礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

あたらしい かわの さいふです(太郎)

2015-12-08 02:57:08 | コラムと名言

◎あたらしい かわの さいふです(太郎)

 昨日の続きである。「太郎花子国語の本 編修方針内容見本」(日本書籍株式会社)から、「2 おまわりさんとポチ」という文章を紹介している。本日は、その二回目。
 改行は原文のまま。誤植と思われる部分があるが、訂正していない。なお、文中、「ぼく」とあるのは、太郎さんの愛犬のポチの一人称である。

 三、そんちょうさん
 やくばへ行くと、こづかいさんが いました。
 太郎さんが、
「さっき、おとうさんが、さいふを おいて いきま
せんでしたか。」
と、ききました。
「さあ。おとうさんは、そんちょうさんと おはなし
していました。そんちょうさんに きいて みましょ
う。」
と いって、こづかいさんは、おくへ 行きました。
 すると、そんちょうさんが 出て きました。
「やあ、太郎さんか。
 おとうさんは、わたしと はなして、さっき かえ
られたが、さいふは どうも ありませんよ。これから
おまわりさんの ところへ 行って、さいふの なく
なった ことを いっておきなさい。」
と いいました。
 太郎さんは、
「ありがとうございました」
と いって、やくばを 出ました。
 ぼくも、ついて いきました。
 四、おまわりさん
 おまわりさんは、テーブルの そばに すわって
いました。
「こんにちは。」
と、太郎さんが いいました。
「やあ、太郎さんですか。なんか ようじですか。」
と、おまわりさんが いいました。
「おとうさんが さっき さいふを おとしたんです。
 やくばからの かえり道で おとした ようです。」
と、太郎さんが いいました。
「どんな さいふだね。いくら はいって いたね。」
と、おまわりさんが いいます。
「あたらしい かわの さいふです。百圓さつが 一
 まいと あと 少し はいって いた そうです。」
と、太郎さんが いいました。
 おまわりさんは にっこり わらって
「じゃあ、これでしょう。」
と いいながら、テーブルの ひき出しを あけました。
 ひき出しから、なにか とり出そうと する とき
パッタリ 下へ おちた ものが あります。
 ぼくは、はっと おもって、それに とびつきまし
た。
 さいふです。かわの においと、おとうさんの
においがします。
 ぼくは、それを くわえて、すぐに 外へ 出ました。
 あとから 太郎さんが、
「ポチ、ポチ。」
と よびます。
 けれども、ぼくは、これさえ あれば いいのだと
おもって、いっしょうけんめいに 走って かえりま
した。【以下、次回】

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