礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

出版ニュースによる『日本保守思想のアポリア』の書評

2013-09-11 07:12:50 | 日記

◎出版ニュースによる『日本保守思想のアポリア』の書評

 批評社の佐藤英之社長からの連絡によって、『出版ニュース』二〇一三年九月中旬号に、拙著『日本保守思想のアポリア』の書評が載ったことを知った。
 以下に、その書評を紹介させていただきたい。

 日本保守思想のアポリア 礫川全次著
 日本の保守思想の原典とはどこにあるのか。本書は、日本近代の保守思想について、原理的・歴史的な考察を通して、「近代日本に保守主義は存立しえない」根拠を「國體」という切り口と、「五箇条の御誓文」「大日本帝国憲法」という二つの事象を通じて論証する。まず、昭和天皇が敗戦に伴う改革の渦中において「五箇条の御誓文」に依拠しようとした意味の解明に始まり、明治新政府が、近代化・欧化とともに日本古来の文化を解体する一方で、「國體」=虚構のイデオロギーで新たな保守主義を創造するという明治維新のねじれに注目、このねじれがゆくゆく欧米列強を敵に回した戦争をもたらした必然が描かれる。伊藤博文に影響を与えたドイツ国家学者のシュタイン、帝国憲法の起草に当たった金子堅太郎の軌跡も併せ、保守思想のアポリアを探り、提示した労作。
B6判/195頁/1800円/批評社

 著者本人がコメントするのもどうかと思うが、著者の意図をよく汲み、主要な論点をあますところなく紹介した巧みな書評という印象を持った。

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