ビョーキ

昨日、帰宅時に家の近くでまたA夫人の姿を見た。

手にビニール傘を持ち、ちょうど雨が降り出したので、C宅前で
立ち止まり開いていた。

そしてC宅・D宅と通り過ぎ、未だに夕方毎日行くらしいF宅へ
何やら届ける小袋を下げて歩いて行った。

パート勤めのF夫人が帰宅している１８時過ぎ、真っ暗な真冬でも、
その姿は近所の人にも日常的に目撃されている。なにしろ殆ど
毎日仕事のように通うのだから。

ご本人だけは、知られていないと思っているようだが、F宅向かいの
G宅からは、しつこく呼び鈴を押して粘る姿、大声での話の内容など、
毎日イベントのように観られているのだ。

朝や昼間もあちこち訪ねているのだろうが、主婦が連日夕食支度時に
出て歩き回るのは、もはや奇行である。

C夫人がたまに諭しても、行くのはB・C宅だけだとシラを切る。

わたしももう何度も見ているが、昨日はまた特別な思いがした。

こんな雨降りの夕暮れに、相手はもはや迷惑としか思っていない
（F夫人も最初２年ほどは律儀に週１度くらいお返しにA宅まで来て
　いたが、最近はいっさい姿を見せなくなった）のに、未だ
何も考えず、行かずにはいられないといった様子はもはや尋常では
ない。

嫌気がさした相手が疎遠になっても、また別のターゲットを
見つける。

やっぱりビョーキなのだ。
この手のものは本人が自覚しない限り治しようがない。

先日もわたしにもしつこく絡んできたので、また怒りを覚えていたが、
昨日は、雨の日の情景のせいか、憐憫の情が湧いてきてしまった。