおこない、昼食時になった。
そうしたところ、おじいさんやおばあさんなど家族がどこからかぞろぞろと出てきたのはいいが、
昼食というのはうどん粉に砂糖を入れて蒸かしたものがひとりに三つほど、食台に直接置かれたというのだ。それだけ。
昭和20年ごろの話じゃないよ、平成22年だよ!
帰り際に著者が涙ぐんで、
「ご覧のとおりの今の生活だが、間もなく御社から本が出て印税がきちんきちんと入ってくる。
そうすれば、この借家を出て新しい住まいに移り、きちんとした生活ができる。
契約担当者や編集者には、ホントにホントに、感謝しても感謝しきれない」と言ったという。』
このような、もうそこにローン地獄が見えている悲惨な例は、当時としてもやはり極端すぎるケースだったのかもしれませんが、大同小異の展開は枚挙に暇がなかったものと考えています。
あれから5年超の年月がたち、当時、社会的問題にまで発展した自費出版にかかわる問題も今ではほとんど耳にしなくなりました。落ち着くところに落ち着いたのかもしれません。
私は、もともと自費出版については、言論の自由を最終的に保障する受け皿として十分存在意義があると考えていましたし、それは今も変わりません。いやらしい表現ですが、「カネさえ出せば、とにかく本は出る」というのはあながち悪いことではないという考えです。
そして、ものには値段があり、その値段にはなんでここまで違うのかと首をかしげる差があるものも多々あります。クンちゃんが食べるりんごと銀座千疋屋さんのりんごのようにね! したがって、自費出版も著者が納得づくである限り、高額であってもかまわないという考えが私にはあります。実際、知名度の高い大版元の自費出版部門から本を出そうと考えれば、文芸社などよりも高額の出版費用が必要となります。
しかし、カネのない人びとのしゅうさく(やはり、秀作ではなく習作が多い)を「センセの本はすばらしい!売れます!すぐモトがとれる!」などと褒めまくり、ローンを組ませてまで契約するといった手法はまったく別の話で、まさしく言語道断です。契約担当者だって気持ち悪いんじゃないの! こういう営業で会社を大きくしたって、普通の人なら胸を張ることはできません。
クンちゃんブログを閉じるにあたり、自費出版業界の健全な発展を期待しています。
***********************
クンちゃんブログの自費出版関連記事は、ブラックフリーザー、黒い冷凍庫で永久保存します。
冷凍品にはたいしたものはありませんが、栗田工業創業者のひとり、野崎貞雄氏の著作『大恩、報恩・忘恩』(文芸社刊)の全文が収録されています。同書は横浜地方裁判所で当時の栗田工業会長・藤野宏パパへの名誉毀損が認定され、「発禁本」となっている珍品です。削除請求訴訟が出れば藤野パパの行状をおおっぴらに公開できますので、訴状が来るのを待ち続けているのですが、なかなか送達されてきません。詳しくは、こちら
なお、いったん黒い冷凍庫に保存される自費出版関連以外の記事は、徐々に解凍して別ブログに移動します。また、記事アップを予告したにもかかわらずすっとぼけている記事のほか、特に必要と思われる題材があれば新規に追加冷凍する考えです。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
ご支援を心より感謝いたします。
ありし日のクンちゃん犬
私が、自費出版をメインとする出版社「文芸社」の編集部門を退職した3日後、あの東日本大震災が起きました。
そのおよそ1か月後、2011年4月13日に始めたこの“クンちゃんブログ”ですが、きょう2016年9月30日をもって店仕舞いすることとなりました。
この間、数多くの非難中傷の攻撃にさらされましたが、それを超えるご支援もいただき、今日に至りました。みなさまに、心より御礼申し上げます。
私がクンちゃんブログを始めた動機は、当時の「文芸社商法」ともいわれた自費出版の営業方法に大きな疑問を抱き、
本来の出版業のあるべき社会的使命から大きく逸脱している実情をなんとかしたいと考えていたからです。
もちろん、文芸社のみならず、先発であり既に消滅した新風舎ほかの自費出版系版元もおおむね同様の営業手法、
ひとくちに言えば「著者を過剰に持ち上げ、著作がたくさん売れるかのような一種の詐欺的様相を帯びたトーク」を用いていたと認識しています。
少し長くなりますが、初期の記事を引いてみたいと思います。普通なら通りっこないローンを無理に設定した著者の例です。
本屋に並ぶ「私家版」、その光と影 (其の四)
2011-04-17 13:18:16
オリジナル記事はこちら
『ある担当編集者が初老の女性著者宅に打合せに行った。
その編集者は午前中の打合せの場合、話が長くなったりして、お昼の食事時にかかったりすることを懸念して、
必ず自分が弁当を持参することを事前に連絡する。
このときは、そう話すと、「いいえ、たいしたものはないが、昼食はあなたの分も用意しておきます」と著者が強く言う。
それで、常になく甘えることにした。
相当年季の入った借家住まいの著者宅で、雑物があたりかまわず積み重ねられているのが印象的だったというが、
ともかく打合せをおこない、昼食時になった。
そうしたところ、おじいさんやおばあさんなど家族がどこからかぞろぞろと出てきたのはいいが、
昼食というのはうどん粉に砂糖を入れて蒸かしたものがひとりに三つほど、食台に直接置かれたというのだ。それだけ。
昭和20年ごろの話じゃないよ、平成22年だよ!
帰り際に著者が涙ぐんで、
「ご覧のとおりの今の生活だが、間もなく御社から本が出て印税がきちんきちんと入ってくる。
そうすれば、この借家を出て新しい住まいに移り、きちんとした生活ができる。
契約担当者や編集者には、ホントにホントに、感謝しても感謝しきれない」と言ったという。』
このような、もうそこにローン地獄が見えている悲惨な例は、当時としてもやはり極端すぎるケースだったのかもしれませんが、大同小異の展開は枚挙に暇がなかったものと考えています。
あれから5年超の年月がたち、当時、社会的問題にまで発展した自費出版にかかわる問題も今ではほとんど耳にしなくなりました。落ち着くところに落ち着いたのかもしれません。
私は、もともと自費出版については、言論の自由を最終的に保障する受け皿として十分存在意義があると考えていましたし、それは今も変わりません。いやらしい表現ですが、「カネさえ出せば、とにかく本は出る」というのはあながち悪いことではないという考えです。
そして、ものには値段があり、その値段にはなんでここまで違うのかと首をかしげる差があるものも多々あります。クンちゃんが食べるりんごと銀座千疋屋さんのりんごのようにね! したがって、自費出版も著者が納得づくである限り、高額であってもかまわないという考えが私にはあります。実際、知名度の高い大版元の自費出版部門から本を出そうと考えれば、文芸社などよりも高額の出版費用が必要となります。
しかし、カネのない人びとのしゅうさく(やはり、秀作ではなく習作が多い)を「センセの本はすばらしい!売れます!すぐモトがとれる!」などと褒めまくり、ローンを組ませてまで契約するといった手法はまったく別の話で、まさしく言語道断です。契約担当者だって気持ち悪いんじゃないの! こういう営業で会社を大きくしたって、普通の人なら胸を張ることはできません。
クンちゃんブログを閉じるにあたり、自費出版業界の健全な発展を期待しています。
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クンちゃんブログの自費出版関連記事は、ブラックフリーザー、黒い冷凍庫で永久保存します。
冷凍品にはたいしたものはありませんが、栗田工業創業者のひとり、野崎貞雄氏の著作『大恩、報恩・忘恩』(文芸社刊)の全文が収録されています。同書は横浜地方裁判所で当時の栗田工業会長・藤野宏パパへの名誉毀損が認定され、「発禁本」となっている珍品です。削除請求訴訟が出れば藤野パパの行状をおおっぴらに公開できますので、訴状が来るのを待ち続けているのですが、なかなか送達されてきません。詳しくは、こちら
なお、いったん黒い冷凍庫に保存される自費出版関連以外の記事は、徐々に解凍して別ブログに移動します。また、記事アップを予告したにもかかわらずすっとぼけている記事のほか、特に必要と思われる題材があれば新規に追加冷凍する考えです。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。