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礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

有斐閣の「経済学名著翻訳叢書」(1937~1941)

2016-10-06 05:34:41 | コラムと名言

◎有斐閣の「経済学名著翻訳叢書」(1937~1941)

 昨日の続きである。梶山力訳『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(有斐閣、一九三九初版)の扉には、〔経済学名著翻訳叢書4〕とある。
 この「経済学名著翻訳叢書」というのは、経済学名著翻訳刊行会の編集にかかるもので、発行元は、いずれも有斐閣。国立国会図書館のデータでは、次の一〇冊が確認できる。

第1 マックス・ウェーバー著(戸田武雄訳)『社会科学と価値判断の諸問題』1937
第2 ローレンツ・フォン・シュタイン著(神戸正一訳)『財政学序説』1937
第3 グスターフ・フォン・シュモラー著(戸田武雄訳)『国民経済・国民経済学及び方法』1938
第4 マックス・ウエーバー著(梶山 力訳)『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』1938
第5 グスターフ・シュモラー著(戸田武雄訳)『法及び国民経済の若干の根本問題について』1939
第6 ウェルナー・ゾムバルト著(戸田武雄訳)『社会政策の理想』1946(第6刷)
第7 エミール・レーデラー著(田中精一訳)『景気変動と恐慌』1939
第8 ジョン・スチュアート・ミル著(塩尻公明訳)『ベンサムとコールリッヂ 』1946(第6版)
第9 ヂェイコブ・エイチ・ホランダー著(山下英夫訳)『リカードゥ研究』1941
第10 フリードリッヒ・ヴィーザー著(安田充訳)『貨幣論集』1941

 私が買った『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』は、一九四六年四月一〇日発行の第九版だが、巻頭(扉のすぐあと)に、「『経済学名著翻訳叢書』 刊行の辞」というものが載っている。本日は、これを紹介し得みよう。
 なお、昨日も述べたが、同書の初版(一九三八年五月二〇日発行)は国立国会図書館に架蔵されており、デジタルコレクションを利用すれば、自宅で閲覧できる。

「経済学名著翻訳叢書」 刊行の辞
 経済学に関する欧米の名著が、吾が国に翻訳紹介せられた数は決して少しとはしない。然し其の多くは吾が国に於ける出版事情に制約され、夙に飜訳さるべき名著にして未だ着手するに至らざるものが多い。況んや雑誌に掲載された論文に至つては原文を手にすることさへ至難である為に、翻訳されたものは稀有〈ケウ〉だとさへ云へるのである。
 本会は篤学なる野口弘毅氏の寄付に係る基金を利用して、以上の欠陥を満たすが為に?に重要なる著書論文を逐次翻訳刊行することを企てた。之が為に本会は数名の顧問を委嘱〈イショク〉し、翻訳さるべき著書論文を選択し、汎く〈アマネク〉適当なる翻訳者を求めて責任ある訳書たらしめることを努めた。?〈ココ〉に経済学と云ふのは必ずしも狭義の経済学のみに限定せず,稍広く経済学を中心としての社会科学を意味することゝし、訳書の巻頭には必ず本会顧問又は翻訳者の執筆に係る原著者の略伝、及び原著の学的意義を詳述する序説を掲載することゝし、以て読者の為に原著に対する有力なる手引たらしめることを意図したのである。本叢書が吾が学界に於て何等かの寄与を果すならば本会の希望はこゝに達したと云ふべきである。
   昭和十二年九月
        経済学名著翻訳刊行会

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